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『ハズレ能力だと思ったら、ポーションが何でもありでした 』  作者: Lark224a


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第8話 ポーション使い???

「な、何だよ‥‥ポーション使いって!!!」


思わず家中に響き渡るほどの声で叫んでしまい、その声が静まり返った部屋の中に残響する。


俺は目の前に表示された自分の職業を何度見返しても現実を受け入れることが出来ず、両手で頭を抱えながら力なくベッドへと腰を下ろした。


「な、何で‥‥俺じゃないんだ。俺、俺が‥‥守らないといけないんだ!!」


凪は魔法見習いという明確に戦うことの出来る職業を手に入れた。それなのに、兄である俺に与えられたのは、どう考えても戦闘向きとは思えないポーション使いという職業だった。


俺の頭の中には、自分自身の未来なんて一ミリも存在していなかった。これから俺がどうなるのか、生き残れるのか、そんなことよりも考えているのは、自分の命よりも大切な妹のことだけだった。


だからこそ、自分の無力さがどうしようもなく悔しかった。


俯いたまま強く歯を食いしばっていると、視界が次第に滲んでいき、堪えきれなくなった涙が頬を伝って落ちていく。これまで自分が過ごしてきた日々への後悔が、今になって胸の奥から次々と込み上げてきた。


「‥‥俺が、もっと‥‥もっと‥‥日々をちゃんとしていれば‥こうはなっていなかったのか?俺が努力を惜しまず完璧に過ごせていれば‥もっと違っていたのか?」


今になって、自分が怠ってきた日々への後悔が尽きない。


やろうと思えば出来ることでも面倒だからと後回しにして、本気になればもっと上を目指せたはずなのに、必要最低限のことだけをこなして適当にのらりくらりと生きてきた。そんな今までの自分が、まるでこの瞬間になって一気に重くのしかかってきたようだった。


もっと真剣に生きていれば何かが変わっていたのかもしれない。もっと努力していれば、凪を守れるだけの力を与えられていたのかもしれない。


もちろん、そんな保証がどこにもないことくらい分かっている。それでも、今の俺にはそう考えずにはいられなかった。


「‥‥クソッ!!俺は‥‥俺は‥‥」


膝の上で握り締めた拳に力が入り、爪が掌へと食い込む。それでも胸の奥から溢れ続ける後悔は止まらず、何度考えても自分自身を責める言葉ばかりが頭に浮かんできた。


だが、そこで俺はふと顔を上げた。


まだ凪が傷つけられたわけじゃない。ましてや、死んでしまったわけでもない。今もこの家の中で俺と一緒に生きているのだから、全てが終わったわけじゃない。


なら、まだ間に合う。


これまでの生き方を後悔しているのなら、これから変えればいい。今までの自分が不甲斐なかったのなら、これから凪を守れる兄になればいい。


そう思った俺は腕で涙を乱暴に拭い、ゆっくりと顔を上げた。


「そうだ。まだ、終わったわけじゃない。この力でも出来ることがあるはずだ!!」


自分自身に言い聞かせるように呟きながら大きく息を吸い込み、乱れていた呼吸を少しずつ整えていく。そして、もう一度だけ自分の前に表示されている職業へと目を向けた。


そこに書かれている文字は、やはり変わらない。


――ポーション使い。


「ふぅ~~まだ、やれる。自分の職業のチェックからするか。」


そう決めた俺は、改めてポーション使いという職業について考えることにした。


まず、これまで読んできた漫画や見てきたアニメをどれだけ思い返してみても、ポーション使いなんて名前の職業には覚えがない。ただ、ポーションそのものなら俺だって知っている。


ゲームなんかでは定番と言ってもいい、人の傷や体力を回復させる薬のようなものだ。


そして、俺の職業はポーションそのものではなく、ポーション『使い』と表示されている。


そこから考えられることは―――


「生み出せる?可能性はある。」


もしも自分でポーションを生み出せるのなら、直接戦う力がなかったとしても役に立てる可能性は十分にある。それこそ傷を治せるのなら、戦うことになる凪を支えることだって出来るかもしれない。


だが、同時に一つの不安が頭を過った。


先ほど魔法を使った凪は、たった一度水の玉を生み出しただけで明らかに疲労していた。つまり、この世界で与えられた力は何の代償もなく好き放題に使えるものではなく、少なくとも何かしらの負担が身体に掛かる可能性が高い。


なら、俺が力を使った場合はどうなる?


凪と同じ程度の疲労で済むのか、それとも別の何かを消耗するのか。そもそも、今の俺にポーションを生み出せるだけの力があるのかさえ分からない。


その問いの答えは、いくら頭の中で考え続けても絶対に出ない。


そして、俺自身も考えるだけで答えが出ることなんて望んでいなかった。


俺が望んでいるのはただ一つ――凪がこの先も生きていける未来だけだ。


それを守るためなら、もう今までの不甲斐ない兄のままではいられない。これまでのように面倒だからと本気になることを避けるのではなく、妹に胸を張れるだけの兄になる必要がある。


そう覚悟を決めた瞬間、胸の中に残っていた迷いは消えていた。


俺は一度だけ深く息を吸い込み、意識を自分の内側へと集中させると、ポーションを生み出すことだけを強く思い浮かべながら初めて自分の力を使った。


そして、その結果は‥‥


俺は一本のポーションすら生み出すことが出来ないまま、全身から力が抜けるように意識を失い、その場に倒れるのであった。

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