放浪の日々
この話で出てくる路線バスは、今はもう辿れないらしいです泣
ああ〜放浪し続けてどれだけ経っただろうか。
故郷の祭川村を離れて放浪し続けているボク、平木田礼温は日常生活が嫌になって放浪生活をしている。いくつの村を通り過ぎてきたのだろうか。いくつの海峡を渡ってきたのだろうか。それはもう遠すぎてわからない。しかし、ボクの中では故郷に帰ろうという気持ちはない。故郷を感じさせるものはただ一つ。首にぶら下げた天狗の爪の首飾りだけだ。父からお守りとして貰ったものだが、いつの時代にどこで見つかったのかはわからない。
今、高知県に入ったみたいだ。途轍もない山奥を走る路線バスにどれほど揺られたことか。朝には道後温泉に入ったっけか。少しお金を使い過ぎたから、高知市に着いたら靴磨きをさせてくれるところを探さねば。すっかり冷めたじゃこ天を頬張りながら、低くなっていく山並みを見つめる。じゃこ天には魚の旨味がたっぷりと詰まっているため、冷めてもなかなかいける。大きな遅れもなく、終点の佐川駅に着いた。
順調に汽車が来たなら、10分もかからずに来るはずだが、一向に来ない。
何人かの待ち客がため息をつき始める頃、焦ったような声でアナウンスがかかった。
「たった今、先行の列車が正体不明の生物によって走行不能状態にさせられてしまいました。お急ぎの方には申し訳ありませんが、ただいま代行バスを配備中です」
信じられないことになった。そのような現場を見ずにはいられないボクは、周りの人が歩いて行く方向とは違う方向へと向かって行った。
途中、極度にオシャレな雰囲気の女の子にぶつかった。ドレスのようにオシャレな服に、高価そうな靴など、どうも違和感がある。
「あら、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫です。あなたこそ大丈夫ですか?」
「脱出行に疲れただけです。あたしは特に異常ないので逃げてくだされ」
逃げようとしたが、なぜか両方とも脚が動かない。その間に、前から異様なものが近づいてくる。あれは一体なんだ!?




