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48.蛇と酒

ゴンザナシとマトンを祝宴に誘わなかったのはマトンの酒癖を考えてのことだ。

あの2人があまり酒場に来ないのはそういう理由なんじゃないかと思っている。


そういえば2人は恋人同士なんだろうか?冒険者としてペアを組んでいるだけか?

ただペアなだけだったらゴンザナシもマトンの酒癖を楽しむのが普通な気もする。

その方が他の冒険者に文句も言われないだろうし…恋人同士だな。たぶん。



そんなことを考えながら酒場に戻ると前回と同じような光景が広がっていた。

一つ違う点はヨルムがおっちゃんとおばちゃん相手に談笑しているところ…!?


「ヨルム…何してるんだ。」


「オオ、ポノ!オカエリ!」

いつもより陽気な様子で返事が返ってきた。


「おう、ポノおかえり!いやー、蛇が喋れるなんてびっくりだな。」

珍しくおっちゃんも酔った様子でヨルムを受け入れている。


「喋る蛇なんてあたしゃ初めて見たよ…長生きはするもんだね。」

こちらも同様だ。しかしおばちゃんはそれを言うほど年じゃないだろう…


「実ハラナニヌーノ肉ヲ頼ンデモラウツイデニビールモ頼ンデモラッテナ、

 飲ンデイタラ気分ガヨクナッテイツノ間ニカ普通ニ喋ッテシマッテイタ。

 酒トイウノハ実ニイイモノダナ。オッチャン、ビール1ツクレ。」

元の巨体を考えればちょっと飲んだくらいで酔わないと思うんだが…

八岐大蛇の話といい、蛇は酒に弱いのだろうか?


おっちゃんはヨルムにビールを出しながら言う。

「ラナちゃんの首に巻きついている蛇が余りにも飲みっぷりがいいもんでな、

 言葉がわかるわけないと思いつつも話しかけながらビールをどんどん出してたら

 そのうち返事が返ってくるようになったってわけだ。」


「まぁおっちゃん達が怖くないなら構わないが…あまり広めないでくれよ?」


「怖いわけないだろう?ヨルムちゃんはいい子だよ。」

ヨルムの方が比べ物にならないほど年上のはずなんだがな…

おばちゃんの皮を被った何かなんだろうか?いや、まさかな。


「喋る蛇は物珍しいからな、隠したくなる気持ちはわかるぞ。」

だからそういうことじゃ…ああもう面倒になってきた。


「わかったわかった、好きなようにしてくれ。おっちゃん、ビール1つ。」


「ほいよ。しかしラナちゃんは凄いな。

 EからDに上がった早さはゴンザナシ達よりも上じゃないか?」


ビールを受け取り、一口飲んで話を進める。


「そうなのか?ネックだった移動の遅さを解消したからというのもあるが

 ラナの地道な努力がその早さにつながったんだろうな。」


「どうやってラナちゃんの移動速度を上げたんだい?」

おばちゃんはビールに頭を突っ込んで飲んでいるヨルムを指先で撫でている。


「俺のダチョウを貸してやっただけさ。特別なことはしてないよ。」


「ビール1ツクレ。」


「ほいよ。それ自体が特別なようなもんだろう。

 格上の冒険者から騎乗用の動物をずっと借りられるなら

 他の冒険者のランクももう少し早く上がりそうなもんだ。」

おっちゃんはヨルムにビールを出しながら言った。


「そう言われてみるとそうかもしれないな…」


「ラナちゃんにダチョウを貸している間、不便じゃないのかい?」


「ダチョウより自分で走った方が速いからな。特に不便はないよ。」


「走るにも魔子を使うだろうに。そうは見えないけどポノは相当の実力者かい?」

なるほど、そういうものか。


「そういうことにしておいてくれ。それにダチョウを貸してる時は

 のんびりと過ごしている事が多いから問題はないんだ。」


「じゃあ自分の修行はあんまりしてないってことか?」

おっちゃんはビールを置き、ヨルムは再び頭を突っ込んで飲み始めた。

余程ビールが気に入ったんだな。


「そうだな、修行という修行はしてないな。」


「ポノハ神話の存在デアル我ヲ捕マエルホドノ実力者ダゾ。必要アルマイ。」

いつの間にかビールを飲み終えていたヨルムが持ち上げてくれた。


「ソレニポノノ魔法ハ凄イゾ、既存ノモノデハナイダロウ。ビール1ツ。」

話がまずい方向に向かってる気がするな。ヨルムも酔いすぎだ。


「あいよ!ヨルムもそろそろきつくなってきたんじゃないか?」

注文通りビールを置きつつもヨルムが心配になってきたようだ。


「我ヲナメテモラッテハ困ル。コレクライドウッテコトハナイ。」

ヨルムはそう言って出されたビールを瞬時に飲み干したが

本当は限界だったのかすぐに寝てしまったようだ。


「そろそろお暇しようかな。代金はこれでいいか?」

この前と同じく100万円の束を出す。


「ああ、前回の分があるからもらわなくても大丈夫なんだが

 こいつの手前そういうわけにもいかない。今回もありがたくもらっておくよ。」


「随分太っ腹だねえ、祝宴の度にこれがもらえるなら今後もラナちゃんには

 頑張ってもらわないとね。それとアンタは余計なことを言わない。」

おばちゃんはおっちゃんを肘で軽く突いた。仲のよろしいことで。


「まぁ今回も手間賃、迷惑料込みってことで頼むよ。」

ヨルムを首に巻きつけてからラナを小脇に抱え、席を立つ。


「そうだな、そろそろ席を空けておかないと

 狼人族が来てもおかしくない時間だからな。」

こんなに遅くまで狩りをしているのか…生死がかかってるとは言え頭が下がるな。


「それじゃあまたな。」


「おう、またな。」

「毎度。また来ておくれよ。」


酒場を出て宿に向かう。今回も人攫いに間違えられることなく無事に到着した。


いつもの状態にするには…ラナをベッドにうつ伏せに寝かせてから尻に顔を埋め、

ヨルムを股間に巻きつけて首上半身下半身分断(サンブンノイチマン)を使う。

首無し上半身を操ってラナを横向きにしてから下半身のヨルムを抱かせた。


全部自分でやるのは一手間だな。だがこれで安眠は確実なものとなったはずだ。

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