1.6
セレナはようやくヴェラリンの肩から手を離し、こちらを振り向いた。その目が真剣なものに変わっている。セレナ・ヴァレンローズにとっては珍しい変化だ。だからこそ、次に来る会話がただの世間話ではないとわかった。
「レッチ」と言った。「話がある」
ちらりとヴェラリンに目をやり、また俺に視線を戻す。
理解した。
「ヴェラ」セレナが再び柔らかい声で言った。「少し休んでて。レッチと庭で話したいの」
ヴェラリンは俺たちを数秒間見比べた。何を考えているかはわからない。だが最終的に、何も聞かずに小さくうなずいた。
「わかった」
一言。抗議なし。疑いなし。疲れすぎて気にする余力がないのか、それともセレナを完全に信頼しているのか。
俺は庭に続く横の扉に向かい、セレナがついてきた。庭は広くない。薬草と野花をいくつか植えた小さな一角だ。中央に小さな木のテーブルと椅子が二脚ある。普段はここでコーヒーを飲むのが日課だ。
今朝、コーヒーは後回しだ。
向かい合って座った。セレナは背もたれに体を預け、腕を胸の前で組み、今日初めて陽気さのない青い目で俺を見た。
「話して」と言った。「全部。最初から」
俺は静かに息を吸った。
「どこまで聞いてる?」
「噂だけ」と答えた。「婚約が破棄されたこと、ヴェラがアリシアを攻撃したこと、誰かが百枚の金貨で身請けしたこと」首をかしげる。「最後のやつ、あなたでしょ?」
すぐには答えなかった。代わりに椅子にもたれ、頭上で揺れる木の葉を見上げた。
「王子が大広間で婚約を破棄した」ようやく口を開いた。「卒業式の夜に。数百人の貴族の前で」
セレナは口を挟まなかった。
「ヴェラリンがアリシアをいじめたと告発した。侮辱、圧迫、精神的な虐待。すべて証拠もなく、ヴェラリンに弁明の機会も与えずに」
「典型的ね」セレナが呟いた。声は平坦だが、顎がわずかに強張るのが見えた。
「ヴェラリンが一瞬だけ制御を失った。手から小さな炎が出た。反射だ。意図的な攻撃じゃない。あの炎はろうそくより弱い程度のものだった。だが王子はそれを理由にして、死刑を宣告した」
セレナが黙った。
「死刑」静かに繰り返した。「あの程度の炎で?」
「ああ」
短い沈黙が俺たちの間に落ちた。朝の風が吹き、庭の端に植えた薬草の匂いを運んでくる。
「それで家族は?」セレナが聞いた。声がさっきより小さい。「シルバークラウンは?」
俺は彼女を見た。
「誰も動かなかった。誰も口を開かなかった」
セレナの表情が変わった。怒りじゃない。それ以上のものだ。失望。家族がどれほど大切なものか理解している人間だけが感じる、あの種の失望。
「見捨てたのね」と言った。疑問形ではない。
「大広間の全員の前で」と答えた。
セレナは一瞬目を閉じた。再び開いた時、目の奥にあるものが変わっていた。より鋭く。より集中している。
「それであなたが出た」と言った。
「誰かがやらなきゃいけなかった」
「百枚の金貨で」
「王国の法律で」俺は訂正した。「金はただの手段だ。俺の主張の核心は、アリシアがまだ法的には王妃じゃないということだ。まだ候補だ。そして王国法では、死傷者を出していない犯罪は賠償金で贖うことができる」
セレナがしばらく俺を見つめた。
「最初から計画してたんでしょ?」と言った。
的確な質問。あまりにも的確すぎる。
俺は平静な表情を維持した。「たまたま王国法に詳しかっただけだ」
セレナが片眉を上げた。「レッチ」
「何だ?」
「私たち、畑で遊んでた頃からの付き合いよ。あなたのその真面目な顔、私には効かないから」
俺は黙った。
謎めいたNPCのふりをすることの最大の問題は、騙されないほど長い付き合いの人間がいることだ。
「あのお金、パーティーのずっと前から用意してたでしょ」続けた。「こうなるってわかってた」
