第二話 再会
「……ここ、どこだろう?」
気が付くと、見知らぬ森の中にいた。
地面に座り込んだ状態で、ポカンと辺りを見渡す。
見たことのない変な色の花や、変な形の木々を見て首を傾げた。
まるで、異世界に来ちゃったみたい。
いつまでもこうしてる訳にもいかない。とりあえず、場所を移動しないと。
そう思い、立ち上がろうとした時だった。
──グルルル……。
獣の唸り声が、聞こえてきた。
びく、と肩を震わせ、動きを止める。
ガサガサと音を立てて茂みの中から現れたのは、見たことの無い生き物。
狼のような、でも全く違う。ギラリと光る大きな牙と、禍々しい爪。
「ま、魔物……?」
恐怖に、身体が震える。
魔物は、此方を獲物と捉えているようだった。
涎を垂らしながら、ゆっくりと近づいてくる。
どうしよう、どうしよう。襲われる……!
次の瞬間、魔物が地を蹴った。
ぎゅっと目を瞑り、襲い来るであろう衝撃に備え身を縮こませる。
──ギャンッ!!
いつまで経っても衝撃は来なかった。
代わりに聞こえてきた魔物の悲鳴と、何かが争い合う音。
一体、何が……?
恐る恐る、目を開けると。
そこにいたのは、整った顔立ちをした獣人の青年。
「……あ、……」
魔物を倒し、獣人の青年が此方を振り向く。
ぱち、と目が合い、思わず肩が跳ねる。
背が高いせいか、威圧感があってとても怖い。
助けて、くれたんだよね……?
すると、此方が怯えている事に気付いたのか。青年はピシリと固まり、ワタワタとし出す。
その様子にきょとんとしていると、青年は勢いよく踵を返して、森の奥へ走り去っていってしまった。
えっ、行っちゃった。
まだお礼も言えてなかったのに……。
自分の鈍くささに、しゅんと肩を落とす。
これからどうしよう、と考えていた時。
森の奥へ去っていったはずの青年が、全力疾走で帰ってきた。
「わ、わ、どうしたの?」
「……!」
青年の手の中には、つやつやと光る赤くて丸い果実。
ちょっとリンゴに似てるなあ。
そう思っていると、青年はおずおずとそれを此方に差し出してきた。
そして何か言いたげに、口をモゴモゴさせる。
やがて青年が発した、その言葉に、私は驚きの声を上げた。
「……『くだものは、すき』?」
小さな獣人の男の子の面影が、目の前の青年と重なる。
パッと笑顔になると、青年は嬉しそうに目を細めて笑う。
「……あいたかった」
優しく私を抱きしめる青年の後ろで、ゆらり、と尻尾が嬉しげに揺らめいた。




