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16-4

【悲報】教師ワイ、再び魔法学校を追い出される


◇1:名無しの元引きこもり

 助けて、解雇された。


 2:名無しの転生者

 またですか


 3:名無しの転生者

 こいついつも学校に出たり入ったりしてるな


 4:名無しの転生者

 で、今度はなにやらかしたの?


◇5:名無しの元引きこもり

 >>4

 いや今回はガチで何もやってない

 新校長が国家反逆罪で逮捕されたから、巻き添えでワイもクビになった


 6:名無しの転生者

 えぇ……


 7:名無しの転生者

 逮捕する相手間違ってないか?


 8:名無しの転生者

 それにしても国家反逆罪で逮捕とかロックな新校長だな


 9:名無しの転生者

 もう校長じゃないぞ


 10:名無しの転生者

 じゃあ元校長だな。


 11:名無しの転生者

 元校長はすでにいるだろ


 12:名無しの転生者

 その元校長も校長じゃなくなってたけどな


◇13:名無しの元引きこもり

 >>12

 いや、元校長は校長に戻ったからもう元校長じゃないぞ


 14:名無しの転生者

 じゃあ新元校長でええか


 15:名無しの転生者

 それじゃややこしいやろ、元新校長にしよう


 16:名無しの転生者

 ほなら元校長は元元校長やな


 17:名無しの転生者

 なんか余計ややこしくなってない?


◇18:名無しの元引きこもり

 もう校長一号二号でいいよ

 これでかいけつですね


 19:名無しの転生者

 話が振り出しに戻っただけじゃね?


 20:名無しの転生者

 イッチは結局これからどうするんだ


 21:名無しの転生者

 学生もだめ、教師もだめならもうどうやっても学校にいられないじゃん

 詰んでね?


◇22:名無しの元引きこもり

 フフフ……

 実はもう復帰の算段は付いてるんだよなぁ……


 23:名無しの転生者

 ほんまか?


 24:名無しの転生者

 またまともな方法じゃなさそう


◇25:名無しの元引きこもり

 >>24

 ちゃんとした手段やで。校長一号が、ワイに復学試験を受けさせてくれるんや


 26:名無しの転生者

 思ったより普通の方法だな


 27:名無しの転生者

 今までロクなことしてないのによく受けさせてもらえたな


◇28:名無しの元引きこもり

 >>27

 いやな、そもそも退学になったのは二号が校長になるために強引に決めたんやって、

 一号の監督責任がどうとかで。だから退学は不当なものやったんや。


 29:名無しの転生者

 言うほど不当か?


◇30:名無しの元引きこもり

 ほんで、一号が校長に戻れたから、今度はワイを復学させてくれるらしい。

 教職クビになったのも、その前準備やったってわけや。

 ありがとう、校長一号!


 31:名無しの転生者

 ホンマにこいつ復学させてええんか一号!?


 32:名無しの転生者

 まだ二号が校長やったほうが良かったんじゃないか?


 33:名無しの転生者

 それだとイッチは教職のままだからもっとまずいぞ

 まだ生徒のほうがマシだろ


◇34:名無しの元引きこもり

 そろそろ復学試験あるからいってくるわ

 といっても建前で必要なだけでクッソ簡単らしいから心配いらんけどな


 35:名無しの転生者

 おっそうだな


 36:名無しの転生者

 前にも見たぞこの流れ


 37:名無しの転生者

 フラグビンビンですよ


    ◆


 王立魔法学校、職員会議室──。


 ギルバートの逮捕を受けて招集された緊急会合は、本来ならば重苦しい空気に包まれているはずだった。

 しかし実際の会議室には、その緊張感とは正反対の、どこか祝宴めいた浮かれた空気が漂っていた。


「いやあ、レオナルド校長! この度はご復帰、誠におめでとうございます!」

「これで、あの男の独裁も終わりですな!」


 緊急の会合であるにもかかわらず、テーブルにはワインが並び、あちこちでグラスの打ち鳴らされる音が響いている。

 その中心にいるのは、校長の座に返り咲いたレオナルド・グリムフォードだった。教師たちから次々と賞賛の言葉を浴びせられながらも、彼の表情だけは、周囲の浮かれ具合に反して硬いままだった。


「まさに天罰ですな! あの強欲な男が失脚し、せいせいしましたぞ!」


 ひときわ大きな声でそう言ったのは、ハーゲン教授だった。

 彼は上機嫌にワインを呷り、愉悦を隠そうともせずに満足げな笑みを浮かべている。


 だが、その高笑いが響く中でも、レオナルドの胸中は晴れなかった。

 ギルバートの失脚は、あまりにも急で、あまりにも性急だった。あの男が、ただ権力欲に目が眩んだだけで自滅するような、そこまで単純な輩だっただろうか。そう思うと、どうしても腑に落ちないものが残る。


「校長、見ましたぞ。学会での奴の無様な最期を」


 ハーゲンが、笑いを噛み殺すように声を潜めた。


「なんとあの男、発表の場で【啓導の光輪】について言及しおったのです! 発表が始まった途端、警備の衛兵が駆け込んできて、そのまま壇上から連行。論文も没収され、何を言いたかったのか誰にも分からんまま──まったく、滑稽な話ですなあ」


(……なんだと?)


