森を行く
野天風呂から出発し、森を抜けるまでに2週間以上歩いた。
その間ヴェルナとリーネにはこの世界の一般的な常識を色々教わった。
彼女たちは俺がある日突然この世界に落ちてきてしまった異世界人だと話したが、その事にそこまで興味を持たれなかった。
隠す気も無かったが、もうちょっと…こう、なんて言うか…反応が欲しかった!
異世界の知識とか、異世界の食事とかの宝庫みたいなMuberとMamazonの代わりのこの世界のアプリを使うように言われた。
異世界の食事はこっちの世界の人達に見られない時に食べろという事らしい。ただし、森から出るまでは俺の常識を修正しなければいけないから、何をしたいか言ってから使ってくれと言われた。つまり自分達だけの時は使っても良いということらしい。
便利だからね。
こっちの世界のMuberに当たるアプリは『メシダ』という。
…飯だ……だったら笑えるな。
Mamazonは『モノダヨウ』というらしい。
スマホのアイコンに追加しておいた。
中の商品はデザインはさておき性能的には問題なさそうだ。食べ物は食べてみないとなんとも言えない。
二人の指導のおかげで、俺も大分この世界で問題なくイケるんじゃないか?と思うようになってきた。
元いた薬草だらけの草原ーー『女神の箱庭』から離れるにつれ、あの高品質の薬草は滅多に見つからなくなった。
代わりに木の実やきのこ類を探すようになった。
季節柄なのか果物をよく見た。
鑑定眼に食ベ頃果物フィルターを設定したおかげで、ちょうど完熟した果物を沢山収穫出来たから、ヴェルナとリーネに喜んでもらえた。
女の子は甘いものが好きだもんな。ちなみに果物はネフもお気に入りなのかねだられる様になった。
「高級薬草があんまり生えてないな…」
「そうかしら?この辺りはまだ『恵の森』だからある方だと思うけど……『女神様の箱庭』程は無理よ?そもそもあんな場所は世界中探しても他には無いのだから。本当に特殊で神聖な場所なんだからね!」
俺がボソリと呟いたらヴェルナが振り返って教えてくれた。
そうか、やっぱりあそこは特殊な場所だったんだ…
そして『恵の森』……これでも薬草や果物、木の実、きのこ類だ豊富に有るということらしい。
ならば採取は絶対しておきたいな。
稼げる時に稼いでおかないと!
歩きながらヒールを維持した結界を作り、鑑定眼に引っかかったお高めな素材を採取し、夜営時に洗ったり余分な部分を切って品質を上げてから売る。
結界のおかげで快適だし、さらに改良して結界の中に更に不透明な壁を作ることも出来るようになった。
何でそんな事試したかって?
だって風呂に入りたかったから。
でもそのおかげでヴェルナもリーネも風呂を堪能してたし、なんなら寝室っぽくもしてみた。
ものすごく呆れられたけど、森の中だけよ!と、念を押されて快適な夜営を過ごした。
こんな感じで森を進む事にもすっかり慣れた頃森を抜けた。




