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その後の話 2 ノアside

楽しんで頂けると嬉しいです。

「はぁ。疲れた」


 あの2人と話すのは疲れる。自分たちの事ばかりで受け答えするだけでも苦痛なのに。

 職務室の椅子に疲れた体を預けた。


 ここは僕だけの力じゃどうにもならないか。迷惑は掛けたくなかったけど協力してもらえるよう頼もうか。

 ナディアと一緒になる為にここは引けない。


「逢いたいなぁ」


 2週間も逢えてない。早く逢いたい。あんな任務がなかったら今頃ナディアと毎日逢ってるのに。

 1年前はこんなに思い焦がれるなんて思っても見なかった。


「いっその事、殺っちゃおうかな」

「物騒な事はおやめ下さい」


 アランがいつの間にか部屋の中にいた。

 険しい顔をしていて、僕の言葉を本気で受け止めてしまったらしい。


「冗談だよ。ここまで来てするわけ無いよ」 

「ノア様はやりそうなので」

「お前の中の僕ってどんなの」


 クスクス笑うアランに一気に疲れが倍増した。


「今日、ナディア様がいらしゃいました。ロージー様とご一緒に庭園でおやすみになられていました」


 ナディアがロージーと遊んでる姿を想像して笑みが溢れた。可愛いな、なんて思ってしまう。


「これを」


 アランは1通の手紙を僕の前に出す。

 手紙はナディアの字で書かれている。

 アランから奪うように受け取り手紙を読み進める。心が満たされて自然に笑顔になる。


(……僕も愛してる)


「あー。ますます逢いたくなった」

「急いで事を進めないといけないですね」

「そうだな」


 ナディアの手紙をそっと撫でた。





 赤い絨毯を歩き王座に座っている皇帝陛下に跪き頭を下げる。


「お時間を取ってしまい申し訳ございません」

「ノア、気にするで無い。ウォール国では良き働きをしたな」

「ありがたきお言葉、感謝申し上げます」

「ノア以外の者は下がるがよい。ノアと親子の会話をしたいのでな」


 僕以外の者は下がり2人きりになる。皇帝陛下は僕の前に来る。顔を上げると雰囲気が変わり皇帝陛下ではなく、父親がそこに居た。


「ノアに面倒事を押し付けた形になってしまったな。ナディアにも申し訳なかった」

「僕は大丈夫でしたし、あんな事がない様にナディアは僕が守ります」

「そうか。私に用とは、ナディアとの事か。あの2人が騒いでいたからな」


 アイツらが言っていたのならば話は早い。


「えぇ。僕は早くナディアと結婚がしたいと報告したところ反対されました。この帝国に忠誠を誓ってないのかと」

「なんとバカな事を。ノアほどこの帝国の事を思っている者はいないと言うに」

「ありがとうございます。2人にはまだまだ、お前にやる事があると言われてそれも指示に従ったのですが、任務を終えても認めてもらえませんでした」


 本当にあの2人を思い出すだけで疲れる。


『それだけの功績では認められない』

『未熟なくせに結婚なんて笑わせるな』

『お前は帝国に忠誠を誓わないのか』

『女などにうつつを抜かしやがって』

『皇帝陛下がお認めになっても俺たちは認めないからな』


 気持ち悪い嫌な笑みで腹立たしい。

 父上に気づかれない様に深いため息を吐く。


「ノアの働きの報告は受けていた。ノアにしては急いで行動したので何かあると思ったがそういうことか」

「そうですね。父上にお願いがございます。僕は……皇族から離れたいと思っています。爵位を公爵にして頂けませんか。元々、王位継承に興味ありませんし、ナディアと一緒にいられるだけで僕は幸せなので」


 僕の言葉を聞いた父上は、言葉では言い表せないぐらい寂しそうな表情だった。


「……そうか……。本当はノアに譲りたかったがあやつらが黙ってはいないからな。ノアよ。今まで辛い事を任せてしまいすまなかった。あやつらの事は私に任せてくれ。……あやつらは後継者としての自覚が足りんな」


 父上の最後の企む様な笑みに身震いを覚えた。

 自分に向けられたものじゃなくて良かったと思う。





 式まで1ヶ月だというのに、何を言いに来たんだ。

 扉を力一杯に開け、着ていた上着を怒りを込めて椅子に投げつけた。一緒に部屋に入ってきたアランも目は笑っていない。


「お怒りはごもっともです。あそこで冷静に対処なされた姿はご立派でした」

「やっぱり一発ぶん殴れば良かった」

「ノア様」

「わかってるよ」


『あんな冴えない女と結婚するのか』

『ラクール公爵家からなら長女の方が綺麗で良かったのでは』

『本当にあんな女に満足してるなんて趣味が悪いな』

『もう、お前なんてどうなろうと知らない』


『お二方が彼女に興味を持たなくて良かったです。彼女の魅力は僕が知っていればいいので。どんな女性よりも強く優しい聡明な女性です。それよりも、……自分たちの身を心配した方がよろしいかと思いますよ。それでは、僕はいろいろと忙しいので失礼します』