 その一言が、レオナルドの思考を鋭く貫いた。


 【啓導の光輪】。

 あの深淵に、ギルバートもまた手を伸ばしていたというのか。


 ハーゲンの嘲笑は、もはや耳に入っていなかった。

 レオナルドの脳裏では、ばらばらだった点と点が急速につながり、一つの恐ろしい輪郭を形作り始めていた。


(……まさか、あの男)


 思考が、深く沈んでいく。


(エイン君を教師として手元に置いたのも、校長の座に執着したのも、すべては【啓導の光輪】に秘められた何かを暴くためだったのか? そして、学会の場でそれを公にし、自らの破滅と引き換えに真実を訴えようとした……?)


 さらに、ひとつの事実が背筋を冷たく撫でた。


(そして、エイン君はその【啓導の光輪】を改造した張本人じゃ。あの少年が無自覚に触れたものを、ギルバートは意図的に暴こうとした。ならば──)


 ギルバートは、自分ひとりが罪を被ることで、関係者を守ろうとしたのかもしれない。

 王家の禁忌に触れれば、誰も無事では済まない。だからこそ、あえて独断で校長となり、すべての責任を自分のもとに集めた上で、闇に切り込もうとしたのではないか。


 もしそれが真実ならば。

 それはあまりにも愚かで、そして危険なまでに自己犠牲的な行動だった。


 ギルバートは何を掴み、何を訴えようとしていたのか。

 その真意は、今や闇に葬られてしまった。だが、彼の捨て身の行動だけは、何より雄弁に物語っている。


 ──【啓導の光輪】は、レオナルドの想像を遥かに超える、暗い秘密を孕んでいる。


(……ワシは、とんでもないものを見過ごしていたのかもしれん)


 やり場のない焦燥と、かすかな畏怖が、静かに胸を締めつけていた。


「おまけに、あの問題児エインもクビになった! まったく、祝杯をあげるには十分すぎる理由ですな! フォッフォッフォ!」


 そんなレオナルドの内心を知るはずもなく、ハーゲンは得意げに、さらにエインへの罵詈雑言を続けようとする。

 だが、その言葉はレオナルドの静かな一言によって遮られた。


「ハーゲン君。その話だが……ワシは、エイン君を生徒として復学させるつもりじゃ」


 祝宴のざわめきが、まるで嘘のように止まった。

 シン、と静まり返った会議室で、誰もがレオナルドの顔を凝視する。


「なっ……!?」


 ハーゲンの顔から血の気が引いた。


「あのような素行不良の塊を、再びこの学び舎に!? 正気ですかな!」


 他の教師たちからも、どよめき混じりに懸念の声が上がる。

 しかし、レオナルドは静かに首を振った。


「確かに、エイン君の素行に問題がなかったとは言えん。じゃが、彼の退学はギルバートがワシを追い落とすための謀略に巻き込まれた結果でもある」


 ギルバートがエインを教師として傍に置いたのは、おそらく“復学”という選択肢を未来に残すためだった。

 ならば、その意志を受け継ぐのは自分の責務である。レオナルドは、そう判断していた。


 そして、穏やかながらも有無を言わせぬ口調で言葉を継ぐ。


「それに、若くして道を踏み外した者にこそ、学び直す機会が必要じゃ。それを認め、導くことこそ──教育者の務めではないかね?」


 それは、あまりにも真正面からの正論だった。


 教育者としての理念を突きつけられ、ハーゲンはぐっと言葉に詰まる。

 顔を怒りに紅潮させながらも、何かを言い返そうとしては飲み込み、数秒の沈黙が会議室を支配した。誰もが、ハーゲンの次の言葉を待っていた。


 やがて彼は、絞り出すように、しかしどこか計算高い響きを含んだ声で口を開く。


「……校長の教育理念、感服いたしました。そのお考え、まさしく教育者の鑑。寸分の曇りもございませんな」


 思いがけない“同意”に、レオナルドだけでなく、他の教師たちも目を見開く。

 だが、ハーゲンはすぐに言葉を継いだ。


「――ですが」


 ひと呼吸置き、レオナルドの表情を伺いながら続ける。


「それならばこそ、然るべき手続きを設けるべきでしょう。形式上、彼は一度退学となった身。ならば復学にも、それ相応の形式を経るのが筋というもの。ここはひとつ、“規則に従い”、入学希望者と同様に選定検査を形式的に受けさせるのが理に適っておるかと。もちろん、彼ほどの逸材であれば、何の問題もございますまいが」


