4月8日(月):選抜試験三回目③
三回目の試験はまだまだ続きます。
一気に読みたい方はあと数話お待ちください。
アライザスが文句を言い出したせいで試験は中断状態となってしまったが、いよいよ魔法石の浄化作用テストが始まった。
テストの順番は最初に戻ってきたベルリーナからだ。
ベルリーナが池に魔法石を落とし込むと、瘴気と毒素で濁った水に透明度が戻っていく。
ベルリーナを聖女に推している神官達から「流石ベルリーナ嬢だ」と歓声があがった。
池の水が完全に透明になった後、辺りに漂う瘴気が水に吸い込まれていく。
再び水は濁ったが、そのうち再び透明になっていき、池の水は完全に浄化されたことが見た目にも分かった。
その間およそ十分。
わずかな時間で浄化が完了し、ベルリーナは鈴の音のような声で「魔法石さん、ありがとうございます」と池に向かって小さく手を振った。
なんて芋くさい演技なのかしら!
「さすが聖女様だ!」と喜ぶ神官達も芋観客だけれども。
続いてダイスケの番だ。
ダイスケは手の中にある三つの魔法石を選びながら池に近寄っていき、風の魔法石を選んで池の淵にそっと置いた。
すると、池から放たれていた瘴気が瞬時に魔法石に吸い込まれていく。
「あ、ちゃんと効果あるんだ。よかったぁ……」と、呟くダイスケ。
空気中に漂う瘴気が水に溶け込む心配がなくなった事を確認すると、今度は水の魔法石を池の中に投げ入れた。
慎重に魔法石を池に落とし込んでいたベルリーナと違い、その様子は少し大雑把にも思える。
水面に魔法石が当たり、『ポチャン』と音をたてたかと思うと、その音と共に水の濁りがスウッと消えた。
私たちは一体何を見ているんだろう。
タネも仕掛けもあるわざとらしいマジックショーのように浄化は進んでいく。
「じゃあ、仕上げですね」と言うと、ダイスケは水に浸っている土に最後の魔法石を埋め込む。
残っていたのは土の魔法石だ。
その途端、水面が強烈な光を放つ。
あまりの眩しさにある者は逃げ出し、ある者は腰を抜かした。
光が収まって、ようやく何が起こったのか分かった。
仄かに光るその水は、紛う方ない『聖水』。
ダイスケは池の水を浄化するどころか、聖水に変えてしまったのだ。
魔獣避けや魔獣毒の治療に欠かせない聖水は貴重で入手が困難なのに、そんな貴重な水が池まるごと一つ分だ。
ベルリーナやアライザスも驚きの色を隠せないでいる。
池の水を聖水化させるまで、わずか三分。
誰が見てもダイスケの方が魔法石の精製能力が優れていることは明らかだった。
しかし諦めの悪い馬鹿がまた騒ぎ出した。
アライザスだ。
この時点であの男を会場からつまみ出すべきだったと後々カイル様はおっしゃったけど、私はそうは思わない。
ここからが最高に楽しかったんだもの!
*****
「魔法石さん、私に力を貸してくれてありがとうございますっ」
「浄化後の礼も欠かさないとは、既に立派な聖女のようですな」
「だって、私のお願いを聞いて頑張って浄化してくださったんですもの。
感謝の気持ちを表すのは当然かなって思ったんです」
「さすがはベルリーナ嬢だ」「慈愛の化身だ」「聖女としての資質に溢れている」
「……(アホ神官共、今に見てなさい!
うちのダイスケだって立派な『聖女(仮)』なんですからっ!!)」
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