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4月16日(火):ユーリスside①

 昨日はベルリーナ嬢との波長相性診断試験だった。

 正直言ってめちゃくちゃ疲れた。

 肉体的というより精神的に。


 兄上から事前に渡されたベルリーナ嬢発案のデートプランを見ただけでゲンナリした(兄上からは当日顔に出すなよと怒られた)。


 まずは朝から孤児院の視察。

 僕だって孤児院の視察に行くことは多いし、懐いてくれてる子供達だっている。

 そんな子供達が純粋な目をして「王子様とお姉さんは恋人なのー?」と聞いてくる。

 そうするとベルリーナ嬢は「やだっ! んもー、なにいってるのっ! ユーリス様に失礼ですよっ」と、すかさず言う。

 これが何回もあった。

 子供達は何も悪くない。

 無垢な質問を誘発させるベルリーナ嬢のやり方にイライラした。


 次に行ったのが教会だ。

 失業者に向けての炊き出しが行われている。

 当然ベルリーナ嬢は「少しの間、お手伝いしてきてもいいでしょうか……?」と上目遣いで聞いてくる。

 ダメとも言えないので了承したが、どうせ皆に『ユーリス王子と一緒に奉仕する聖女の私アピール』をしたいだけなんだ。

 僕も手伝うかと聞くと、一斉に他の職員達から断られた。

 王子でも炊き出しの手伝いくらいできるのに。

 でも、彼女の作業を見守るだけってのは時間の無駄だから、神父のところに行って魔道具で困ってる事がないか聞き、かまどの調子が悪いと言うので修理することにした。

 修理後に神父にお茶をごちそうになっていたら、ベルリーナ嬢が炊き出し作業が終わったと呼びに来た。

 僕が彼女を見ていなかった事が不服だったみたいだけど、そんなことには気付かないことにした。


 次はランチだ。

 よりによって人通りの多いオープンテラスのカフェで、だ!

 「こういうところでランチを食べるのが夢だったんです」と頬を赤く染めながらベルリーナ嬢は言う。

 「顔が赤いから風邪かもしれない。ランチは諦めて早く帰ろう」……なーんて言えるはずもなく、王子と聖女候補見たさに集まった国民と護衛たちに見守られながら苦痛に満ちたランチを食べる。

 時折、行き交う人たちから「聖女試験、負けるなよ!」とか「貴女を応援しているからね!」と、ベルリーナ嬢は話しかけられていた。


 毎回、聖女選抜試験は国民からの聖女候補と異世界から召還される聖女候補とで行われる。

 なのでどうしても国民は自国からの聖女を望みがちだ。

 聖女になるのも自国の人間である割合が高い。

 僕だって今回の試験が始まるまではボンヤリと『兄上か僕が自国の聖女と結婚するんだろうな』と考えていたと思う。


 でも実際に試験が始まってみたら、様子が全く違っただなんて思わなかったな。


*****

「ユーリス様、こちらにいらしたんですか?」

「うん。だって炊き出しの邪魔しちゃいけないし」

「じゃ、邪魔なんかじゃないですっ!

 傍にいてくださったら心強かったのになって思って……」

「傍にいるだけじゃ悪いから教会のかまどの調整をしてたよ。

 これも立派な教会の手伝いでしょ?」

「ユーリス様に直して頂いて随分使い勝手がよくなりましてな。

 心なしかかまどで沸かした湯で淹れた紅茶がいつもより美味しく感じられますわい」

「わ! そういってもらえると嬉しいよー。

 じゃ、ここにずっといたら試験が終わらないし次に行こっか」

「は、はい……」

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