表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/58

第51話 私のために

 最初に戻ってきたのは、痛みだった。


 左肩から脇にかけて、熱い杭を打ち込まれているような痛みがある。

 息を吸えば胸の奥が軋み、吐き出せば傷の奥が引きつった。


 クランは、重いまぶたを持ち上げた。

 ぼやけた視界に映ったのは、石の天井ではない。


 低い木の梁。

 土壁。

 窓辺に吊るされた、乾いた薬草の束。


 湿った石や血ではなく、煮詰めた薬と古い木の匂いがする。


 ラトナ村。

 そう気づくまでに、少し時間がかかった。


 身体を起こそうとする。


「……っ」


 左肩に鋭い痛みが走り、息が止まった。


 腕が動かない。


 正確には、動かそうとすれば痛みだけが返ってくる。

 肩から先が、自分の身体ではなくなったように重かった。


 頭の奥にも熱がこもっている。

 全身へ鉛を流し込まれたような怠さは、レッド・アンプルの反動だろう。


 傷を塞ぐ薬ではない。

 失った血を戻すものでもない。


 痛みを鈍らせ、落ちかけた意識を無理やり引き上げる。

 その代わり、あとで必ず身体へ反動が来る。


 分かって飲んだ。

 あの場で立ち上がらなければ、守れなかった。


 後悔はない。

 そう考えた時、右手に小さな温かさがあることに気づいた。


「……くらん?」


 掠れた声がした。

 寝台のそばに、アリシアがいた。


 白い髪は乱れ、赤い瞳の下には薄い影が落ちている。

 椅子に座ったまま、クランの右手を両手で包んでいた。


 眠っていたらしい。

 クランが動いた気配に気づき、目を覚ましたのだろう。


「……アリシア」


 声が思うように出なかった。

 アリシアの目が大きくなる。


「くらん、おきた?」

「ああ」

「ほんと?」

「本当だ」


 それだけ答えるのにも、息が乱れた。


 アリシアは何も言わず、クランの手を握り直す。

 細い指から、離すまいとする力が伝わってきた。


「怪我は?」

「けが?」

「お前は、怪我をしていないか?」


 アリシアは少し考えてから、首を横に振った。


「わたし、へいき」

「そうか」


 クランは浅く息を吐く。


「リアは?」

「私は、ここにいます」


 すぐ近くから、声が返ってきた。

 窓辺に、リアが立っていた。


 いつもは後ろで結んでいる金色の髪が、今はほどけて背中に流れている。

 朝の淡い光を受け、その髪は静かに輝いて見えた。


 白い騎士装には土と煤が残り、袖口には乾いた血がついている。

 おそらく、リア自身の血ではないのだろう。


 疲れを隠すように微笑もうとしている。

 けれど、うまく笑えていなかった。


「私は無事です。アリシアも、アズワール卿も、アンジェも」

「村は」

「攫われた方々は助け出せました。負傷された方はいます。奪われた食料や薬草も、すべて取り戻せたわけではありません」


 リアは一度、言葉を切った。


「ですが、助け出せた方々は皆、生きています」

「……そうか」


 なら、いい。

 そう続けようとして、クランは口を閉じた。


 リアが、じっとこちらを見ていたからだ。

 意識を失う直前のことが、途切れ途切れに蘇る。


 アリシアを見た。

 リアを見た。


 二人が立っていることを確かめ、無事かと尋ねた。


 そして――なら、いい、と言った。

 その直後に、血を吐いた。


 リアが寝台のそばまで歩いてくる。

 アリシアはクランの手を握ったまま、少しだけ身体を横へずらした。


 リアは空いた椅子に腰を下ろす。

 しばらく、誰も話さなかった。


 窓の外から、水を運ぶ音が聞こえる。

 怪我人を呼ぶ声。戻ってきた者の名を、何度も確かめる声。


「……なら、いい」


 リアが静かに言った。

 クランは彼女を見る。


「貴方は、倒れる前に、そう仰いましたね」

「……ああ」

「よくありません」


 声は荒くなかった。


 怒鳴ってもいない。

 責め立ててもいない。


 それでも、リアが怒っていることは分かった。


「私たちが無事なら、貴方が倒れてもよいのですか」

「そういう意味ではない」

「では、どういう意味ですか」


 クランは答えられなかった。

 リアの指が、膝の上で強く握られる。


「アリシアが無事か。私が無事か。村の方々がどうなったか。そればかりを気にして……ご自分がどれほど危険な状態だったのかを、少しも尋ねようとしない」

「必要なことだ」

「必要だったとしても、です」


 返事は、すぐに返ってきた。


「貴方が立ち上がらなければ、助けられなかった方がいたと思います。私も、アリシアも、無事ではいられなかったかもしれません」


 リアはクランから目を逸らさない。


「守ってくださったことには、本当に感謝しています」

「なら――」

「ですが」


 リアの声が、クランの言葉を止めた。


「貴方が倒れたあとに残される者のことも、考えてください」

「残される者……」

「はい」


 リアはアリシアへ目を向けた。

 アリシアは今も、クランの手を握っている。


「アリシアは、一晩中ここにいました。眠ってもすぐに目を覚まして、貴方の手を確かめていました」


 クランは右手を見る。

 細い指が、自分の指に重なっている。


「アズワール卿は、休んでくださいとお願いしても、扉の外から離れてくださいませんでした。アンジェも、村の方々や兵の確認をしながら、何度も貴方の様子を見に来ていました」