(……ふむ。ハーゲン君らしい、実に杓子定規な提案じゃな)


 レオナルドは内心で静かに頷いた。


 あれほど強硬に反対していたハーゲンが、今こうして“形式”という落としどころを持ち出している。

 それは彼なりに筋を通しつつ、レオナルドの決定を受け入れる意思表示なのだろう。そう考えると、老獪な教育者の顔に、ふっと安堵の笑みが浮かんだ。


 ハーゲンがエインを受け入れてくれた。

 それだけで、今日の会議は十分な成果だとさえ思えた。


「うむ、もっともな意見じゃ。ハーゲン君、君も道理を理解してくれたか。よかろう。その形式に則って、選定検査を受けさせようではないか。皆の前で、エイン君の復学を、しかるべき形で示してみせよう」


 ──そして、復学試験当日。


 レオナルドの期待と、ハーゲンの思惑が交錯する中。

 試験官として立ったハーゲンが、やけに誇らしげな声で高らかに宣言した。


「第一検査は──魔力量の測定だ! 何、心配するなエイン。授業でいつもやっていた訓練より、よほど簡単だぞ!」


 その声は、勝利を確信している者のそれだった。


    ◆


◇50:名無しの元引きこもり

 試験落ちた


 51:名無しの転生者

 はい


 52:名無しの転生者

 魔法チートあるのに落ちるってどんな試験やったんだよ


◇53:名無しの元引きこもり

 >>52

 入学者決めるときの試験っつーか検査だな

 魔力量測定したけど基準値に達してなくて落ちた


 54:名無しの転生者

 草


 55:名無しの転生者

 そういえばこいつ魔力量少なかったな


 56:名無しの転生者

 魔力少ない割にはこないだ貴族達に精神魔法撃ちまくってた気がするが


◇57:名無しの元引きこもり

 >>56

 そら効率化よ。

 普通の攻撃魔法と違って起こす現象のエネルギー量が小さいから極めればいくらでも効率化できる。

 学校に入学してから使う機会増えたから頑張って効率化したんだよ。


 58:名無しの転生者

 どんな学校に通ってんだよ


 59:名無しの転生者

 人間の血は通ってないだろうな


 60:名無しの転生者

 あれ?

 入学者決める検査やって落ちたならそもそも何で入学できたの?


◇61:名無しの元引きこもり

 >>60

 いやな、一号が入学前にワイに会いに来たときにバトルしたやろ?

 それで一号がワイは入学者の資格あると思い込んで、検査忘れてたみたいなんや


 62:名無しの転生者

 えぇ……


 63:名無しの転生者

 ボケちゃったのかな?


 64:名無しの転生者

 おじいちゃんだからね、しょうがないね。


◇65:名無しの元引きこもり

 >>63

 >>64

 それがな、実はワイのせいなんや


 66:名無しの転生者

 どういうこと?


◇67:名無しの元引きこもり

 バトルのとき一号に【忘却】(オブリヴィオン)撃ちまくったけど、全部防がれて魔力切れで負けたやろ?

 でも最後に油断してた一号に、こっそりもう一発撃ったんや。魔力不足で不発やと思ったからわざわざ言わんかったけどな。

 でもな、不完全ながら効いてたみたいで「検査することを忘れる」って効果だけは出てたみたいなんや。

 もしやと思って【想起】(リメンバー)使ったら、案の定それで忘れてたのが判明したわ。


 68:名無しの転生者

 えぇ……


 69:名無しの転生者

 じゃああれか、イッチが一号に余計なことしなければ学校に行くことはなかったわけか


 70:名無しの転生者

 というかそれ以前に検査官の記憶消したりしないで素直に検査受けていれば、そもそも一号も来なかったし、入学者に選ばれることもなかったってことやん。


◇71:名無しの元引きこもり

 >>70

 ほんまや、ワイはなんて無駄なことを……


 72:名無しの転生者

 入学する意思も資格もないのに、自ら裏口入学するアホがここにいます


 73:名無しの転生者

 校長一号はイッチを魔法学校に連れ出した戦犯だと思ってたけど、まさかイッチ自身が戦犯だったとはね……


 74:名無しの転生者

 ほんで結局これからどうするんや

 また食い扶持なくなってもうたやんけ


◇75:名無しの元引きこもり

 >>74

 あるぞ

 退学の時は二号に着の身着のまま追い出されたけど、今回は荷物整理する時間あるからな。

 現金を持ち出す時間もあるし、作る時間もある。とりま明日からは宿ぐらしや。


 76:名無しの転生者

 作るな


 77:名無しの転生者

 やっぱ刑務所ぐらしのほうが似合うよお前は

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