自己紹介
俺に背を向けてシエル達の方に歩き始めていた彼女に、俺の思わず口から漏れた言葉が聞こえたのかくるりと振り返った。
「鳥人間じゃない。フェニックスだ。」
……フェニックス……不死鳥。
ああ…いや、名前か?
「す、すまない。フェニックス……さん?」
「違う。名は……リーネだ。」
名前はリーネというのか。
フェニックスというのは…種族?
考え込んでいるとリーネがじっとこちらを見て何かを待っている事に気付いた。
「アッ!?…えっと、俺は優耶。助けてくれてありがとう、リーネ。」
俺の自己紹介にひとつ頷くと彼女はシエル達の方に歩いて行った。
なんというか…独特な人だな。
「優耶、大丈夫?」
シエルが心配そうに声をかけてきた。
「俺はなんともないよ。」
「でもここ、血がついてるし破れてるわ。」
そう言って左肩を指さす。
「あ〜……最初あっという間に襲われたからな。」
そういえば反射的にヒールをかけたから痛みを感じなかったんだよな。
「初撃が肩で良かったわね。胸とか頭だったらヒールの前に死んでたわよ?」
シエルの横から美少女が辛辣なことを言う。
そのど正論にうっと怯んでいると、美少女がさらに話しかけてきた。
「まあでも、あの結界は目を見張るものがあったわ。アレが出来るなら同行に不安も無いわね。」
「同行?」
「そうよ。貴方は今から私達と一緒にある場所まで旅してもらうわ。」
当然の事よね。と言わんばかりに少女は言った。
「え、…ちょ、ちょっと待ってよ。そんな今日初めて会ったばかりの君らと何故俺が一緒に旅しなきゃいけないんだ?……その、シエルとは知り合い?っぽいけど…」
アレ?
でもシエルって俺の設定したAIじゃなかったっけ?
疑問に思いながらも、ここから離れなきゃいけない理由が思い当たらず抵抗する。
せっかく俺好みの野天風呂も完成して野生のもふもふ天国を楽しみだしたところなのだ。なんでわざわざ旅に出ないといけないんだ?
そりゃここがどんな世界なのか気にならない訳じゃないが、そんな急がなくても…と思ってしまう。
ちなみにシエルは横で黙って、ネフは俺の背中から肩越しに、事の成り行きを見ている。
そんな俺らの様子を見た少女はひとつ深く息をつくとニコッと微笑んできた。
「…そうね。まだお互い自己紹介もしてなかったものね。私はヴェルナ。外見はこんなだけど貴方よりは年上だからよろしくね。」
「あ、ああ…えっ!?年上ッ!?」
思わず聞き流すところだった。
「レディに歳のことを聞き返すなんて礼儀がなってないわね?」
見た目10歳の美少女に笑顔で怒られる俺。
「あ、ごめんなさい。」
速攻で謝った。
「貴方は?」
「俺は優耶。こっちがシエルとネフ……でも知り合いじゃないのか?」
俺はシエルに聞いてみた。
「……そうね。知ってるわ。だって私が呼んだのだもの。」
「「「は?」」」
シエルの言葉に俺らの返事がハモる。




