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一刀両断

「どうするつもり?」


少女に尋ねられてハッとイノシシ(ガラスケース入り)を見る。


どうする?

出来たら元に戻してあげたい。

でも寄生虫(?)に完全に乗っ取られて変異してるって俺の鑑定に出てる。

つまり、あのイッちゃった目も、でっかい身体も、背中から延びてくる触手も元からって訳では無いって事だろ!?


「ちなみに…ヒールとかで治ったりは…」

「しない」

「しないわ」

「しないわね」

女子3人に同時に否定された。

「…殺すしか、手段は無いのか……」

だがどうやって?

俺の魔法に攻撃をするものはひとつも無い。

俺が躊躇っていたらイノシシ(ガラスケース入り)の前で剣を構えた彼女が声をかけてきた。

「私が殺る。合図したらこの結界を解け!」

「わ、分かった。」

彼女の剣が赤く輝きだす。

その赤色が次第にオレンジになり薄い黄色から白に、そして輝きを伴った綺麗な青に変わった。

その刀身の纏った熱は俺の所まで熱風となって伝わってくる。

「…す…すげぇ……」

斜め上段に貯めていた刀身が濃い青になった時 、彼女から声がとんだ。

「今だッ結界を解けッ!」

彼女の言葉を聞いてイノシシの周りのガラスケースを消す。

イノシシが触手を伸ばそうとしている所に彼女の青い剣が斜め上から振り下ろされた。

熱波が一瞬遅れて吹き付けてくる。

その斬撃は刀身以上の威力があったのか振り下ろされたイノシシは全身を斜めにずらして真っ二つになった。

ドウッ…と倒れた体は二つに別れ、どちらも炎を上げて燃えている。

信じられない光景だ。

俺は言葉も無くただ呆然と燃えるイノシシを見ていた。

するとイノシシの体から出てきた黒煙が不自然にイノシシの体の上空に漂い見る間に集まってひと固まりになった。

「ッ!!そいつを捕まえてッ!」

咄嗟の少女の叫びに動けたのは剣を持った彼女だけだった。

だが彼女が跳びかかって掴もうとする直前にソレは上空高く飛び上がり何処かに飛び去った。

「…ッ!……すまない。逃がした。」

残念そうに謝る彼女に、

「…今のは仕方ないわ。でもちょっとマズイわね…」

少女が困った顔でそう言った。

「アレは何だったの?」

シエルが尋ねる。

「精霊喰いの本体…とは違うけど、それに近い残留思念よ。まさかリーネの炎から逃げれるとは思わなかったわ。」

「何処かに飛んで行ったわね。」

「……」

シエルの言葉に少し険しい顔で少女は空を睨んだ。


俺は燃えたイノシシに近づいてみた。

焼けた肉の臭い。

骨まで綺麗に切れている断面。

炎は既に収まりつつあったが、周辺の温度が高すぎる。

うわぁ…っと見ている前で炎がフッと消えて、次の瞬間イノシシの形が風に吹かれた灰の様に消えていった。

「…ッぇぇえ!!」

後には何も残らない。

地面ですら燃えた跡もない。

「…何で…!?」

驚いていると後ろから声をかけられた。

「おいっ…あんた大丈夫か?」

振り返ると剣を担いだままの彼女が不思議そうに見ていた。

「いや、だって…あんなに燃えてたのに…こんなすぐに消えたし…地面も焦げてない…」

俺が疑問に思った事を口に出す。

だが驚きすぎて言葉が上手く繋げれない。

子供かよッ?

だが、そんな俺の拙い言葉を理解してくれたのか、彼女はああ…と納得して、

「そういうものだ。」

と、真顔で一言言っただけだった。


え、それだけ?


呆気にとられて彼女を見る。

整った顔に赤い髪は襟足だけ長く、肩から見える両腕はよく見たら服ではなく柔らかそうな光沢を持った赤色の羽毛に覆われている。そうか、首もハイネックじゃなくて羽毛なのか。

彼女は肩に担いだ剣を鞘に入れて背中に担ぐ。

こちらに背を向けたから気付いたのだが、背中に2本の深いスリットの入ったケープの隙間から折りたたまれた翼が見えた。

「…鳥人間?」






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