4月15日(月)①
今日から第四回目の試験が始まる。
初日はベルリーナとユーリス様の波長診断という名のデートから実施される……はずだったのだが、何故か私とカイル様のデートも実施されてしまった。
約束の時間に城へ行くと、今日は四阿やカイル様の執務室ではなくキッチンに案内された。
いつもとは違うラフな出で立ちのカイル様がそこにいらっしゃった。
まだお菓子作りは始めていないというのにエプロンを付けて待っているという気合いの入りようだった。
「それでは時間となったので、デ、デ……、こ、コホン。デートを開始するっ」
……カイル様って一応、長い間婚約されてらしたわよね?
エレナ様ともこんな感じでデートされていたのかしら。
カイル様は女王陛下から貰ったというジャムクッキーのレシピを作業台に広げた。
材料は既に用意されていたので、後はレシピ通りに作るだけだ。
カイル様はほとんど料理をしたことがないというので、とりあえずは粉類の計量を頼む事にした。
真面目な性格のカイル様らしく、慎重に計りを使って薄力粉や砂糖を計量していく。
その間に私は卵やジャムに使う苺の下準備をしておく。
卵を片手で割れる事が地味な得意技なので、カイル様にも見てもらうことにした。
鮮やかな手付きで卵を割るのを見たカイル様は呆れたように「そんなことくらいなら私にも出来る」と言い出したのでやってみてもらう。
結果は案の定失敗。
割るというより粉砕しているので、細かい殻がいくつもボウルに入り込んでしまっている。
聞くと片手で割るどころか卵を割ったことすらなかったらしい。
それでよく「私にもできる」と自信満々に言えたわね!
とりあえず粉の計量は後で私が引き継ぐ事にして、カイル様には細かな殻を取り除く作業をしてもらうことにした。
苺の下処理が終わったので、カイル様がやっていた計量作業をしようと思った時、隣から不吉な音がした。
グシャリ。
そこには片手卵割りチャレンジに再び挑んで失敗したカイル様の姿が……。
大声で叱り飛ばしたいのをぐっと堪え、引き攣った笑顔でカイル様から卵が入った籠を遠ざけた。
相手は王族相手は王族相手は王族……!
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「コツさえ掴めばできると思ったんだが……」
「カイル様は両手で割ることから始めましょうか。
まず、台の角を使って卵の側面を少しだけ割ります。こうやって……少しだけ」
「なるほど……これでいいか」
「お上手ですわ。そうしたら、親指をその亀裂に少しずつ食い込ませて……こう、殻を開きます」
「……こうしてっ……で、できたっ!
少し黄身が割れてしまったが殻は入らなかったぞ」
「素晴らしいですわ!」
「これはクッキーに使えるか?」
「実はクッキーに全卵は使わないのです。
なので本来はこうやって割る途中で殻を利用して……こうして黄身と白身を分け、黄身だけ使うんです」
「ん? では何故最初は片手で割って見せたんだ。
あれでは黄身と分けにくいだろう」
「決まってるじゃありませんこと?
ただの自慢ですわ」
「く、くそっ!」
多分③くらいまで続きます。
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