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28.蛇のマフラー

飛行中、ヨルムが話しかけてくる。

「トコロデポノヨ、コレハドウイウ原理デ飛ンデイルノダ?」


原理?…はて?

「よくわからんが飛ぼうと思えば飛べるぞ。」


「ソレデ納得サセラレルト思ッテイルノカ…」


ありゃ、ヨルムに呆れられている?俺ってそんなによっぽどだったのか…

「そういえば念話じゃなくて普通に喋れるんだな。蛇に発声器官があるのか?」


「我ヲ普通ノ蛇ト一緒ニサレテハ困ル。

 海中デハ聞コエヅライダロウカラ念話ヲ使ッタダケノコトダ。」


「なるほどな。でも人前では念話を使ってくれると助かる。」


「ナゼダ?」


「普通の蛇は喋らないからな。あの蛇はいったい何だ?って話になるだろう。

 俺はなるべくなら目立ちたくないんだよ。首に蛇を巻きつけている時点で

 目立つだろうが、変わり者だなくらいで何とかなるだろう…たぶん。」


「ソレデ済メバイイガナ…会ッテマダ少シシカ経ッテナイガ

 ポノノ認識ハ色々甘ソウナ気ガスル。」


「海の底にいた割には常識がありそうな物言いだな…

 まぁ問題がありそうだったら諌めてくれ。」


「ワカッタ。」


途中、海に太陽が沈んでいくのが見えた。

夕日には人の心を動かす何かが秘められている気がしてならない。


「キレイナモノダナ。海ノ底ニデハ見ラレナカッタ光景ダ。」

もとい、蛇の心を動かす何かもあるらしい。


「お前の方が綺麗さ。」

などと言ってみる。ヨルムンガンドは雄のはずだから変な空気になりそうだが。


「ナ、何ヲバカナコトヲ…」

あれ?意外とまんざらでもない様子…?



少し気まずい状態のまま飛行を続け、アビンザ近辺に到着した。

降りて図鑑からダチョウを出し、町に向かう。


「コンナニ足ノ遅イ下等生物デ移動スルノカ?

 我ガ少シ大キクナッテ乗セテヤロウカ?」

下等生物って…久々に聞いたぞ。まるで【野菜王子】の物言いだな。


「大蛇に乗って移動なんてしたら大騒ぎになるだろうよ…」


「ソウカ…残念ダ。」


「まぁ機会があればそのうちな。」


「ソノ時ヲ一日千秋ノ思イデ待ツトシヨウ…」

…そんなに待ち遠しいのか。


町の入り口に到着したのはいいが、問答があった。

やはり首に蛇を巻いているのが珍しいようだ。襲われているわけではなく、

捕まえた蛇だから安全だと説明すると何とか納得してもらえたが…


『首デハ目立ツヨウダナ。股間ニデモ巻キツコウカ?』

何でそんなところに巻きつきたがるんだよ…竿も玉も穴もないぞ。


『気にするな。まぁそのうちみんな慣れるだろうさ。』


(ソモソモ周リヲ慣レサセヨウトスルノガオカシイトハ思ワナイノダロウカ…)


『飯でも食うか。ヨルムは肉でいいか?』


『食ベナクテモ問題ナイガ…食ベルトシタラ肉ダナ。』


いつもの酒場に向かい、到着するとカウンターに見慣れた後姿を見つけた。


「おっちゃん、いつものセットと追加でステーキ1つ。」


「あいよ!」

おっちゃんはヨルムにチラリと目をやったが気にしないことにしたようだ。


「あら、おかえりポノ。今日は随分遅かったのねって、何よその蛇…」

驚いた様子で食事の手を止めた。


「今日は感知に長けた仲間を探して遠出してきたからな。こいつがその成果だ。」


『ポノ、何ダコイツハ?』


『まぁ弟子のようなものだな。名前はラナだ。』


「いくら成果だからって首に巻きつけなくても…図鑑にしまったら?」

眉間に皺を寄せている。そんなに蛇が嫌いなのか?


『ヒドイコトヲ言ウ女ダ…我、オマエ丸呑ミ!』


『やめろやめろ…』


「肌触りがいいんだよ。それに、これくらいのサイズなら問題ないだろう?」


「そうだけど…ああもう我慢できない!触っていい!?」

眉間の皺は我慢の印だったのか…


『ナッ…』


『構わないか?』


『マァ少シダケナラ…』


「少しならな。あまり刺激しないようにしてくれ。」


「そんなことしないわよ!

 はぁ、シルクよりすべすべ…瞳も綺麗だしクリクリでカワイイ!」

食事そっちのけでヨルムに夢中の様子だ。


『フ、フン!少シハワカッテルジャナイカ…』

こっちもこっちで嬉しそうだな!

丸呑みとか言われた時はどうしようかと思ったが丸く収まったな。


「いつものセットと追加のステーキお待ちどう!」

お、来た来た。


「食事の時間だ。また後にしてくれ。」


「えぇ…そんなぁ…」

と、落ち込んだ様子で食事を再開した。

いつも満面の笑みで食べている光景に慣れているおっちゃんは少し悲しそうだ。


今のサイズでも飲み込みやすいサイズにステーキをカットする。

『食ってみてくれ。もしいらなかったら俺が食うよ。』


『ドレドレ…フム、クラーケンヨリ随分ト魔子ハ薄イガ味ハイイナ。』

普段の食事がクラーケンだったのか…まぁあの場所じゃ他にいないか。


『口に合ったようでよかったよ。』


食事を終えた頃、珍しく酒場にゴンザナシが入ってきた。

「いたいた。ポノ、組合長から依頼があるそうだ。

 できればすぐに向かってくれないか?」


組合長が俺に?しかも急ぎで?何の用だろう…?

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