4月29日(月):ダイスケside②
まずは僕が餃子の包み方を見せる。
さすが若手のホープであるジョン君は飲み込みが早く、数個作っただけで綺麗に餃子を包めるようになった。
問題はキリアンだ。
圧倒的な不器用さで何枚も餃子の皮を破いていく。
そのうち、皮に手を伸ばすキリアンから皿を奪い取って「包むのは僕らがやりますから!」と、ジョン君がストップをかけた。
プライドを傷つけられたキリアンが「俺にだってやれば出来るんだ!」と大人げなく暴れだしたところで、ユリ君が舞踏会から帰ってきたとメイドから報告が入る。
ユリ君が帰ってきたら、キリアンはユリ君のお出迎えと着替えの手伝いに行く事になっていたのでナイスタイミングだった。
僕は魂送りの仕上げの準備をすべく、餃子の皮包みをジョン君に任せて、だし巻き玉子や唐揚げを作っていく。
そうしている内にユリ君がキリアンの部屋にやってきた。
なぜかしきりにキョロキョロしているので理由を聞いてみたら、どうやらキリアンの部屋に来るのは初めてだったらしい。
専属執事っていっても、そういうところは割り切って付き合ってたのかもしれない。
ユリ君と一緒に戻ってきたキリアンが、また餃子包みをやろうとしてくるので、そこは僕とジョン君が全力で止めた。
もう皮を無駄にできないんだよっ!
すると、ジョン君の作業を見ていたユリ君が突然「僕もやる」と言い出した。
使用人二名が「王子が料理なんて!」って慌てて止めようとしたんだけど、僕は「ユリ君のお祖母さんの魂送りなんだし、ユリ君がしたいようにした方がいいと思うよ」と言って餃子の皮を手渡した。
手先が器用なユリ君らしく、綺麗なひだの餃子を手早く作りあげていく。
「キリアンの1億倍うまいね」ってユリ君を褒めると、キリアンが無言で脇腹にチョップを入れてきた。
ぼ、暴力反対!
ということで、ユリ君に餃子を包む作業を任せて、僕は料理の仕上げ、ジョン君は餃子の焼き作業、キリアンはテーブルセッティングと、それぞれ役割分担を分けて急ピッチで用意を進めていく。
ユリ君が準備に途中参加してから三十分後、ようやく僕らの魂送りが始まった。
*****
「えーっと、君は?」
「自分はジョン・ハードウィッグ、料理人でございます」
「ジョン君って確か、ユリ君と同い年じゃない?」
「はい、二十三歳でございます」
「そうなんだ?
同い年の知り合いってあまりいないから、よろしくねー」
「は、はい! こちらこそ宜しくお願い申し上げます」
「そんな固くならなくていいのに。
今日くらいキリアンもジョンももっとフランクに行こうよ」
「いけません、ユーリス様。わたくしもジョンも使用人です。
そのようなご無礼はあってはなりません」
「やだ。じゃあ王子として命令する。
僕らだけでいる時に過剰な敬語は禁止ね」
「ゆ、ユーリス様っ!?」
「キリアン、諦めなよ……。
その内『ユリ君って呼ばないと怒るぞ』とか言い出すから。
長年仕えてるなら、そういう子だって分かるだろ」
「それもそうなんだが……。
……はぁ。わかりましたよ、お手上げだ……」
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