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31.新しい寝方

酒場に戻ってみたがラナの姿はなかったので、宿に向かうことにする。

その道中でヨルムが目を覚ました。


『スマナイ、寝テシマッテイタヨウダ。』


『寝るほど退屈だったのか?早速約束を破ってしまって悪いな…』


『イヤ、退屈ダッタワケデハナイ。今日ハ魔子ヲ消費シタカラナ。』


『ああ、なるほどな。それならいいんだが。』


宿に到着し、ラナの部屋の扉をノックすると

少し間をおいて扉が開き、ラナが顔を覗かせる。

そういえば自分の部屋はあまり使ってないな…


「おかえりなさい、入っていいわよ。依頼はどうだったの?」

ラナはヨルムに目をやるが先程とは違い、落ち着いた様子だ。


「大したことじゃなかったから片付けてきた。」


「ふーん、よかったわね。それで、その蛇ちゃんを触らせてくれるの?」


『どうする?』


『構ワナイガココカラ離レル気ハナイゾ。』


「俺の首に巻きついたままでよければ構わないそうだ。」


「ええ…撫でにくいじゃない。私の首に来ない?」


『断ル。』


「嫌だそうだ。」


「本当にそうなの?どさくさに紛れて

 私に触ってもらおうなんて思ってるんじゃないでしょうね?」

と、ヨルムに手を伸ばしたが、ヨルムは牙を見せて威嚇し始めた。


「えっ…」

ラナは驚いて手を引っ込めた。


『どうしたんだ?』


『コノ女ハポノヲ嘘ツキ呼バワリシタ。触ラセテナドヤルモノカ。』


「俺を嘘つき呼ばわりしたから触らせてくれないとさ。」


「言葉がわかるの!?

 …ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったのよ。

 私はただ蛇ちゃんを思う存分触りたくて…」


『次ハナイト思エ。』


「今回は許すが次はないとさ。」


「蛇ちゃんありがとう!」

言うが早いかラナはヨルムに手を伸ばして一心不乱に撫で回し始めた。


そのまま小一時間ほど経ったが飽きもせずに撫で回し続けている。

俺も蛇は好きだがこれほどの熱量はさすがに引く。

ヨルムは案外いい気分なのか少し目を細めていた。

…まぶたはないはずなんだが。


「うーん、堪能した。そろそろ寝ようかしら。」


『俺も寝ることにするがヨルムはどうする?そのまま首でいいか?』


『我ハ股間ニ巻キツコウト思ウ。』

そう言ってスルスルと股間に移動した。なんでだよ…別にいいけど。


「何で蛇ちゃんがポノの股間に…抱いて寝たかったのに…」


『コノママノ状態デヨケレバ構ワンゾ。』


「これでよければ抱いて寝てもいいそうだ。」


「そうは言ってもポノはいつもの格好で寝るわけでしょ?

 恥ずかしさは置いておくとしても体勢的にちょっと無理があるんじゃない?

 あと、ポノの体と一緒に物理的干渉?が消えたら抱きつけないし。」


「何とかなるさ。」


ヨルム→俺と、ラナ→ヨルムを触れられるようにするわけだ。

少々ややこしいがやってやれないことはない。


確かに体の長さ的に尻枕と股間を抱きつかせるのは無理か…ならば

上下分断(ハンブンマン)

俺の上半身と下半身が分かれる。


『何ガ起キタ!?大丈夫カ!?』


『心配するな。何も問題はない。』


「どんな時に使う魔法なのよこれ…でもいいわ、ありがとう。おやすみなさい。」

ラナは両手、両腕、両太腿を駆使してヨルムを抱きかかえ、眠りについた。


『何故コノ女ハ平然ト受ケ入レテイルノダ…』


『まぁラナの方がヨルムより付き合いが少し長い分慣れてるってことだ。』


『…ソノウチ我ノ感覚モ麻痺シテイクノダロウナ。』


『人聞きの悪いことを言うな。おやすみ。』



今後は毎日こんな感じで寝ることになりそうだ。

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