16.ラナの進歩
翌朝、ラナが目を覚ましたので移動して声をかける。
表情は当然、満面の笑みだ。
「おはよう!いい朝だな!」
ラナは寝惚け眼ながらも
「このやり取りにも慣れてきちゃったわ…おはよう。」
朝食を済ませ、町の外に出る。とりあえずは肩慣らしに鹿牛からだな。
「まずは鹿牛からやろう。調子はどうだ?」
「バッチリよ!今なら成功する気がするから首を狙ってもいいかしら?」
「差を確認するためにもアリじゃないか?」
「やった!やる気が出てきたわ!」
しばらく歩いて鹿牛を発見したのでラナが近づいていく。そして剣を振り上げ…
「やあっ!」
首に剣を振り下ろした。鹿牛の首はキレイに切断され、消えた。
「やったやった!やっぱりこれが一番!」
「よかったな。確認のためにもう何頭か同じように倒してみよう。」
「わかった、まぐれじゃないことを証明してみせるわ。」
その後、何頭か試してみたが全て一撃で済ますことができた。
「これで証明できたわね。」
「そうだな、鹿牛相手ならバッチリだ。」
「次はシマロバ…いけるかしら?」
昨日の勢いはどうしたんだ…何か怯えているように見える。
「やってみないと何とも言えないな。それより大丈夫か?震えてるようだが…」
「…実は以前、強くなれないことに業を煮やして挑んだことがあるのよ。
傷もつけられなかった上に後蹴り一発で死に掛けたわ。
その時は通りかかったゴンザナシさん達に助けられたから大丈夫だったけど…」
なるほど、トラウマになってるのか。昨日は酒が入ってたもんな。
「その時よりかなり強くなったはずだろう?
もしダメだったら助けるから頑張って来い。」
「…そうね、骨は拾ってね。」
「骨になる前に何とかするって。」
ラナを励ましながらシマロバを探す。なかなか見つからないな。
誰かが狩り尽くして遠くに再出現してるんだろうか?
埒が明かないので走って探すことにした。
ラナに合わせているのでそれほど速くはないが歩くよりはいい。
と、前方にシマロバを発見した。離れてはいるが2頭いる。
手前にいるシマロバの近くまで行き、ラナは息を整えている。
しかし息が整ってもなかなかラナはシマロバに手を出さない。
トラウマがきいてるんだろうな…
「もう休憩は充分じゃないか?」
「そうなんだけど…もう少し待って。」
大丈夫かな…
そこからしばらく経った後、一人の冒険者が奥にいたシマロバを倒した。
あいつがこの辺のシマロバを狩ってたのかな。
こちらの手間は増えたわけだが冒険者が狩りをした結果だ、非難などしない。
ラナはその冒険者を見て怒りの表情を浮かべた。
「あいつは…!私を散々バカにしてた奴だわ!」
なるほど、この機を逃す手はないな。
「頑張れラナ、バカにしてきた冒険者を見返してやるんだろう?
あいつにシマロバを狩れる所を見せてやれ。」
聞き終わる前にラナは剣を振りかぶっていた。ちゃんと脚を狙うようだ。
「やあっ!」
脚に命中したが切断はできていない。が、それでも傷は深いようだ。
シマロバが後蹴りで反撃してくる。傷のせいで威力がないのか、
直撃をもらったラナが飛ばされずにこらえている。
シマロバは蹴った反動を利用してそのまま距離を取ろうとするが
同様に傷のせいで速度が出ていない。
全速力で追いかけるラナに少しずつ距離をつめられ、追撃を受けて絶命した。
ラナの歓声が周囲に響いた。
「…やった!やったわ!」