 リアの声が、少しだけ細くなる。


「私もです」


 その言葉に、クランは顔を上げた。


 青い瞳が揺れている。

 泣いてはいない。


 ただ、言葉にすることを恐れながら、それでも伝えようとしている顔だった。


「貴方が倒れた時、私は――」


 リアは途中で言葉を止めた。

 一度、静かに息を吸う。


「とても怖かったのです」


 短い言葉だった。

 だからこそ、クランの胸に残った。


「守っていただいたことは、嬉しかった。貴方が私の前に立ってくださったことも、私たちを諦めなかったことも」


 リアは、わずかに目を伏せる。


「けれど、そのために貴方がいなくなってしまうのなら、それは私の望む守り方ではありません」

「……」

「貴方が、いなくなるのは嫌なのです」


 クランは言葉を失った。

 リアはいつも、他人の望みを尋ねる。


 自分の考えを押しつけず、選ぶ余地を残す。

 そのリアが、自分の望みを口にしていた。


 クランに、生きていてほしいと。


「お願いです」


 リアは膝の上で握っていた指を、ゆっくりとほどいた。



「私のために――無理をしないでください」



 部屋の中が静かになった。


 命令ではなかった。

 騎士としての戒めでもない。


 ただ、一人の人間から願われた。


 私のために、と。


 クランは目を伏せた。

 すぐに「分かった」と答えることはできなかった。


 守れなかったものがある。

 間に合わなかった場所がある。


 だから、次は自分が倒れてでも守ろうと決めた。


 そうしてきた。

 長い間。


「……すぐには、変えられない」


 クランが言うと、リアは黙って聞いていた。


「守れなかったことを、忘れられない」

「忘れなくてよいのだと思います」


 リアは静かに答えた。


「ですが、忘れられないことと、自分を捨てることは同じではありません」


 クランはリアを見る。


「貴方が守ろうとするものの中に、貴方自身も入れてください」


 胸の奥に、鈍い痛みが走った。

 傷の痛みではない。


「……分かった」


 クランは、ゆっくりと言った。


「今の言葉は、忘れない」


 リアの表情が、少しだけほどける。


「はい」


 今度は、わずかに微笑んだ。


「今は、それで十分です」


 アリシアが二人を交互に見た。


「くらん」

「何だ」

「しなない?」


 幼い声だった。

 けれど、その問いは重かった。


 クランはアリシアを見る。


「死なない」

「ほんと?」

「本当だ」


 アリシアは、まだ不安そうにしている。


「かえってくる?」

「ああ」

「りあも、まってた」


 クランはリアを見た。

 リアは少しだけ目を伏せたが、否定しなかった。


「……そうか」

「わたしも」


 アリシアがクランの手を握り直す。


「戻る」


 クランは答えた。

 アリシアの肩から、少しだけ力が抜ける。


「わたし、まってた」


 それだけ言って、クランの手に額を寄せた。


 泣いてはいない。

 けれど、小さな肩がわずかに震えていた。


 クランは右手を動かそうとした。

 アリシアの頭に触れようとして、指先が髪に届かない。


 その手を、リアがそっと支えた。

 柔らかな指が、クランの手首に触れる。


 ほんのわずかな力で、右手を持ち上げた。

 クランの手のひらが、アリシアの白い髪に触れる。


「……心配をかけた」


 アリシアは顔を上げないまま、短く答えた。


「うん」


 否定しなかった。


