↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/35

初めての村

木々の間から光が見えてきたと思ったら森を抜けた。

そこには道は無く背丈程の草むらがあった。

「……森を抜けたら村に続く道があるんじゃないんだ……」

ボソッとつぶやく俺を見てヴェルナが呆れた顔で教えてくれた。

「今通ってきた森に道は無かったでしょ?道が無いって事は誰も森に来てないって事よ?森を抜けたからって道がある訳ないじゃない。」

「……お説ごもっとも…」

そりゃそうだ。当たり前の事過ぎてちょっと恥ずかしい。

「……リーネ、どう?」

空を見上げて何かを見ているリーネにヴェルナが問いかけた。

「ん……この先に大きめの川が流れてる……橋は…………下流か。」

「草むらを進むよりは川沿いの方がいいかしら?」

リーネの言葉に普通にヴェルナが言葉を返す。

「ん?……リーネは今、何を基準に言ったんだ?……地図見てた訳じゃ無いよな?」

俺が尋ねると、リーネは自分の目とはるか上空の鷹を指差し、

「鷹の目、借りた。」

と、簡潔に教えてくれた。


……タカノメカリタ。

すげぇ…鳥獣人だとそんな事もできるんだ。


へえーっと感心してると右肩に座っていたチビサイズのシエルがほっぺをつんつんしてきた。

「ん?どした?」

「優耶、スマディのマップ機能有るの忘れてない?」

「……ッッッあっ!!」

そういえば!

マップ機能付いてたわ!

森の中はヴェルナ達の後ろをついて歩いていたからすっかり忘れてたっ!

俺はケツポケからスマホーースマディを取り出して地図を開く。

たしかに少し先に川が有り、左手川向こうにアイコンがあった。

「この距離なら半日で着きそうだ。」

リーネの言葉にうなづき、結界で草むらを掻き分けながら進んだ。


橋まで来ると森と集落を結ぶ道が現れた。

橋をわたると遠くに家が見える。

「ユウヤ、結界を解除して。」

「ん。」

「あと、村での会話は私がするからユウヤは話を合わせて。基本的には喋らなくていいから。」

「わかった、任せるよ。」

ヴェルナの指示に了承する。

初めての村人に不審に思われたくないからな。

でも自分の周りだけこっそり回復結界を展開。疲れなんて感じたくないじゃん?


近づくにつれ畑や柵で囲われた家畜、石や木で出来た平屋造りの家が点々と見えて来た。

時刻は夕暮れ。

外を歩く人影はなく、窓枠やドアの隙間から光と人が居る気配が伝わってくる。

村と言うよりは…集落かな?

少し小高い場所に一軒だけ二階建ての他よりは立派な家が建っていた。

ヴェルナはその家のドアを叩いた。

「……誰だい?」

少し開いたドアから初老の男が覗きながら聞いてきた。

覗いた先に立っていたのが女性で少し警戒を解いたのかドアから顔を出す。

「こんな時間に申し訳ありません。旅の者ですが……」

ヴェルナがそう言うと男は肩を跳ねさせて視線を下に下げた。

どうやらヴェルナが小さすぎて視界に入ってなかったらしい。

ヴェルナの後ろに立っていたリーネはいつもの事なのか、静かにやり取りを見ている。

男は少女が居たことに驚き、さらに無口に立っているリーネが鳥獣人なのに気付いてさらにギョッとした。

「た、旅人…!?こんな辺鄙な場所に?」

「はい。……あの、良ければ納屋の片隅でいいので一晩貸して頂けませんか? 」

「納屋だと…!?」

男はそう言って二人を今度はちゃんと見てさらに少し後ろで立っている俺を見た。

「なんだ。お嬢ちゃんと娘さんの二人かと思ったらちゃんと男も居るのか……」

男はそう言って少し眉を寄せた。

「はい。……あの三人なのですが…」

ヴェルナが申し訳なさそうに言葉を続けると、男の後ろから少しふくよかな中年の女性が現れた。

「あんた、こんな小さな女の子を納屋で泊まらせる気かい!?」

その女性はどうやらこの男の妻らしい。

彼女は奥でヴェルナ達のやり取りを聞いていて口を挟みに来たようだ。

「そうは言っても、おまえ……」

嫁に弱いのはどこの世界でも共通なのだろうか?

「いいじゃない、ちょうど嫁に行ったばっかりの娘の部屋があるんだから。」

それはなんともありがたい。

「こんな小さな女の子が…訳ありだろ?ウチには盗られるよう高価なもんなんかありゃしないんだ。そっちのアンタも……おや、珍しい肌だねぇ…獣人さんかい?」

女性の流れるように出てくる言葉に気圧されながらリーネがうなづく。

「そうかいそうかい。そりゃ珍しいねぇ…そんで…そっちの兄ちゃんもお連れなんだろ?あんた、大の男がこんな小さな女の子に宿を頼ませるってのはちょっとどうかと思うよ?だが作戦ならこんな上手いこたぁないね……うん?何身体に巻いてるんだい?……」

「「あ、…」」

俺とヴェルナの焦った声が重なったが、お構い無しに女性が近寄って来る。

「……んんん?…こりゃ、スライムかいっ!?」

「あっ…えっと、その…」

誤魔化すべきか?

いや、既に手遅れか!?

スライムって言えば魔物だろ?

もし嫌がられたら…いや、もっと酷い反応も有り得るんじゃ?

ヤバいッ……俺はどうすれば良いんだッ!?

「兄ちゃん……スライムにこんな格好させて……女の子に失礼だと思わないのかいッ?あたしゃ信じられないね!とんだスケベ男だ!」



………………あ、はい。

返す言葉もございません。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。