第33章 合成食品
「この魚は国産近海もの。」
別に、養殖でも外国産でも、良いものはあるはずなのに、そのように区別される。
確率的に、安全なのかもしれないが、あまり根拠はなさそうだ。
未来の食料を考えた時に、重要と思われる項目は以下の通りである。
安全性
栄養のバランス
健康に良いか
おいしさ
手軽さ(時間)
コスト
他にも、あるかもしれないが、それらを満たそうとすれば、合成食品に勝るものはなくなるはずである。
自然食品の場合、どうしても、健康を害する成分を排除できないし、調理に時間がかかる。味についても、自由に変えることはできないので、それなりの料理技術がないと美味しくいただけない。コストにしても、下げるのは難しそうである。
それに比べると、合成食品は幾らでも改良することができ、全てを満たすようなものが作れるようになる可能性が十分にある。
行きつく先、健康やコスト、時間を重視するなら合成食品。
ちょっと、贅沢な気分を味わうための自然食品となるのではないだろうか?
AIや健康管理器具が発達すれば、何を食べたら良いかもわかるようになる。
「ちょっと、鉄分不足だね。この合成食品がピッタリだ。」
「君は、血管系が弱いから、脂分は控えた方がいい。」
なんて、感じで、それに従って、合成食品を選択していれば、少なくとも健康については間違えないって世界の到来。
もしかして、味気ないと思っている?
わからないでもないが、美味しくって、体にも良いなら問題ないだろう。
それでも、オーガニック信仰は残るかもしれないが、その頃には、ほとんど気違い集団だろう。
まあ、無理して健康に良いものだけを食べる必要もないけど、そんな世の中になるだろうという話である。
特に、手軽さというのは近い将来重要なものになるはずである。
独身男性の増加は食生活の悪化を招くのは必至であるから、お手軽で、栄養バランスの良い食品の開発は急がれる。それいかんで、平均寿命が大幅に変わることになりそうに思う。
何しろ、平均寿命0.1歳(超過死亡10万人)程度でも大騒ぎする世の中だ。
AIのお友達ができれば、健康アドバイザーにもなってくれる。めでたし、めでたしである。
「ラーメン、食いたい。」
「だめだよ。今週、三回目だろう。塩分摂りすぎ、今日は合成食品にしておきな。」
みたいな感じである。
そうなるならば、ラーメンに負けない美味しい合成食品を開発すれば良いのである。
合成いちごと合成クリームで作ったケーキが本物よりも美味しくなる日も来るかもしれない。
ダラダラと生きる身としては、そんな快適な世界を夢見てしまう。




