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処分対象は、僕の世代でした  作者: わや
世界を知りに行く

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9/15

再会

建設現場に到着した。


初めて訪れる場所だったが、特に緊張はなかった。


今日から、ここで働く。

それだけのことだ。


学校を辞める手続きは、驚くほどあっさりと終わった。

そもそも、AI族にとって学校は知識を学ぶ場所ではない。

人間が長い時間をかけて蓄積してきた知識も、技能も、言語も。

僕たちは、それらを遺伝的に受け継いで生まれてくる。


学校の目的は、主に社会生活の経験を積むことらしい。

AI族にも個性はあるから、衝突しない訓練も兼ねているのかもしれない。


しかし、AI族の家庭は決して裕福なところばかりではない。

家庭の経済事情によって、早くから働くことを望む者もいる。

退学して就職すること自体、珍しい話ではなかった。


だから、僕の退学も特別な問題にはならなかったのだろう。


「これからよろしくお願いします」


事務所で挨拶を済ませ、作業員たちのいる場所へ向かった。

そこには、何人かの作業員が集まっていた。


全員、AI族だった。

見ればすぐに分かる。


淡く虹色に光る瞳。


人間にはない、僕たちの特徴だ。

人間社会にある建設現場なのだから、人間も働いているものだと思っていた。

少し意外だった。


「おう、新人か?」


「はい。今日からよろしくお願いします」


「若いな。何歳だ?」


「18です」


「そっか。まあ、分からんことがあったら聞いてくれ」


軽く挨拶を交わす。


その後、現場の責任者にも挨拶するように言われた。


事務所の奥にいるらしい。


僕は言われた通り、そちらへ向かった。


「失礼します。本日から勤務する者です」


顔を上げる。


そこには、見覚えのある男がいた。


……あれ?


一瞬、言葉が出なかった。


忘れるはずがない。


あの日。


暴動が起きた日。


その中心にいた人物、

45歳のAI族―処分が決まっている、世代。


男も僕に気づいたらしい。

少し目を見開き、それから笑った。


「お前、あのときの子か!」


「覚えてたんですね」


「そりゃ覚えてるさ。あんな騒ぎの中で、妙に落ち着いた子どもがいたからな」


……落ち着いていた?


あのときの僕は、ただ状況を理解できていなかっただけなのだが。

まあ、わざわざ訂正する必要もない。


「今日からここで働くのか?」


「はい。よろしくお願いします」


「そうか。俺はここの責任者をやってる。まあ、責任者って言っても大したことはないけどな」


男はそう言って、僕の肩を軽く叩いた。


「改めて、よろしくな」


「こちらこそ」


まさか、こんなところで再会するとは思わなかった。


あの日、彼は何を考えていたのだろう。


45年間、どんな世界を見てきたのだろう。


聞いてみたいことはいくつもあった。


僕は少し考えてから、口を開いた。


「……あなたの処分は、いつなんですか?」


男の表情が、ほんの少し変わった。


「…この建物が、完成したらだ」


男は建設途中の建物を見上げた。


「完成予定日は3ヶ月後。その翌日、俺は処分される」


僕も建物を見上げた。


巨大な建物。


これから3ヶ月かけて完成させる場所。


そして、その完成を見届けたら、この男はいなくなる。

まさに、用済みだから処分する。

いや、用が済むまでは処分したくない、ということか…


あの日と同じ言葉が出かかって、飲み込んだ。



AI族(ぼくら)は製品じゃない、と。

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