4月15日(月)②
カイル様に再度卵の殻を取り除く作業をしてもらいつつ、私は生地の作成に取りかかった。
女王陛下が書いてくださった細かい指示の、レシピのお陰で作業はスムーズに進んだ。
卵の作業を終えたカイル様にはジャムを作って貰うことに。
ジャムは火加減と混ぜ続けることに気を付ければいいので、お菓子作り初心者のカイル様でもできる。
ジャムが出来上がるまでの間、私は天板に生地を絞り出す作業に移る。
カイル様がジャムをかき混ぜながら搾り出し作業をやりたそうに見てくるので、途中から役割を交代することにした。
卵割りの時もそうだったけど、ちゃんと説明をして差し上げればカイル様は器用に作業をこなす。
さすがは優秀と名高い第一王子だ。
仕上がったジャムと生地を組み合わせてオーブンで焼く間、カイル様に一つ提案をしてみた。
「カイル様が割った卵を使ってスクランブルエッグを作ってみません?」
白身と黄身が混ざってしまっているので何に再利用しようか悩んでいたけど、スクランブルエッグであれば材料は揃っているし、カイル様になら簡単に作れると思ったのだ。
片手割り失敗分の二個と両手割り練習分一個だけでは足りないので、再度カイル様に卵割りをお願いする。
今度はきれいに割ることができたようで、満足そうにボウルの中身を見せつけてきた。
十歳も年上の男性だけれど、この時ばかりは思わず『可愛い』と思ってしまったわ。
必要な材料をボウルに入れて混ぜてもらい、熱したフライパンでたっぷりとバターを溶かしたら、いよいよ卵液を焼く作業だ。
カイル様が作った卵液を半分分けて貰い、まずは私がお手本を見せることにした。
作りながら卵の混ぜ方や火から降ろすタイミングを教える。
人に教えながら料理をするというのはなかなか大変な作業で危うく失敗しかけたけれど、なんとかなんとか美味しそうに仕上げられた。
私の説明を真剣に聞いていたカイル様も作業にとりかかる。
少しぎこちなさはあるとはいえ、危なげな様子は全くなく、初めて料理を作った人のものとは思えないような美しいスクランブルエッグが出来上がった。
もしかしたらカイル様は女王陛下の料理の才能を受け継いでいるのかもしれない。
*****
「とても美味しそうです!
つい先程まで卵を片手で握り潰していた人が作ったとは思えませんわね!」
「褒めるのと同時に傷を抉らないでくれないか」
「申し訳ございません。
でもあの卵潰しの絶望さが忘れられませんの。
しかも二回も!」
「うう……。わ、忘れてくれ!」
「まあまあ。
もうすぐクッキーも焼き上がりますし、スクランブルエッグと一緒に食べましょうね」
「それならば私が作ったスクランブルエッグはアニー嬢が食べてみてくれないだろうか」
「ではわたくしが作ったものは……?」
「交換しよう。アニー嬢が作ったものは私が」
「ふふっ! とても素敵な案ですわね!
さぁ、お茶会の準備をいたしましょうか」
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