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ダラダラ生きればいいんじゃない  作者: 鈴木樹蘭


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第27章 フェイクの山盛り

 SNSを見れば、どこにでもいそうな一般人が、ちょっとびっくりするような非日常を投稿している。


 非日常というのは、「おっ、すげーな。」とか、「ウワー、いいなあ。」みたいに、他人に驚きを与え、羨望を勝ち取るものでなければならない。

 これにより、投降した本人は、社会的欲求を成就し、承認欲求をも満たされるわけである。


 ただ、存在するだけでかわいい女の子であれば別だが、一般人が、この欲求を継続させるのは容易ではない。

 常に、見る側に驚きや羨望を与えなければ継続できないのだから、誰もが知っているような写真や記事をアップしても成し遂げられるわけがない。


 ならば、他人がやらないようなことをするか、もしくは、他人の知らないようなものを探し出すか・・・。

 こうして、どんどんエスカレートしていくわけだ。山盛りご飯の高さがどんどんと高くなっていくように、である。


 ただ、驚くほどの山盛りご飯を見せるくらいであれば良いのだが、エスカレートした先に待つものは、虚実以外にない。

 

 要するに、フェイクの山盛りである。


 「あなたは、こんなことを知っていますか?」

 「皆さんは、こう教えられましたが、実はこうなのです。」

 この言葉は、虚実を語る輩が見せる常套手段のひとつである。

 この後には、必ず、多くの読者が感心するような事柄が来るのだ。それが、真実であるならば何も問題ないのだが、実際のところ、虚飾とでっちあげのお祭りである。


 みんなが知らないこと。そんなものは、現実には、あまりないのだ。何しろ、世の中は情報社会というフェーズに入っており、大概のことは知れてしまっている。

 そして、多くの事は分析され、ほぼ結論(通説)が固まってしまっている。それは、そう簡単に覆るものではない。


 新しいタイプのスイーツができても、あっという間に広まり、未知のものではなくなってしまう。

 そうなると、未知の事柄は希薄となるのが必然である。ネタ切れって奴である。


 そこに、未知の事柄をでっち上げようとすると、必要となるのは陰謀論となる訳だ。国家は隠しているのだから、みんなが知らなくて当然、でも、私は知っていますって、やつだ。


 結論を言えば、情報社会と承認欲求が産み出すのは、虚実の乱交である。そんな中で踊らされている愚か者の仲間にはなりたくない。

 まるで、狂気の宗教団体に使えるアホ信者ではないか。やくざの使い走りの方が、まだましだ。

 だからこそ、慧眼を鍛え、更には判定できないものは無視するしかないのだ。


 自らの欲求に駆られた亡者たちが、ネット世界を蹂躙する。それに興じる愚かな人間は、この世界の本質と生命のあるべき姿を見失う。


 「ああ、なんて哀れなのだろう。」


 我、心に憂いを抱き、永遠の傍観者として世界を見つめる。

 いつしか嵐が過ぎ去り、整然としたデジタル社会が出現することを願いながら・・・。


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