4月15日(月)③
王家の使用人達にテーブルと椅子の用意を頼んでいる間、先日ダイスケが作った聖水池に連れていってもらう。
池の近くに咲いている野花をテーブルに飾ろうとカイル様が提案してくれたのだ。
いつものお茶会では立派に咲き誇る花が飾られていたが、今日のお茶会にはアンバランスだ。
小さな花瓶に合う数本の花を摘み取って生ける。
ほとんど二人で用意をしたので華やかさは少ないかもしれないけれど、今まで参加したどのお茶会よりも心が踊った。
カイル様がティーセットと茶葉を選び、私がその茶葉でお茶を入れる。
そんな些細な事でも楽しかった。
二人で作ったジャムクッキーは見事に成功。
以前一人で作ったジャムクッキーは悲惨な仕上りだっただけに喜びもひとしおだ。
それもこれも女王陛下のレシピのおかげなので、カイル様に許可を得てからジャムクッキーを屋敷から持参したプレゼントボックスに詰める。
陛下にも食べてほしいと思っていたのはカイル様も同じだったようで、小さな押し花があしらわれたカードを用意してくださっていた。
私とカイル様で短いお礼のメッセージを寄せ、プレゼントボックスに添える。
傍に控えていた執事に『メイド長のエリーさん』に渡してもらうようお願いする。
カイル様と二人で作ったクッキーだけれど、実際は陛下と三人でつくったようなものだ。
私達の感謝の気持ちが伝わるといいのだけれど。
屋敷に戻ってこの日記を書く段階で、ようやく今日がユーリス様とベルリーナの試験日なことを思い出した。
思い出したとはいえ、彼等の試験の事についてとりたてて何も感情が浮かんでこないのは、それだけカイル様とのお茶会が充実していたからだと思う。
ベルリーナとユーリス様の試験結果がどうであったにしろ、全世界で今日一番幸せだったのは私で間違いないだろう。
*****
「カイル様が焼いたスクランブルエッグ、とても美味しいですわ」
「それはよかった。
もし王位継承件を剥奪されたら町で料理屋でも開くかな」
「ふふ! そんなこと絶対にありえませんが、もし何かの間違いでそんな未来になったら、わたくしが常連になって差し上げましてよ」
「それならばアニー嬢の好きな料理もメニューに加えねばならないな。
何が好きだ?」
「昨日まではビーフシチューでしたが、今日から一番好きな食べ物が変わりましたの」
「おや、なんだろう」
「カイル様が作るスクランブルエッグですわっ」
「ははは! では今日からスクランブルエッグを焼く技術を磨きあげなければな!」
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