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ダラダラ生きればいいんじゃない  作者: 鈴木樹蘭


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第34章 生きる覚悟

 冷たい雨が降る中、君を乗せた棺が車に乗せられていく。

 君の選択を否定しようなんてことは思わない。


 優しい人間ではないからね。

 ただ、自身が地雷を踏まないことを願っている臆病者だ。

 今、この瞬間にも、世界ではたくさんの犠牲が生じていることはわかっている。

 君のように追い詰められて行き場を失う人がいるのも知っている。

 「叫んでも、誰も助けてはくれない。」

 この世界は冷たいものだ。

 どんなに善人ぶっていても、犠牲には目を瞑るものさ。

 

 ただ、冷たい雨を見上げながら思うことは、

 「忘れはしない。」


 この劣悪な世界の中で生きるためには、何が必要なのだろう?


 どんな生活をするとか、どんな風に生きるか、なんてことは、あまり重要ではないと思う。ましてや、自らの周りの環境など、それほど気にすることもない。

 というか、気にしてはいけない。


 生きる覚悟さえあれば良い。


 と言っても、わかりにくいだろうから、もう少し掘り下げてみたいと思う。

 

 生きる覚悟というのは、おおよそ、どんな困難に直面したとしても、挫折せずに生き抜いてやろうと、心に明確に刻み込むことともいえるのだが、そんなに難しく考えることはない。

 ただ、生きるということを絶対条件として、思考から外してしまえば良いのだ。もっと言えば、生きるだけでなく、死をも外してしまえばよい。

 どんな困難に直面したとしても、生きるも死ぬも考えないとすれば、後は、「どうするか」だけである。完全に詰んで終わる時(死ぬ時)まで、「どうするか」だけを冷静に考えることができれば、かなり楽だと思う。


 こういう話をすると、ハードルが高いと思うかもしれないが、やってできないことでもない。生きることと死ぬことは、ペアのようなものである。生きることの苦痛と死への恐怖。それに固執し続けるか、しないか、だけの話である。

 大概の場合、生死というのは、なるようにしかならないのだから、そんなことを考えても無駄である。

 

 運悪く地雷を踏んでしまった時(窮地に陥った時)には、できる限り客観的に解決策を模索することをお勧めする。この世界は冷たいものだと書いたけれど、良く見渡せばひとりやふたりは手を貸してくれる人もいるはずである。また、最悪の場合、安全な場所に逃げれば、時間が癒してくれることもある。


 特に大きな期待など持たずに、生も死も気にせず、ボチボチと進んでいけばいい。


 マラソンに例えれば、一位を目指すのは大変であるが、校内マラソンレベルで、順位などどうでも良いという条件であれば、それほど困難なものでもないだろう。大切なのは、ゴールに向かって進み続けることだけである。途中、歩いたってかまわないし、休んでも良いのだ。

 長い距離を走っていれば、誰でも思う。

 「苦しい。」

 「もう、やめたい。」

 「もう、逃げ出したい。」

 それが必然だとすれば、終わりにするという選択肢はない方が良いのだ。

 なんだ、「おまえだらしない」と言われようが、意地悪な奴に邪魔されようが、何しろ、ゴールに向かって、マイペースで進む。

 これこそが、生きる覚悟である。


 それができたなら、次に重要になってくるのが、試行錯誤である。

 結果が悪ければ、やり方を変えるとか、あるいは、協力者を探すとか、より楽に走れそうなシューズを探すとか、何らかの工夫はした方が良い。そのくらいのことはやらないと、どんどんと深みにはまってしまう可能性がある。

 嫌だと思うだけでは、いつまでも解決しない。


 人生は一発勝負ではないのだ。何度失敗しても、別に構わない。ただ、それでめげてしまってはいけないだけである。失敗だと思ったら、少しやり方を変えて、やり直す。

 それで、すべてよし、である。


 何しろ、この世は思った通りにはならないものである。

 人生というのは、失敗の積み重ねと言っても良いだろう。

 何度失敗しようが、完全に詰んでしまわなければ、問題ない。

 失敗して、後悔するのは愚の骨頂。

 自らが、その失敗を許容すればいいだけである。

 そもそも、失敗しない人などいないのだから、失敗にショックを受ける必要はない。

 失敗とやり直しの繰り返し、これを楽しめるようになれば、人生バラ色ではないか。


 ダラダラと生きる者は、絶対に、無謀な計画などは掲げない。ボトムをキープできる程度で十分だ。

 他人からの羨望を期待するような愚者でもない。

 他人との比較や嫉妬なども論外である。

 他人からの批判も許容する。

 思い通りにいかなくても受け入れる。

 全ては、「まあ、いいか。」である。


 全てを許容し、ダラダラと生きる気楽さを満喫しようではないか。


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