 リアが小さく息を漏らした。

 笑ったのかもしれない。


 その時、扉が開いた。


「起きたのね」


 プレデリカが入ってきた。


 肩口には新しい包帯が見え、声にも疲れが滲んでいた。

 それでも、背筋はいつも通り伸びている。


「隊長」

「無理に話さなくていいわ」


 プレデリカは寝台のそばまで来ると、クランの顔色を確かめる。


「喋る力があるなら、呼吸に使いなさい」

「……はい」


 彼女は包帯の端へ指を添えた。

 出血がないことを確認してから、額へ手を当てる。


「熱はまだある。赤瓶の反動も残っているわね」

「動けます」


 言った瞬間、プレデリカの目が細くなった。


「貴方、死にかけた自覚はある?」

「……あります」

「なら、動けるなどと軽々しく言わないこと」


 クランは黙った。


「前に出ることと、死にに行くことは同じではないわ」


 プレデリカの声には、怒りよりも厳しさがあった。


「次は、勝つ方法だけでなく、生き残る手順まで考えなさい」

「……はい」

「それから、今は動かないこと。傷口が開けば、次は助からないかもしれないわよ」

「はい」

「返事だけは素直ね」


 プレデリカは呆れたように言った。

 その声の奥に、わずかな安堵があった。


「アンジェが来ているわ。起きたなら、顔を見てから出たいそうよ」


 リアが頷く。


「お願いします」


 プレデリカが扉へ目を向けた。


「入っていいわ」


 少しして、アンジェが顔を出した。


「もう話して大丈夫?」

「短くしなさい」

「私よりクランに言った方がよくない?」

「貴女は放っておくと長くなるでしょう」

「否定できないな」


 アンジェは軽く肩をすくめ、部屋へ入った。


 弓は背負い、腰には騎士剣を帯びている。

 暗い赤茶の髪は低く束ねられ、旅立つ準備はすでに整っていた。


「クラン、生きてるね」

「……ああ」

「よかった。次に会った時も寝台の上だったら、さすがに呆れるところだった」

「努力する」

「そこは、もう無茶はしないと言ってほしかったな」


 アンジェは淡く笑った。

 すぐに、リアへ視線を移す。


「私は、ワジュリアへ戻るよ」

「報告のためですね」

「うん」


 アンジェの表情から、わずかに軽さが消えた。


「ドレムが元ベルダイル騎士だったこと。ベルダイルの兵が捕らわれていたこと。ラトナ村の被害。それから、あの紋章のこと」


 紋章。

 クランの脳裏に、黒い光が浮かぶ。


 剣先が紋章を貫いた直後、割れ目から滲み出した光。

 皮膚の下を這うように、右腕から肩へ広がっていった。


「あれは、紋章が壊れただけの反応ではないと思う」


 アンジェが言う。


「侯爵に伝えなければならない」

「分かりました」


 リアは静かに頭を下げた。


「どうか、お気をつけて」

「そっちこそ。怪我人を連れて森道を抜けるんだからね」


 アンジェはクランを見る。


「特にきみ。歩こうなんて考えない方がいいよ」

「考えていない」


 プレデリカが横から言った。


「先ほど、動けると言っていたわ」

「クラン」


 アンジェの目が細くなる。


「……もう言わない」

「それならいいよ」


 アンジェはアリシアへ視線を移した。


「アリシア。クランが無理をしそうになったら、止めていいからね」

「うん、とめる」

「頼んだよ」


 アンジェはもう一度、リアを見る。


「次に会う時も、味方でいられるとは限らない」


 他領の騎士。

 王を名乗ったベルダイル侯爵。


