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34.ゴンザナシとマトンの挑戦

ラナは夢中でシマロバを狩っている。俺とヨルムはそれをのんびりと眺めている。

しばらくその時間が続き、ふと見ると遠くからダチョウが近づいてきていた。

背には見覚えのあるシルエットの2人を乗せている。


シルエットの正体はゴンザナシとマトンだった。

こんなところまで来ているのには何か理由がありそうだ。


「よう、ポノ!奇遇だな。…あれはラナちゃんか?

 シマロバに人が集まってるからここで狩ってるってわけだ?」


「そんなところだ。そっちの目的は?移動中か?」


「実は今日ねー、ゾウに挑もうと思って来たのー。」

相変わらず間の抜けた喋り方でマトンが目的を明かした。


『随分ト変ワッタ格好ヲシタ女ダナ。』


『そうだな、俺も初めて見た時はびっくりした。だがまぁ、見慣れるもんさ。』


「そうなのか?わざわざここに来なくてもいいだろうに。」


「あんまりギャラリーが多いと負けた時恥ずかしいだろ?

 ってのは冗談で気が散ると悪いからな。集中してやりたかったんだ。」


「なるほどな、もし邪魔なら俺達は別の場所に行ってもいいが。」


「大丈夫よー。ポノがいるならいざという時に助けてくれるしー。」

決定事項なのか…まぁいいけど。


「勝算はあるのか?」


「ゴンザナシさん達は勝算もないのに挑んだりしないと思うわ。」

シマロバを狩っていたはずのラナがいつの間にか戻ってきていた。


「確実とまでは言えないが倒せるはずだ。

 ランクCに上がってからも毎日毎日狩り続けて随分経ったし、

 ポノに負けてからは更にペースを上げたからな。」


「そうか、骨は拾ってやるから頑張ってくれ。」


「それじゃ手遅れだよー。」


「冗談だ。死ぬ前に何とかするさ。」


2人は1頭のゾウに近づき、ダチョウを降りて片付けた。狙いを決めたようだ。

片目を可視魔子(カシマシ)状態にして観戦することにしよう。

あ、結果的にゾウに使うことになったな…【宮本さん】も喜んでいることだろう。


筋力増強(ストレングスアップ)ー!」

マトンが少し薄くなり、ゴンザナシが少し濃くなった。

自身の魔子で対象を強化するんだな。

ゾウと比べるとまだ少し薄いが大きな差とは言えないだろう。


ゴンザナシは頭部の方に回り込んでいく。まさか首を狙うんじゃないだろうな…

「たあっ!」

剣を振り下ろした先は鼻の付け根だった。

一刀両断というわけにはいかず、3分の1ほど刃が食い込んでいる。


ゾウは真一文字に鼻を振ったがゴンザナシは間一髪、屈んで避けた。

縦横無尽に振り回される鼻を受けたりかわしたりしながら、

隙を見て鼻に傷を増やしている。ラナと違って直撃をもらったりはしていない。


マトンの方はと言うと、筋力増強(ストレングスアップ)が切れないように

定期的にかけ直しているようだ。今の時点での役割はこれだけなのだろう。


ゾウの鼻とゴンザナシの剣の応酬はしばらく続いたが、

傷を負っているゾウの方が魔子の消耗が激しいようだ。


やがてゾウはしびれを切らしたのか大ジャンプをしてみせた。

ゴンザナシはそれを目で追うが太陽の位置が悪く、直視してしまう。

「うおっ、まぶしっ!」


あれが計算だとするならゾウの知能は高い方だと言えるだろう。

ゾウが猛烈なスピードで落下を始める一方、ゴンザナシの目は眩んだままだ。


このままではまずいか…と思っていると、

補助魔法だけをかけ続けていたマトンが動いた。


障壁(バリアウォール)ー!」

ゴンザナシの頭上に魔子による壁を作った。

が、消費が激しいらしくマトンが随分薄くなっている。


ゾウはそのまま落下するしかなく、ゴンザナシが食らうはずだった

踏み付けの直撃は障壁(バリアウォール)が肩代わりする形となった。

直撃を受けた障壁(バリアウォール)はすぐに砕けてしまったが、

それでも落下の勢いの大部分を殺すことに成功していた。


その間に落下地点から脱出し、着地したゾウの鼻に向かって剣を振り下ろす。

ゴンザナシの狙いは最初に付けた傷と同じ箇所。

消耗で魔子量が逆転したせいか、最初の一撃よりも剣は進み鼻を切り落とした。


鼻を失い、踏み付けの余力も残っていないゾウはそのまま追撃を受けて絶命した。

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