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4月20日(土)

 カイル様の部下から『ストラリズ』についての報告があった。

 聖女選抜試験に関しての記事にベルリーナの介入があるか調べたようだけど、これに関しては彼女は『白』だった。

 ……ある意味『黒』だけど。

 つまり、ユーリス様とのデートが大勢の人が見ている中で大々的に行われてしまったので、否が応でも皆の気持ちが「ベルリーナを聖女に」「ユーリス様とのご結婚目前か」と動いてしまうのは自然な事だったというわけだ。

 そんな話題に大衆紙が飛び付かない訳はなく、連日の特集は自然なことだと。

 さすがに特集記事の差し止めはできなかったけど、異世界召還者についての報償金授与中止記事は載せさせた。

 とりあえず、屋敷への報償金目当ての不法侵入者は減るだろう。


 憂鬱になる報告を聞いて落ち込んでいる所に、エリーさん改めマリアンヌ女王陛下が部屋にやってきた。

 エプロン姿の女王陛下がいきなり訪ねてきて「これからティータイムに出すチーズケーキを作ろうと思うんだけど、一緒に作らないかしら?」と言ってきたのだ。

 驚きはしたが、断わる理由はない。

 城内ではあまり自由に動けないので、こういうお誘いはむしろ大歓迎だ。

 ありがたいことに、先日カイル様と作ったジャムクッキーに添えたカードに『今度はチーズケーキのレシピを教えてください』と書いていたのを覚えて下さっていたらしい。


 キッチンに行くと、フリルがついた可愛らしいエプロンが用意されていた。

 なんでも、先日のジャムクッキーのお礼としてのプレゼントらしい。

 ジャムクッキーのレシピを教えて頂いただけでも嬉しいのに、こんなにも素敵なものを頂けるだなんて!


 陛下のお菓子作りの手際の良さは、さすがとしかいえないものだった。

 「二人のやんちゃな男の子が早く食べたいと傍で騒ぐものだから、美味しさはそのままに少しだけ手を抜いて手早く作れるレシピを研究したのよ」とカイル・ユーリス兄弟の幼い頃のエピソードも交えてケーキ作りを進める。

 以前食べた絶品チーズケーキがこんなにも簡単な工程で作られていただなんて!

 ダイスケが「ユーリス様は魔道具作りの天才だ」といっていたけど、陛下はお菓子作りの大天才だわ。遺伝とはすごいものね。


 陛下と一緒に作ったチーズケーキをお茶と共に頂く。

 お世辞抜きでこの世でいちばん美味しいチーズケーキだった。

 「書き留めたものもあるから、今度作ってみてちょうだい」と手書きのレシピを頂いた時は、感激のあまりに泣いてしまった。

 子供が男の子ばかりだったので、こうして女の子と一緒にお菓子作りをするのが夢だったのよと陛下は頭を撫でてくださる。

 私も、お母様とこうして過ごすのが夢だった。

 物心つく前に精霊のもとへと旅立ってしまったお母様と……。


 陛下は「今度からは名前で呼んで貰えると嬉しいわ」と仰ったので、名前で呼ばせて頂く事になった。

 今度はシュークリームをマリアンヌ様と作ろうと計画している。なんでもカイル様の好物なんだとか。

 今日はカイル様にケーキを分けて差し上げられなかったから、今度はたくさん食べていただかなくちゃ!


*****

「アニー嬢、母上。ここにいたのか」

「あら、カイル。来るのが少し遅かったわねぇ」

「……どういう意味です?」

「実はマリアンヌ様とチーズケーキを作ったんです」

「それで?」

「先ほど、ユーリス様が通りがかりまして。

 食べきれずにとっておいたケーキを全て持っていってしまわれました」

「な、なんだと!?」

「研究の合間に魔道具研究所の皆で食べるそうですわ」

「カイル。研究所に行けば一切れくらい残ってるかもしれないわ。急ぎなさい?」

「く、くそっ!!」


…………


「あら? 戻ってきたのね。

 チーズケーキにはありつけたかしら」

「……全て食べられていましたよっ」

「あらあら、残念ねぇ」

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