 ワトル伯爵の使者であるリア。

 今は同じ敵を前に、剣を並べた。


 けれど、それが次も続く保証はない。


「それでも、きみたちがラトナ村の人たちを助けたことは忘れない」


 リアは真っすぐアンジェを見た。


「私たちも、アンジェが一緒に戦ってくれたことを忘れません」

「なら、お互い様だね」


 アンジェは軽く手を上げた。


「それじゃあ。また会えることを願っているよ」


 部屋を出る直前、彼女は一度だけ振り返った。


「今度は、もう少し穏やかな場所でね」

「はい」


 リアが答える。

 アンジェは小さく笑い、扉の向こうへ消えた。



     ◇



 昼前になると、村長が訪ねてきた。


 昨日よりもさらに疲れて見える。

 それでも、部屋に入ると深く頭を下げた。


「本当に、ありがとうございました」


 リアは立ち上がる。


「どうか、頭を上げてください。戻られた皆さまのそばにいてください」

「それでも、言わせてください」


 村長は頭を下げたまま続けた。


「あんたたちが来なければ、連れていかれた者は戻らなかった。村の男たちも、ベルダイルの兵たちも助からなかっただろう」


 外から、誰かを呼ぶ声が聞こえる。


 戻ってきた娘を抱きしめる母親。

 怪我をした男を支える家族。

 壊れた柵を直そうと、木材を運ぶ人々。


 村は救われた。

 けれど、元通りになったわけではない。


 奪われた食料。

 足りなくなった薬草。


 怪我を負った者。

 閉じ込められていた記憶。


「失ったものもあります」


 村長の声が震えた。


「全部が戻るわけではありません。けれど……あの子らは生きて戻った。それだけで、今は十分です」


 リアは静かに頭を下げた。


「皆さまが、もう一度穏やかに暮らせる日が来ることを願っています」


 プレデリカも目を伏せる。

 クランは寝台の上で、外の声を聞いていた。


 泣く声。

 震える声。

 名前を呼び合う声。


 自分たちが守ったものは、勝利ではない。


 こうして、再び誰かの名を呼べること。

 その声が返ってくること。


 クランは右手を少し動かした。

 すぐに、アリシアがその手を押さえる。


「くらん、うごいちゃだめ」

「……分かった」


 アリシアは満足したように頷いた。



     ◇



 ラトナ村を発ったのは、翌朝だった。

 クランの熱が下がるのを待ち、村に残っていた小さな荷馬車へ、藁と毛布を厚く敷いた。


 クランは自分で歩こうとした。

 寝台から足を下ろしたところで、プレデリカに止められた。


「貴方、昨日何を言われたか覚えている?」

「……覚えています」

「なら、横になっていなさい」

「少しなら歩けます」

「歩けることと、歩いてよいことは同じではないわ」


 反論の余地はなかった。

 クランは村人たちに支えられ、馬車へ運ばれた。


 アリシアは当然のように、そのそばへ乗り込む。

 灰色の外套に包まり、クランの右手を握った。


 リアも馬車に乗ろうとしたところで、一度足を止めた。


「私は外を歩きます。馬車の負担を少しでも――」

「乗ってくれ」


 リアが振り返った。


「リアも怪我人だ」


 リアの手首には、ドレムの攻撃を受けた時の腫れが残っていた。


「貴方ほどではありません」

「それでもだ」


 リアは少しだけ黙った。

 やがて、クランの向かいへ腰を下ろす。


「……では、お言葉に甘えます」


 プレデリカが御者台へ乗り、手綱を取った。

 馬車がゆっくりと動き始める。