口を開きかけて、また閉じた。いくつかの答えが頭の中で回っていて、どれもそれなりに筋が通る。だがセレナに嘘をつくのは、一度もうまくいったことがない。
「ものすごく強い予感があった、ということにしてくれ」ようやくそう答えた。
セレナは非常に長く感じる数秒間、俺を見つめた。あの青い目の奥で頭が回っているのが見える。理論を組み立てている。結論を導き出している。おそらく今、レイモンドの正体リストにまた一つ新しい説を加えているところだろう。北の大陸の予言者か、人間の姿をしたドラゴンか。
だがいつものように、それ以上は聞かなかった。
セレナは長いため息をつき、両手を頭の上に伸ばしてストレッチした。
「まあ」と言った。真剣な口調は現れた時と同じ速さで消えていた。「とにかくヴェラが無事でよかった。今ここにいる。それだけで十分」
椅子から立ち上がり、スカートをぱんぱんと叩いた。
「ところで、朝ごはんは?」家の中に戻りながら聞いた。
「食べた。ヴェラリンが作ってくれた」
セレナの足が止まった。
振り返った表情は、読みにくいものだった。驚きと、好奇心と、かすかな恐怖が混ざっている。
「ヴェラが......料理したの?」
「ああ」
「で、あなた......食べたの?」
「ああ」
「で、まだ生きてるの?」
俺は眉をひそめた。「そこまでひどいのか?」
セレナが隠そうともしない哀れみの表情で俺を見た。
「レッチ」静かに言った。まるで訃報を伝えるかのような声で。「ヴェラが学院の寮にいつも専属の使用人がいた理由、知ってる?」
俺は首を振った。
「学院で最後に料理しようとした時、厨房が燃えかけたの。魔法じゃなくて。純粋に、料理の腕のせいで」
俺は彼女を見た。
「本気か?」
「大本気。使用人たちも怖がって教えるのを拒否したくらい。完璧な精度で元素を操れる魔法の天才が、塩と砂糖の区別がつかないの」
今朝のスープの味を思い出した。
突然、すべてに合点がいった。
家に入ると、ヴェラリンはすでに食堂の椅子に姿勢よく座り、俺の小さな書棚から取った本を読んでいた。俺たちの足音を聞いて顔を上げる。
「私の名前が聞こえた」平坦に言った。
セレナが即座に満面の笑みを浮かべた。俺が見た中で最も大きな笑顔だ。
「ううん、全然! 朝ごはんがおいしかったって話してただけ!」
この世界の歴史上、最も見え透いた嘘だった。
ヴェラリンはセレナを見て、次に俺を見た。
俺は窓の方に目をそらした。
「そう」ヴェラリンが言った。声は相変わらず平坦だが、続ける前にほんのかすかな間があった。「なら、昼食も私が作る」
セレナの顔から血の気が引いた。
俺は大きく咳払いをした。
「実はな」すぐに言った。「セレナがうちの台所で料理したがってたんだ。前から。そうだろ、セレナ?」
セレナは俺を見て、ヴェラリンを見て、また俺を見た。そのほんの一瞬で、場の空気を読む商人の速度で状況を把握した。
「そう!」笑顔が再び咲いた。「食材も街から持ってきてるし。ヴェラは座ってゆっくりしてて。お昼は私がやるから!」
ヴェラリンが俺たちを交互に見た。
その目は、何かが隠されていることを見抜いている、と語っていた。
だが何も言わなかった。小さくうなずいて、本に視線を戻しただけだ。
セレナが俺に近づき、ごく小声で囁いた。
「チョコレート一箱ね」
「生存のための投資と考えてくれ」俺も小声で返した。
セレナは笑いをこらえながら、軽い足取りで鼻歌を歌いつつ台所に向かった。
俺は椅子に座り直し、目の前の光景を眺めた。片側でヴェラリンが静かに本を読んでいる。もう片側でセレナが台所で鼻歌を歌っている。朝の日差しが窓から差し込み、いつもは静まり返っている小さな家を照らしている。
俺は背もたれに身を預け、この瞬間を味わうことにした。
この家がこんなに賑やかになったのは初めてだ。
そして不思議なことに、悪くなかった。




