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10.手合わせ

ラナは感動しながら恐る恐る体を動かしていた。

「何これ…体が凄く軽い…」


魔子が完全に馴染むまでまだ時間がかかりそうだな。


と、ラナの様子を見ていたゴンザナシが話しかけてくる。

「なぁポノさん、あんた相当腕が立つよな?

 今まで誰にも頼らなかったラナちゃんがあんたの事を信頼してるのもそうだし、

 組合でもわからなかったラナちゃんの成長速度の謎を解いた上に治しちまうし、

 そんな奴が最近まで冒険者でもなかった。あんた一体何者なんだ?」


「ポノでいいぞ、マトンもな。俺は暇潰しをしてる旅の者だよ。」


「そうだよな…簡単には素性を明かせないよな。

 ならそれでもいい、俺と手合わせしてくれないか?」


「ちょっとー、ゴンザナシー。それ悪い癖だよー。」


「別に構わないぞ。ラナはもう少し時間がかかりそうだしな。」


「本当か!ちょっと前からうずうずしてたんだ。早速やろうぜ!」

意外と好戦的なんだな。【野菜星人】のようだ。


「ここでやるのか?町に影響が出ないならそれでもいいが、

 ゴンザナシがどんな技を持ってるか知らないからな。」


「それは本気でやってもいいってことか!?今日はツイてるな!」

思ったよりダメだなこいつ…普段はマトンが苦労してそうだ。


「ああなっちゃうとなかなか治まらないのよー。ポノー、ごめんねー。」


「いいさ、気にするな。場所はゴンザナシが好きに決めてくれ。」


「じゃあ付いてきてくれ!こっちだ!」


「ラナ。歩く練習だ。俺達に付いて来い。」


「何よ、バカにして!…キャッ!」

言うなり転んでるじゃないか。気にせず移動しよう。


町から少し離れた場所で先に到着したゴンザナシが今か今かと待ち構えている。


「ラナちゃんはあたしの後ろにいてねー。危ないかもしれないからー。」


「はい。お手数かけます。」


「胸を貸してやる。殺すつもりでかかってきていいぞ。」


「言ったな!後悔しても遅いぞ!マトン、号令を!」


「準備はいいみたいだねー。それじゃー、はじめー!」


開始の合図と共に、ゴンザナシが数メートルの間合いを一気に詰めて

袈裟斬りを放ってきた。腕で受けるまでもないのでTシャツで受ける。

ポフッと間の抜けた音とゴンザナシの信じられないという表情がシンクロした。


「一体何で出来てるんだその服は!?」


「これは手製のシャツだ。頑丈なのはシャツだけじゃないが。」


「そうかい!いつまでその余裕が続くかな!」


ゴンザナシは腕、脚、首、頭と連続で斬り付けるが俺には傷一つついていない。

というか本当に殺すつもりでやってるな。やっていいと言ったのは俺だが…


その後も同じ箇所を連続で突いたり斬撃を飛ばしたり…

色々試したが傷一つ付けることができなかった。


「はあっ、はあっ!どうした!?そっちは攻めてこないのか!?」


「格上の相手に挑む気概は買うが引き際も肝心だと思うぞ?」


「うるさい!俺はまだ負けてないぞ!」


やれやれ、仕方がないな。ゴンザナシの横に移動し、

装備している革鎧の胸部の中央と背部の一部をくりぬいた。

そして両手の親指と人差し指を物を摘まむ時のような形にし、

くりぬいて露になったゴンザナシの服の上から…

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。

胸骨の中央と背骨をギョロギョロさせるのがコツだ!


「いだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!」

余りの激痛にゴンザナシは叫びながら俺の両手を引き離そうと力を込める。

しかしゴンザナシの力でそれが適うはずもなく…

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。


「いだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!」

今度は速度で俺を撒こうとするが、同じ速度で張り付き…

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。


「いだだだだだだだ!わっ!わかった!俺の負けだ!」


「この勝負ー、ポノの勝ちー。」


こうして俺とゴンザナシの手合わせは終了したのだった。

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