 村人たちが、道の両側に立っていた。


 深く頭を下げる者。

 手を振る者。

 涙を拭う者。


 アリシアは荷台の隙間から、遠ざかる村を見ていた。


「りあ」

「はい」

「みんな、よかった?」


 リアはすぐには答えなかった。


「生きて戻れたことは、よかったと思います」

「うん」

「ですが、まだ傷は残っています。これから元の暮らしを取り戻さなければなりません」

「まだ?」

「はい。まだ、終わりではありません」


 アリシアは遠ざかる村を見つめたまま、小さく頷いた。


 馬車が森道へ入る。

 車輪が石を踏むたび、荷台が揺れた。


 クランの左肩に痛みが走る。

 顔をしかめるより早く、リアが気づいた。


「痛みますか」

「問題ない」


 リアの目が、静かに細くなる。

 クランは言い直した。


「……痛む」

「はい」

「だが、耐えられる」

「無理に隠さないでくださる方が、安心できます」

「そうか」

「はい」


 ただ、痛みを口にしただけだった。

 それなのに、何かが以前とは違っていた。


 隠すこと。

 耐えること。

 自分だけで抱えること。


 それが、必ずしも誰かを守ることにはならない。

 クランは、少しだけ分かった気がした。


 リアが窓の外を見る。

 金の髪が、森から差す光を受けて揺れた。


「リア」


 クランが呼ぶと、彼女が振り返った。


「はい」

「あの言葉」

「……はい」

「忘れない」


 リアの目が、少しだけ見開かれる。


 クランは、アリシアの小さな手を見た。

 そして、正面に座るリアを見る。


「次は、守って戻る」


 わずかに言葉を切る。


「ここへ」


 リアは、しばらく何も言わなかった。

 やがて胸元に手を添え、静かに頷いた。


「お待ちしています」


 その言葉に、クランは目を閉じた。


 命令ではなかった。

 誓いを強いたわけでもない。


 帰る場所を、示された。


 守るために倒れるのではなく。

 守って、生きて戻る。


 その選択が、自分にも許されるのかもしれない。

 馬車は、マルムへ続く森道を進んでいった。



     ◇



 ラトナ村を見下ろす、古い見張り台。

 崩れかけた石壁の上に、一人の少女が立っていた。


 黒灰の外套が、風に揺れている。

 薄い灰色の瞳は、森へ消えていく馬車を追っていた。


 荷台に横たわる、黒髪の騎士。

 その手を離さない、白い髪の少女。


 すぐそばに座る、金髪の騎士。

 御者台で周囲を警戒する、蒼い髪の騎士。


「……今度は、守ったんだ」


 少女の声は、風よりも小さかった。

 誰にも届かない。


 薄い灰色の瞳が、金髪の騎士へ移る。


「……あの人のそばに、いるんだ」


 馬車が、木々の向こうへ消えていく。


 ルクレールの騎士――ノエラは追わなかった。


 呼び止めもしない。

 ただ、何も見えなくなった森道を、しばらく見つめていた。


 やがて風が強く吹き、黒灰の外套が大きく揺れる。


 次の瞬間。

 古い見張り台には、もう誰もいなかった。

 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


 皆様からいただく、応援やコメント、ブックマークや評価が、執筆を継続する最大のモチベーションになっています。


 もしよろしければ、評価やコメントにご協力いただけると嬉しいです。


 次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