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4月8日(月):選抜試験三回目⑤

三回目選抜試験はこちらで終了です。

一気に読みたかった方は①からどうぞ。

 ベルリーナ達が森に入って三十分。ようやく三人が戻ってきた。


 最初に森から戻ってきた時とは違い、ベルリーナとアライザスの表情は暗い。

 皆が見守る中、カイル様が言った。


「ベルリーナ嬢は規定時間内に魔法石の精製を行えなかった為、以上で三回目の選抜試験は終了とする」 


 その言葉を聞いて、アライザスの部下達は落胆の声をあげる。

 試験に余計な感情を挟むのを良しとしないお父様の部下達は、それまで試験に対する思いを隠して見守ってくれていたけど、さすがにこの時ばかりはほっとした笑顔を浮かべていた。


 わざとらしく泣き出したベルリーナを支えながらアライザスは私とダイスケを睨み続けている。

 ここまできてもまだ納得していないらしい。しつこい男は嫌われるわよ、アライザス。

 

 この状況をどうしたものかと考えていると、ダイスケがアライザスとベルリーナに近づいていった。

 一体何をしようというのだろう。


「精製の時に一緒にいたマーティン様やカイル様に不正の疑いの目が向けられると困るので」


 そう言って、ダイスケは足元にあった小石を拾い上げると、それを瞬時に魔法石に変えてみせた。

 その様子を見ていた全員が息を呑んだ。

 御神木から離れた場所で魔法石を精製する事は不可能だからだ。

 それだけダイスケは精霊の加護を得られやすい人間というわけで、御神木の近くであれば短時間で数多くの魔法石の精製が可能だということを示している。


 今しがた精製した魔法石を聖水の池の中に放り込むと、小さな浮草が水面に広がった。

 小石の正体は最初の予定で作ろうとしていた『木の魔法石』だったらしい。

 水の浄化を促すその浮草は、これからも聖水の状態を正常に保っていく事だろう。


 さすがに何も言い返せなくなったのか、アライザスはベルリーナと取り巻きを連れて足早に去っていった。

 あぁ、ベルリーナの去り際の悔しそうな顔ったら!

 思い出しただけでも笑いが止まらないわ!

 ダイスケの能力の高さを恨むのではなく、自分の無能さを恨みなさいな。


 こうして三回目の選抜試験はダイスケの起こした奇跡で幕を閉じた。


*****

「カイル様。一つ聞いても宜しいでしょうか」

「ベルリーナ嬢の事か?」

「さすがカイル様。その通りですわ」

「最初の精製の時は、三分の一ほど魔法石化した状態までは見ていたので、精製の能力自体はあるのだと判断した。だが……」

「『だが』?」

「二回目の時は石に何の反応も見られなかった。

 やはり短時間で魔法石を精製する事は彼女には無理なようだな」

「やはりそうでしたの……」

「……何かあったのか?」

「不確定な事なのでまだお伝えできませんわ」

「試験に関わる事だ。近い内に概要だけでも教えてくれると助かる」

「わかりましたわ。その時はまた美味しいお菓子が並んだお茶会を開いてくださいませね」

「はは! 敵わないな、君には……」

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