 言い足りなかった。僕の事を言われるのは別にどうでもいい。ナディアを中傷する事は許せない。もっと言ってやれば良かった。

 騎士団長が身も心も鍛え直すって息巻いていたよって伝えれば良かったか。

 まぁ、ザマーミロって思うよ。今のうちに好きな事しておけばいいさ。


「はぁ。疲れた」


 椅子に体を預けた。

 アイツらに会うと本当に疲れる。浮かれていた気持ちが沈んでいく。

 でも、後もう少し。机の上にあるいろんな設計図の中から1枚を取る。


「あっ。そうだ。設計図が出来たんだ。アラン頼んだよ」

「かしこまりました。……これはナディア様がお喜びになりますね。では、明日からあちらに向かいますね」

「あぁ、頼むよ」

「私がいない間、もし何かあっても冷静に対処して下さいね」

「わかってるよ」


(ナディアが喜んでくれるといいけど)


 アランが出て行き、扉の閉まる音と同時に机に伏した。







 式の前日にラクール卿に挨拶に来た。

 神妙な面持ちでラクール卿は目の前に座った。


「ノア殿下。娘をよろしくお願いします」

「こちらこそ、こんな急な結婚を承諾して頂きありがとうございます。それに公爵になってしまいますが彼女は僕が命をかけて守っていきます。ラクール卿、今までナディアを守って頂きありがとうございました」

「あぁ。ノア殿下なら、任せられます。ナディアを幸せにしてやって下さい」


 どんなにこの人はナディアを大切に思っていたのだろう。どれだけ陰で支えてきたのだろう。

 ラクール卿の、悲しそうな嬉しそうな複雑な表情を見て心に刻み込む。


(君を必ず幸せな人生にする)


「はい。必ず」


 ラクール卿に感謝を込めてお辞儀をする。



 ラクール卿との話が終わり、エマにナディアの場所を聞き庭園に来た。

 オレンジ色の空とナディアはよく似合う。


「もう、寒くなるよ」


 少し冷たくなった頬をそっと触る。


「うん」


 僕を愛おしそうに見つめるナディアが可愛くて、ナディアの手を取り婚約指輪に口付ける。


「明日はここに僕だけのナディアって証が付くんだね」


 空には雲がかかり、雲間から太陽の光が溢れ四方に広がり輝いている。


 この光が僕たちを祝節してくれているといい。


(綺麗だな)


 空を見上げているナディアの横顔を見つめ、また空を見上げた。

 ナディアどんな事考えているのだろう。

 ナディアは快く僕が公爵になる事を承諾してくれた。本当はどう思ってるんだろう。

 遠くに連れて行ってしまう事に寂しく思ってないんだろうか。

 ナディアの視線を感じるけど、ナディアがどんな表情をしているのか怖くて見られない。

 もし君が困った表情をしていてもダメなんだ。


(嫌だって言っても、もう離してあげられない)


 雲が通り過ぎオレンジ色の光が少しづつ庭園に沈んでいく。君の表情は嬉しそうに綺麗に笑うから、今触れると抑えが効かない。


「名残惜しいけど、また明日。迎えに来るから待ってて」


 このままさらってしまいたい衝動に駆られた為、ナディアの見送りを断りナディアを想いながら帰路に就いた。







 ステンドグラスが太陽の光を浴びて様々な色の光が僕たちを照らす。

 純白のドレスを纏って隣に立つナディアを見る。思わず笑顔になってしまう。

 誓いの口付けで赤くなる君は可愛くて仕方がなかった。

 僕とナディアの指にシルバーの指輪が光ってる。

 ナディアに99本の白薔薇を渡す。


『永遠の愛』


 僕の気持ちが届く様に祈りを込めて渡すと、ナディアは幸せそうに笑うから目線を逸らせなかった。


(……幸せだな)


 赤い絨毯を歩くと同時に未来を2人で歩いて行く。


僕たちの道はまだ歩き出したばかり。


ナディアと2人でどんな困難も乗り越えて、どんな幸せも2人で感じていこう。



読んで頂きありがとうございます!


完結とさせて頂きます。


ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです! 途中からリリアに肩入れしてましたが(笑) リリアとルードも公爵領に行くかとも思ったんすけどww 全体的にすんなり入れたので良かったと思います。 入り込めないのはとことんダメ…
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