上級神様。怒りと紅い羽。
次の階へ向かう途中、健師は自分のダメさを反省していた。同い年の瑠花にならまだしも、実の妹である花音に軽く喝を入れられてしまったのだから当然だ。その反省の途中、健師はあることを思い出す。花音はどうやら家電を一つ一つ壊していって討伐したようだが、それで攻略できてしまうのはあまりにも簡単すぎる。何もかも焼き尽くす攻撃をするような存在にも関わらずである。そもそもなぜ管理庫に入ったらゴーレムがゴミ山に戻ったのか。突然敵のレベルががくんと下げられたとしか考えられない。これによる結論はひとつ。
他に黒幕のような権力を持つ存在がいるということである。
「…次の敵は危ないかもしれないぞ。気を引き締めていこう。」
健師が発言するも「へーい」みたいな適当な返答しか返ってこない。健師はこの状況で大丈夫なのかと心配になるが、とりあえず今までは何とかなったのだから今回も何とかはなるだろうと思う。
そして、二人目の手下のいるであろう部屋の前までたどり着く。
「行くぞ。いつ相手が出てくるかわからないから気を引き締めろ。」
魔王と同じようなゴツめの扉を開く。何もいない。広めの部屋があるだけだ。仕方ないので壁やら床やら天井やらを調べる。結局何も無い。これではここにいる意味が無い。
「はぁ…ハズレ部屋っぽいな。下の階へ行こう。」
扉を再度あけ廊下に出る。七人はゆっくり下へ降りていく。廊下を歩き、先程と同じように扉を開く。何かいる。しかしそれはゴーレムではない。
女だ。年齢は二十代くらい、身長は165cmくらいだろうか。そんな感じの女が土の塊を殴っていた。その女は「オラッ」とか「クソッ」などという荒々しい言葉を使っていた。女が土の塊を潰し、こちらに話しかける。
「はぁ…追いつかれちまったか。『欠陥品』の連中如きに…」
「欠陥品…だと…?どういう意味だ…?」
健師の素早い反応に対し女はニヤケつつ答える。
「お前、鈴本健師とかいうんだっけか?まあ名前なんてどーでもいいんだがな。神力使いなんだろ?一応。神力っつーのは後継の神を生み出すために人間に与える力なんだ。だがお前は九歳の時に神力をさすがったはずなのだが十九歳の今もまだ神力止まり。そんなやつ、欠陥品と言っても差し支えないだろ?」
「それは聞き捨てならないな!おにーちゃんはこれでもこの世界では神みたいなことやってるんだよ!大体あんた誰なの!?」
「んぁ?わかんねーのかよ。今までの会話から。私は神だよ。この辺りの世界を管轄してる上級神ユーファ。あまり有名な神じゃねーんだけどな。」
花音の抗議も気だるそうな対応で終わった。
「おい、ユーファ。俺に神力を与えたのはお前じゃないはずだぞ…」
「なんだよ。ミーヒュの事言ってんのか?あいつは所詮中級神だぞ。上級神の私には逆らえないの。ったくよー。なんでこんなやつが神力持ちなんだよ…めんどくせーなほんとーによー…」
「ユーファ…お前の目的はなんだ…」
「健師くん?簡単だよ。この世界をとりあえず滅ぼす。んでもって一から作り直す。神が生まれやすくするためにな。この世界は神の排出率が低いんだよな。全く持って私らからしたら得がないの。わかる?」
「なんだと…?」
健師は怒りを滲ませる。他の神鈴のメンバーも花音を中心にあくまでも抗う姿勢を見せる。
「だけどテメーら私が滅ぼす要因として投げ込んだ魔王すぐ倒しちゃうじゃん?何やってくれてるんだよ。この連中集めるために他の世界の歪み産まねーようにするの苦労したんだからな?なのにテメーらはよー。人の苦労も知らねーでよー。」
ユーファは首を回しつつ愚痴をこぼしまくる。
「あ、この『クソ魔王』の連中はこれ以上何も出来なさそうだからわたしが倒しとくわ。あとは滅ぼすための要因手に入れるだけなんだけどテメーらまた邪魔しそーだから確実に潰すわ。けど今日は疲れたから出直すわ。震度三くらいの地震があったらその日が決闘だと思え。いいな。」
ユーファはそう言うと紅い羽を残し消えた。神鈴団は思いもよらない相手を攻略する方法を考えなくてはならなくなってしまった。




