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ダラダラ生きればいいんじゃない  作者: 鈴木樹蘭


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第31章 闇は無限の可能性

 星もない闇の夜に、小さな炎を灯してみる。

 光は、僅かな空間を照らすだけで、辺りを見れば闇だけしか見えない。

 風もなく、木々のざわめきすら聞こえてはこない。


 ただ、じっとしていれば、この僅かな空間だけが、認識できる全てとなる。

 周囲の闇は、何もかもを覆い隠し、その中を知ることはできない。

 闇の中には、恐ろしいものがいるかもしれないし、何か楽しいことが待っているかもしれない。


 しかし、見えない。

 見えないから、怖い。

 そんな恐怖心が、闇の中に暗鬼を生んでしまう。


 生まれし頃、目の前は希望で満ちていたはずである。

 しかし、まるで、冷たい夜が訪れ、雨が雪に変わるように、いずれ、その希望は絶望へと変わっていく。


 ダラダラと生きていれば、早期に希望が消失し、生きる原動力を失う確率が高くなる。ダラダラしているということは、そういった難点もあるということだ。


 努力を継続していれば、希望の光が消えてしまっても、何とか次の希望の光を探すことができる。

 希望の光は色あせていくだろうが、そういう生き方をしていれば、絶望の闇に沈むまでにはかなりの時間が稼げる。うまくすれば、死ぬまで希望を持ち続けられるかもしれない。


 しかし、努力をせず、しかも、十分なコミュニケーションも取らずにいれば、新たなる希望を探す糸口を掴めず、あっという間に深い暗黒の海に沈むことになりかねない。

 最悪、闇に閉ざされ、進むことすらできなくなってしまう。しかも、一度、闇に沈むと、そこから這い上がるのは並大抵のことではない。

 

 希望の光とは、前進する力であり、また、困難を乗り越える力となる。

 

 であるから、ダラダラ生きるためには、修行も必要なのだ。

 心乱れることなく、闇の中に灯された光を見いだす慧眼と揺るがぬ心を持つ必要があるということだ。

 努力している人間というのは、常に動き回っているから、光が照らす範囲も移動し、結果として広範囲を見ることができる。

 人との繋がりが多いほど、光が照らす範囲も広くなる。


 ダラダラ生きている人間は、闇に包まれやすい。

 でも、どんな生き方をしていようが、希望というものは、必ず存在している。ただ、見えやすいか、見えにくいかの違いだけである。

 闇に閉ざされ、自らの傍に希望が見えない時、人は希望がないと思ってしまう。そんなことはないのに、探すことができないのだ。

 

 マッチ売りの少女がともす光のように、今にも消え入りそうな弱々しい光。

 人目に付かない、盲点のような光。

 明るい世界では見えないような光。

 そんな光が、本当は大切なものなのかもしれない。


 鏡面のような、歪なき心で、よくよく見つめれば、目の色を変えて競争に勤しむ輩が見落としてしまった真実が見えるかもしれない。

 そっと、そっと、闇の中に手を伸ばしてみれば、流れが変わる。

 かけがえのない答えは、おそらく、そんなところにあるのではないだろうか。


 闇という恐怖にうろたえてはいけない。

 暗鬼というものは、闇の中にいるのではなく、自分の胸の内に棲むものだ。

 深く、深く、闇の中を探求すれば、いつしか、希望の光を見つけることができる。


 闇の中には無限の希望が眠っている。

 ただ、見えないだけである。


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