27.帰路にて
と、帰る前にとりあえず図鑑に入っているヨルムンガンドを呼び出す。
出現したその姿は俺を締め付けた時の大きさだった。
元の大きさで出てこられたら困るからちょうどよかったな。
『何カ用カ?』
おおう、元々会話できる相手は捕まえても会話ができるんだな。
『意図せず持ち上げてしまって悪かった。』
『気ニスルナ。我ノ方ガ弱カッタダケノコト。強キ者ヨ、ソノ方ノ名ハ?』
蛇のようにしつこいなどと使われるが
ヨルムンガンドは竹を割ったようにさっぱりとした性格のようだ。
その方が付き合いやすそうで助かるな。
『俺の名前はポノだ。』
『変ワッタ名ダナ。コンゴトモヨロシク。』
それは個人的に動物に言われたいセリフ№1のあれじゃないか!
…しかし俺の名前はそんなに変わっているか?
名乗る度に言われると気になってしまうな。
『アマリ我侭ハ言イタクナイガ、デキレバソノ本ニ入レナイデホシイノダ。』
何か理由があるのだろうが軽々に許可するわけにもいかない。
『どうしてだ?』
『ソノ本ノ中デハ時間ガ止マルヨウダガ、我ハ時間ガ止マッテモ意識ハアル。
退屈ニハ慣レテイルガコノ身スラ動カセナイノハツライ。』
確かにそれはキツいな…
『そういうことなら出ていて構わないがもう少し小さくなれるか?』
『容易イコトダ。』
ヨルムンガンドは1m程の長さになった。
『いいサイズだな。これなら常に同行してもらっていいぞ。』
『感謝スル。』
素直な奴だな。爬虫類は好きな方だし蛇と一緒の旅も悪くないかもしれない。
『ずっとここにいたんじゃ相当退屈だったろう。俺も暇潰しの旅の最中だ。
いずれはお前の弟や妹の所に行くことになるだろうしちょうどいいかもな。』
『我ニ兄弟ガイルノカ?』
そうか、生まれてすぐ捨てられたんだったっけ…
もしオーディンに会ったら文句の一つも言ってやらないとな。
『ああ、姿形は全然似てないと思うが父親も母親も同じだったはずだ。』
『感無量ダ。ココデイツマデモ退屈ナ日々ガ続クト思ッテイタ。』
ヘビの感情は見た目じゃわからないが喜んでいるのは伝わってくる。
『喜んでもらえてこっちも嬉しいよ。じゃあどこか好きな所に巻き付いてくれ。』
そう言うとヨルムンガンドは首に巻き付いてきた。
俺は構わないが傍から見て誤解されないかな?…まぁそのうち慣れるか。
『ヨルムンガンドじゃ長いし縮めてヨルムと呼んでも構わないか?』
『ソノヨウニ呼バレルノハ初メテダガ悪クナイナ。』
ヨルムは満足気だ。呼び方も決まったし今度こそ帰るとしよう。
『それじゃあ行くか。』
と、浮上を開始する。途中でまたホホジロザメが襲ってきたが、
こちらに着く前にヨルムが凍らせてしまった。これじゃドロップの回収が…
『なあヨルム、敵の迎撃は俺に任せてくれないか?』
『何故ダ?』
事も無げに返された。ここは重要な部分だしちゃんと説明しないと駄目だな。
『遠くで倒されるとドロップ品を回収するのが面倒なんだ。』
『ソウイウモノカ、ワカッタ。』
物分りがよくて助かる。ついでにもう少し注意しておくか。
『それに、俺もヨルムも簡単には死なないだろう?
俺がいいと言うまでは攻撃を控えてくれると助かる。
これから戻る場所にいる動物も人間もお前が思っているより遥かに脆いしな。』
『ナルホド、強者故ニ周リニ気ヲ使ワネバナラヌノダナ。』
そういうことになる…か?納得してくれたようだし問題ないか。
『すまないな、海の底にいるよりは楽しんでもらえるようにするからさ。』
『期待シテイルゾ。』
海面に到着したので飛行を開始する。
帰るのにまた6、7時間か…途中で見る夕日が綺麗そうだな。
2020/03/24
文章の細部を修正&追加しました
話の流れは大きく変わっていません。




