第30章 孤立も、またよろしかろう
高い、高い岩山に立ち、眼下を見下ろす白いライオン。
百獣の王は、孤高の存在。
その気高さは、実にカッコいい。
よく、鬱にならないためには、人とのコミュニケーションが重要だという話を耳にする。これは、元々、野生の人間は集団に属していなければ生きていけなかったという事実から身に付いた本能と捉えることもできよう。
人との繋がりがないと不安になったり、精神バランスが悪くなったりするのは、自然に集団に属することを促すための呪縛なのだ。
しかし、今の世の中は孤立方向に動いている。結婚する人も減り、大家族など珍しくなった。そして、隣人の顔すらわからないような生活形態も増えた。
その方向に利があるのであれば、この呪縛は克服しなければならないものだ。
今の世の中、人と関わらなくても生きていけないこともないし、この先は、もっと生きやすくなると予想される。で、あれば、人とのコミュニケーションに固執しなければならない理由もない。
本能自体を変えるのは難しいかもしれないが、この呪縛は、案外、簡単に破れるのではないかとも思う。結論は、考察中ということにしておくが、快適に孤立できる世界がやってくる可能性も十分にあるだろう。
孤高の存在などというカッコいいものではないが、孤立しながら世界とチェインするという未来である。
ただ気になるのは、敬愛する方が、「孤独という貧困が、どんな貧困よりも最悪である。」と説いているところだ。ここにも、また真理があるような気もするので、かなり奥の深い問題であるのは確実である。
論理的に考えれば、人とのコミュニケーションの必要性はなくなっていくように思う。
別に、相手が人である必要なんてない。
であるなら、孤立も、またよろしかろう。




