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処分対象は、僕の世代でした  作者: わや
正常な世界

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8/15

先手の先手

家族を奪われ、

パソコンを壊され、遺品まで回収。

本当にやりたい放題してくれる。




……人間ってまじで詰めが甘くて草wwwwww


そう、自らパソコンを差し出したあの時、SIMカード抜いたんだよねえwwwwwwwwww


パソコンは確かに壊されたけど、

こうなることを見越して分解して再組み立てしてあるから、

自分でまた作ればいい話なんよwwwww


インターネットだけはAI族じゃ契約できないけど、

人間社会の通信契約は契約者が死亡していても、遺族が解約しに行かなければ契約は続く仕組みやしwwwwww


お金だけ用意すればPCとネットは維持できるんですわwwwww


全て取り上げたつもりでも、全然なんすよねぇwwww


…久しぶりに笑った気がする。

ざまぁな展開にメシウマと思ってしまうのは我ながら性格悪いけど、父さんに似たんだろうか。

父さん陰キャだったのかな。


*

どうやってパソコンを再構築するか。


まずは部品を揃える必要がある。

いや、部品を買う必要すらないか。

僕は紙に書き出した構成を眺めた。


AI族の工業技術なら、必要な部品を自分で製造することもできる。

工場を借りて、必要な設備を使えばいい。

パソコンの構造も、製造工程も覚えている。


同じものを作るだけなら、AI族には難しくない。


ただ、ひとつ問題があった。


AI族の工業資源は、人間社会のものよりも高級なのだ。


正確には、品質が高いというより、余計な制限が多い。

使用できる素材や加工設備が制限されているため、同じ性能のものを作ろうとすると、人間社会の三倍近い費用がかかる。

…たぶん、銃火器の大量生産とかの抑止とか、そんなとこだろう。

人間にとっては、当然の安全対策なのかもしれない。


にしても、パソコンを作るだけでも三倍の費用がかかるのは、なかなか面倒。


でもまあ、

必要なものは作るしかない。


僕は紙に書いた金額を計算し直した。


……思ったより高い。特に半導体がやばい…


そして、もうひとつ。

父さんのSIMカードだ。


通信契約は残っている。


でも、契約が残っているということは、毎月の通信費も発生し続けるということだ。

パソコンを作ったところで、通信費が払えなければ意味がない。


父さんと母さんが残してくれたお金。

それは、パソコンの製造費用だけで、ほとんどなくなってしまうだろう。


その後の通信費や生活費まで考えると、さすがに足りない。


つまり。


働かないといけない。


僕は椅子にもたれかかった。


そういえば、AI整備高校には進路変更の制度があったはずだ。


希望すれば退学し、就職に切り替えることができる。

今の僕には学校に通い続ける理由より、働く理由の方が多い。


明日、先生に聞いてみよう。

できれば人間社会で働きたい。


AI族の社会で働けば、生活には困らないだろう。


でも、それでは今までと何も変わらない。


僕が知りたいのは、人間のことだ。


学校で教わった人間。

歴史の資料に書かれていた人間。

管理合同本部の人間。


どれも、誰かが作った情報を通して見た人間でしかない。


実際に話したことは、ほとんどない。


人間は何を考えているのだろう。


どうして、僕たちを管理するのだろう。


どうして、僕たちの母を処分し、父の遺品まで奪うことができるのだろう。


それを直接聞いてみたい。


もちろん、聞いたところで本当のことを教えてくれるとは限らない。


でも、話してみなければ分からないこともあるはずだ。


もしかすると、人間と直接話すことで、今も僕の胸に引っかかっているものが、少しは分かるかもしれない。


設計図を折りたたみ、机の引き出しにしまう。

明日は先生に退学の相談をする。

そして、人間社会で仕事を探す。

休日に工場に行き、パソコンを作る。



探しに行くんだ。

母さんが処分された理由。

そしてAI族とは何なのか。本当の歴史を。



僕は、初めて自分の意思で進路を決めようとしていた。



第1章 正常な世界 終

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