4月10日(水):カイルside
アニー嬢からベルリーナ嬢の魔法石について話したいことがあると連絡が来たので、明日登城するようにと返事を出した。
ベルリーナ嬢の件でもし不正があったとしたら試験中断を視野に入れなければならない深刻な事態なのだが、それと同じ程にアニー嬢とのお茶会に出す菓子の問題も深刻な事態になってしまっている。
最初のお茶会では神官長殿に、二回目のお茶会ではユーリスにアニー嬢が喜びそうなスイーツ店を教えてもらっていたが、神官長殿は祈祷の真っ只中だし、ユーリスに頼むと『ダイスケも来るなら教える』と言われて厄介だ。
以前と違って議題が試験そのものの不正に関係するから、聖女候補が側にいては話しにくい。
アニー嬢と二人で話し合いたいなどど不届きな思いは決してない。
メイド達に聞くのも厄介なことになりそうなので、断腸の思いで母上に聞くことにしたのだが、これが失敗だった。
ただ「母上が美味しいと思うスイーツ店を教えてもらえないだろうか」と言っただけなのに何を勘違いしたのか「やっとカイルに好きな子ができたのね!」と食いぎみに迫ってきた。
ただ試験の不正に関する話し合いの場に出すための菓子を仕入れたいだけだし、そもそもアニー嬢にはそういう感情をもっていないと答えたのだが、母上は「アニー嬢!? アニー嬢って方とお茶会をするって事? あら、確か神官長の娘さんもアニーって名前よね? まぁ、いつの間にそんな関係に」と言って、全く話が噛み合わない。
エレナが天へと旅立ってから私が女性に関する話をしなくなったので、どうしても春めいた方向に話を進めたいのだろう。
否定しようとしても「照れなくていいのよ」と言われて話にならない。
照れているわけじゃない! 困ってるだけなんだ!
母上は明日のお茶会に間に合うように、とっておきの菓子を用意するから大船に乗ったつもりでいなさいと自分の胸を叩いた。
私としては転覆間近の筏にすがりついているような気分である。
母上に相談するのは失策だったかもしれない。
*****
「今までのお茶会でアニー嬢が避けていたお菓子とかあったかしら?」
「彼女が無理をしていなければ、避けたいたものはなかったかと。
どんな菓子でも美味しそうにたべていましたね。
ただ、赤いベリー系の菓子が好きだと話していたことがあったような……」
「あらあらぁ。アニー嬢の好みをちゃんと把握してるのね!」
「だーかーらー!
アニー嬢とはそういう関係じゃありませんからっ!」
「照れなくてもいいのよぉ」
「……母上。明日のお茶会に母上も参加する気ではないでしょうね……」
「そんな二人の仲を邪魔するような野暮なことしませんよ」
「…………(くそデカため息)」
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