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5月1日(水):選抜試験最終日②

「被害者はダイスケの方だろ」

「わたしは服を破られたんですよ!?

 それに、縛られそうになりました!

 こんなに証拠があるのに、どうしてあの人が被害者なんですか!」


 ベルリーナを盲信する神官達は被害者はベルリーナだと信じているが、王子であるユーリス様にはさすがに意見できないようで、彼を非難する声があちこちで囁かれ始めた。

 その声がベルリーナの背中を押したのか「その人が被害者だというなら証拠を見せてください!」と叫んだ。


「証拠ならあるよ」

「へっ…?」


 これにはベルリーナだけではなく、ダイスケを信じている私たちも驚いた。

 証拠なんて一体どこに……。


 ユーリス様は祭壇に歩みを進めると、祭壇の隅に置かれた薄い板を手に取った。

 前にも見たことがあるものだ。

 あれは確か……。


「これは『スマートフォン』っていう魔道具なんだけどね。

 色々と便利な機能が備わってるんだ。

 なん百冊もの本が読めるような機能や、音楽を聞ける機能……。

 そして、その場で起こっていることをそのまま記憶する機能」


 ユーリス様がそういってスマートフォンを指で叩くと、薄い板からベルリーナとダイスケの声が聞こえてきた。


「じゃあ僕はあちらで祈祷の準備をしてるんで」

「はぁーい。お互い頑張りましょうねぇ」


 いつも通りのベルリーナの猫なで声だ。

 ユーリス様はまた板を叩いた。


「聞き覚えあるよね? ないと困る。

 だってこれ、ついさっき君らがここに入ってきた時の会話だから」


 そうユーリス様が言った途端、ベルリーナの顔が醜く歪んだ。

 きっとこれから何が暴露されるのか察したのだろう。


 「小さな画面だから」といって、ユーリス様は数人を呼び寄せた。

 両陛下、カイル様、私、お父様、アライザスだ。


 スマートフォンを覗き込むと、そこにはダイスケとベルリーナの絵姿が表示されていた。

 絵姿というより、ユーリス様がいうように『そのまま』が記憶されているようだ。

 ユーリス様がまたスマートフォンを指で叩くと、今度はその絵姿が動き出した。


 ダイスケがベルリーナに背を向けた途端、ベルリーナはポケットからスカーフを取り出して、自分の片手首にそれをきつく結んだ。

 そして今度は鏡の前に移動して熱心に何かを確認しだした。

 あまりよく見えないが、どうやら胸の谷間が綺麗に見えるようにドレスの乱れ具合を調整しているようだ。


 ベルリーナがそうしている間も、ダイスケは後ろ姿しか表示されていない。

 彼女に少しも近寄っていないれっきとした証拠だ。


 胸元の乱れに満足したのか、ベルリーナは笑みを浮かべたまま祭壇の前に戻ってきた。

 花畑に座り込むように楽しげに床に腰を下ろすと、大きく息を吸って突如自分のドレスの裾を勢い任せに引き裂き始めた。

 布が破れる大きな音に驚いたダイスケが駆け寄ってきた途端、ベルリーナは神殿中に響き渡る悲鳴をあげる。


 そこからは私も見た光景だった。

 カイル様がドアを蹴破り、アライザスがベルリーナにローブをかけ、ダイスケが取り押さえられる……。


「以上が僕がいう『証拠』だけど、皆の判断は?」

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