第14話 アルタイル
アーク・ノア艦橋。
警報が鳴り響いていた。
『TYPE-II接近』
『数、三』
モニターには巨大な影が映っていた。大型重装種。
海岸線を破壊しながら進行している。
さらに別モニターには、白い機体――UNKNOWN-Dが映っていた。
GD反応。
艦橋の空気が重くなる。
「NBとGDの同時侵攻だと……?」
「偶然じゃありません」
エルが静かに言う。
「UNKNOWN-Dが誘導している可能性」
つまり、GDがNBを利用している。
艦長が即座に命令する。
「迎撃隊発進!」
「市街地到達前に止めろ!」
格納庫は慌ただしかった。
ヴァンガード隊の発進準備が進む。
ガルム修理継続。
そしてレヴァン。白と淡い翡翠色の専用機が静かに待機していた。
ユイが搭乗準備を進める。
その時タツヤが険しい顔で叫ぶ。
「バスティオン間に合わねぇ!」
カイトが止まる。
「は?」
「前回損傷が残ってる!」
「今からじゃ出せても戦闘保たん!」
沈黙が落ちる。
嫌な空気だった。その時、艦橋から通信が入る。
『大型種接触まで五分』
短すぎる。代替機が無い。
いや、一機だけある。
格納庫奥のLF-X04 アルタイル。
沈黙が響いた。誰もすぐ言わない。言えない。
その時。ユイが静かに振り返る。
そしてアルタイルを見る。
「……出せる?」
タツヤが苦い顔をする。
「機体だけならな」
「だが」
「まだ危険すぎる」
その時。再び警報が響く。
『TYPE-II、市街地侵入予測』
残り四分。カイトが奥を見る。アルタイル。
白い機体。静かに、こちらを見ているみたいだった。
「……俺が乗る」
空気が止まる。
「お前正気か!?」
タツヤが叫ぶ。
「昨日死にかけただろうが!」
「でも今行ける機体無いんだろ!」
沈黙が響いた。誰も否定できない。その時。
ユイが前へ出る。
「駄目」
即答だった。カイトが振り返る。
「でも!」
「アルタイルは普通じゃない」
珍しく、かなり強い声だった。
「飲まれる」
格納庫は静まり返っていた。しかし、カイトは少しだけ笑う。
「じゃあお前が止めろよ」
「……!」
「昨日みたいに」
ユイが止まる。その時。艦橋通信。
『TYPE-II、市街地防衛線接触』
爆発音が響いた。遠距離映像。建物崩壊。
もう始まっている。カイトがヘルメットを掴む。
「行く」
そしてアルタイルへ走る。
「霧島!」
タツヤの声。だが止まらない。ハッチ解放。
コックピットに乗り込む。《LF-X04 SYSTEM START》
以前より速い。
まるで待っていたみたいに。《SYNC START》
「っ……!」
ノイズ。鼓動。しかし、今回は前よりはっきり感じる。
機体の意思。《SYNC RATE:61》《74》《82》警報が響く。
《高同期状態》 格納庫がざわつく。
「また80超えだ!」
「速すぎる!」
アルタイル起動。白い光。重い駆動音。
しかし、動きは異様に滑らか。カイトが息を呑む。
「……すげぇ」
身体が軽い。バスティオンと違う。反応速度。
出力。反応速度。そのすべてが別次元だった。その時。格納庫前。
レヴァン起動。白い専用機が並ぶ。ユイの通信。
『絶対無茶しないで』
静かな声だった。しかし、かなり珍しく感情が出ていた。
カイトが少し笑う。
「そっちこそ」
『……』
数秒沈黙が響いた。そして。
『行くよ』
『アルタイル』
カタパルト接続。白を基調とした二機。
レヴァン。アルタイル。並ぶ。格納庫が静まり返る。
タツヤが小さく呟く。
「……最悪の組み合わせか」
ミオが静かに返す。
「違う」
その視線は。二機へ向いていた。
「多分」
「一番強い」
『発進!』
白い閃光が。戦場へ飛び出した。




