↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士団の命令を拒否した平民騎士は、何を守るのか ―ザイファール戦記―  作者: 鈴ヶ峰 リン
ミストラ水上神殿編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/73

第66話 戻る前に

 扉が叩かれた。


「入ってください」


 シャルロットが答えると、フェルナンドが部屋へ入ってきた。


「お呼びでしょうか、騎士長」

「ええ」


 机の上には、グレース渓谷周辺の戦線図が広げられたままだった。

 シャルロットはそれに一度目を落としてから、フェルナンドを見る。


「ルクレールへ戻る必要ができました」


 フェルナンドの表情は変わらない。


「いつ頃をお考えですか」

「こちらの整理が済み次第すぐにです」

「承知しました」


 短く答えたあと、フェルナンドは続けた。


「侯爵閣下へ直接お話しになる案件でしょうか」

「はい。私からお伝えする必要があります」


 それ以上の説明を、シャルロットは加えなかった。

 フェルナンドも尋ねない。


「それと、あなたにも同行してもらいます」

「私も、ですか」

「ええ」

「承知しました」


 フェルナンドの視線が、机上の戦線図へ移った。


「では、騎士長と私が同時に離れることになります。こちらの指揮は、先に整理しておく必要がありますね」

「ええ、その通りです」

「現在の配置は、大きく動かさない方がよいでしょう。必要な指示はこちらでまとめます」

「任せます」


 シャルロットは頷いた。

 王女のことは口にしなかった。


 今はまだ、何も確認できていない。

 広げるべき話ではない。



 ◇



 その後、リュゼル砦では、シャルロットとフェルナンドが不在になっても戦線が止まらないよう、必要な指示が残る各隊へ伝えられた。


 現在の配置を大きく変えず、リュゼル砦の守備とグレース渓谷方面の部隊がそれぞれの持ち場を維持できるよう、命令系統も整理された。


 細かな確認はフェルナンドが引き受け、シャルロットは必要な判断だけを行った。


 戦線を預かる者が変わっても、兵たちの役目まで変わるわけではない。

 今は、それでよかった。



 ◇



 再びフェルナンドが部屋へ戻ってきた時、戦線図はまだ机の上に広げられていた。


「こちらは整いました」


 シャルロットが顔を上げる。


「騎士長が離れた後も、当面の指揮に支障はありません」

「ありがとうございます」

「出発は、いつにしますか」

「明日にでも」

「承知しました」


 フェルナンドが一礼する。

 シャルロットは戦線図へ目を落とした。


 ここでやるべきことは、もう済んだ。

 確かめるべきことがある。


 そのためには、まずルクレールへ戻らなければならない。


 シャルロットは脇に置いた聖剣を静かに見つめた。


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


 皆様からいただく、応援やコメント、ブックマークや評価が、執筆を継続する最大のモチベーションになっています。


 もしよろしければ、評価やコメントにご協力いただけると嬉しいです。


 次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。