4月12日(金):ベルリーナside
さっきアライザスが来て「カイル様から、御神木の森で何をしていたか聞かれた」って言ってきた。
どうせわたしたちが魔法石を精製していた証拠なんてないんだから、堂々としていればいいのよ。
それにしてもむかつく。
何日も徹夜して大きな魔法石を作ったのにのに、あのおっさんが池の水を聖水にしたから、わたしたちの計画が台無し。
カイル様に見せる用に魔法石になりかけのものまで作ったのに全部無駄。
アライザスもアライザスだわ。
大きい魔法石ってよく考えたら陳腐じゃない。
アライザスが池の水の聖水化を思い付かなかったのがいけないのよ。
私は悪くないわ。
神官長になりたいんだったら、もっと頭を働かせてわたしのサポートをしなさいっていうのよ。
私が聖女になれさえしたら、簡単にアライザスを神官長にしてあげられちゃうんだから。
そして、聖女になったわたしの旦那様にはユーリス様が相応しいの。
国民だってあんなくたびれたおっさんよりわたしみたいな子が聖女になった方が喜ぶし、ユーリス様も喜んでくれるわ。
もし、あのおっさんが聖女になんかなったら、補佐官のあの女が「わたくしは功労者ですのよ~」とかいってユーリス様に取りつくに決まってる。
そんなのユーリス様が可哀想!
なんとかしてあの女を補佐官から引きずり下ろそうとしてるけど、カイル様が真剣に取り合ってくれないから上手くいかない。
せっかく使用人に金を渡して屋敷の壁を汚させたり花壇を踏み荒らさせたのに。
カイル様ったらどうしてあの性悪女の仕業だと思わないのかしら。
まぁ、実際やってるのはわたしなんだけど。
本来ならあの女のみじめったらしい父親が召喚するような奴には負けない自信はあったのよ。
正々堂々と試験で打ち負かしてあの女の前でユーリス様と結ばれる予定だったのに、あのおっさんが化け物だったせいで思い通りにならないのがイライラする。
ユーリス様をあの女の毒牙からお守りするためにも、なんとかしてあの二人を試験から離脱させないと。
*****
「この間の試験が上手くいかなかったからって、また余計な事をするなよ」
「余計な事って?」
「屋敷の落書きや花壇のことだ!
事後報告で言われて、慌ててカイル様相手に立ち回らなくてはいけなかったんだぞ」
「だってぇ~。アニーが試験に首を突っ込んでくるからいけないのよ」
「アニー嬢を犯人と疑う事件が続くからカイル様は我々を疑い始めたんだ」
「ちがいますぅ。
カイル様が疑い始めたのはアライザスの魔法石作戦がクズだったせいですぅ」
「ぐっ……!」
「あーあ、もういっそ誰かに頼んであのおっさんを殺してもらっちゃう?」
「やめろ! 莫大な聖力をもつ者が殺されてみろ。
この国から精霊の加護が消えるかもしれん」
「えぇ~、めんどくさいなぁ~……」
「今はこの間の試験結果を次で挽回する事だけを考えろ」
「はいはい」
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