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4月18日(木):選抜試験四回目②/ダイスケside

 ユリ君が持ってきたスマホを起動してみると、充電は残り十二パーセントになっていた。

 ギリギリかもしれない。

 記憶を頼りに該当雑誌を見つけ、ワイヤレス充電の記事を開く。

 説明する時間が惜しいので僕が読み上げたものをユリ君に書き写していってもらう。

 図版は日本語が読めないと描き移せないので僕が担当した。

 充電残り二パーセントでようやく全てを書き写し終えたが、その直後に充電は切れてしまった。


 何も説明せずに書き写しを頼んだけど、書き写す間に概要を把握したユリ君は僕の説明をせがみまくってくる。

 まるで「遊んで!」と尻尾を振りながら迫ってくる大型犬みたいだ。

 若者は体力も気力も有り余っているみたいだけど、おじさんはそうもいかない。

 気付けばもう夕方で、昼飯を食べずにいたので体力が限界だった。


 「こんな時間だから続きはまた今度にしよう」と言ってドアに向かおうとしたら、「いやだ」と手首を掴まれて引き戻された。

 そして壁際まで追い詰められて……まさかこの年齢になって年下の男の子に『壁ドン』をされる日が来ようとは思ってもいなかったなぁ……。


「試験が終わるまで二人きりで会えないのに、このまま『わいやれすじゅうでん』の事を中途半端にしろっての!? 帰さないんだから!」


 こんな風にデート終わりに「帰さないんだから」なんて、女の子に言われてみたい人生だった……(「もう帰りたい」って言われたことはあったけど)。

 それにしても壁ドンって威圧感ヤバくないか? これじゃまるで一昔前で言うところの『オヤジ狩り』だ。


 そんなことをぼんやり考えながら帰る言い訳を考えていたら、限界を向かえた僕の腹が盛大に音をたてた。

 距離が近いから彼の耳にもその音は聞こえてしまったようで「今すぐ夕飯の準備をさせるから続きは夕飯後に話そうねぇ」と優しい口調なのに目元が笑ってない笑顔で言われてしまった。

 こういうときのユリ君は怖いから逆らわない方がいい。なんたって王子だし……。


 既に夕飯の用意はされていたらしく、そのまま食堂へと案内される。

 普通にユリ君と二人で夕飯を食べるんだろうなと思っていた僕の予想は大きく裏切られた。


 まさか王家勢揃いとは思わないじゃないか。

 こっちは生粋のガチコミュ障おじさんだぞ。

 空腹なうえにストレスがかかった胃がキリキリと痛んだ。


*****

「ユーリス。試験の数値報告がないが」

「あー……兄上ごめん。忘れてた。

 ちょっと見てくる」

「えっ! ユリ……ユーリス様、ぼ、僕は!?」

「ちょっと見てくるだけだから。

 ダイちゃんは皆と先に食べててよ」

「え、ええぇぇ~……」

「ごめんなさいね、ユーリスって我が儘でしょう?」

「い、いえ。ただ、私は今まで人付き合いをしてこなかった人間なので、ユーリス様の距離感の近さに戸惑うことがありまして……。

 でも反対に、その距離感の近さに救われる事もございます」

「まぁ、そうなの?」

「今日もユーリス様に図書館の興味深い蔵書を色々と案内していただき、とても充実した一日になりました」

「ほう? あいつはどんな本を薦めたんだ?」

「こ、国王陛下!

 え、えーと、ユーリス様が幼い頃に読んでいた本や、各国の魔道具の違いに関するレポート、それと」

「お祖父様が隠してたエッチな本とかー」

「ゆ、ユーリス様!?!?!?」

「ユーリス……お前、聖女候補にあれを見せたのか」

「いいじゃん。男同士だし。

 でも、見せようと思ったのに逃げちゃった」

「あんな時代遅れのエロ本、見せたってつまらんだろ」

「ち、父上、余計な事は言わないで下さい!

 で? ユーリス数値はどうだったんだ?」

「あー……。まだ計りきれてなかった。

 だから夕飯を食べた後、ゆっくり酒でも飲んでってよ。

 ね? これも試験のうちだからさ」

「は、はぁ……」

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