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2/4

1.1

正直に言うと、俺は乙女ゲームが好きじゃない。


いや、少なくとも嫌いであるべきだった。


あの時プレイしていたゲームのタイトルは『Magic and Love』。ルート分岐型の恋愛要素と、誰からも好かれる無邪気なヒロインが売りの、典型的な乙女ゲームだ。普通なら、俺が手を出すようなジャンルじゃない。


だが一つだけ、俺がプレイし続けた理由があった。


悪役令嬢だ。


ヴェラリン・シルバークラウン。


あのキャラデザは本当にずるい。長い銀髪、冷たい眼差し、真面目すぎる貴族のオーラ。明らかに嫌われるために作られたキャラなのに、なぜか目が離せなくなる。だが残念ながら、すべての乙女ゲームの悪役がそうであるように、彼女の結末はいつも同じだった。


死か、追放か。


「せめて、こんな美人を悪役にするなよ!」


プレイし始めた頃は、むしろ腹が立った。ヴェラリンはいつもヒロインを追い払おうとする。鋭い視線、冷たい言葉、まるで見下しているかのような態度。典型的な乙女ゲームの悪役。プレイヤーが彼女の転落に満足感を覚えるように作られたキャラだ。


大げさだと思っていた。


ゲームをクリアするまでは。


何重もの難しい選択肢の奥に隠された隠しエンディングで、ヴェラリンが再び姿を現した。没落した貴族令嬢としてではなく、最後の王として。高位の魔術師、複雑な魔法の使い手、本当にうんざりするほど厄介な攻撃パターンの持ち主として。


倒すのにかなりの時間がかかった。


そしてその後、カットシーンが始まった。


フラッシュバック。


初めて、物語がヒロインの視点以外から語られた。俺はヴェラリンの目を通して世界を見た。


そしてようやく気づいた。彼女の態度には、ちゃんと理由があったのだと。


ヒロインはよく無神経だった。あまりにも無神経だった。礼儀もわきまえず貴族の領域に踏み込み、貴族たちと馴れ馴れしく話し、何度も王子と二人きりで歩いているところを目撃されている。すでに婚約者がいる王子と。


あの世界では、身分はただの飾りじゃない。平民には守るべき分際があり、わきまえるべき立場がある。それは平民が劣っているからではなく、たった一つの過ちが政治的な大惨事になり得るからだ。


ヴェラリンはそれを理解していた。


彼女は子供じみた嫉妬をしていたんじゃない。警告していたのだ。礼儀を守ろうとしていた。自分自身の、そして王家の名誉を守ろうとしていた。誰だって、自分のパートナーに突然別の誰かが近づいてきたら、いい気はしないだろう。


なのに彼女の警告はすべて「悪行」として描かれた。


冷たい視線はすべて「弾圧」と見なされた。


距離を保とうとするたびに、まるで怪物のように扱われた。


カットシーンが終わった後、俺はしばらく画面を見つめていた。


「よく考えたら......」と呟いた。「処刑されるべきなのは王子の方だろ!」


そしてそのゲームを始めて以来初めて、俺はヴェラリン・シルバークラウンを悪役として見なくなった。彼女は間違っていたから負けたのではない。物語が最初から彼女に弁明の機会を与えなかったから負けたのだ。あの世界は最初から彼女の役割を決めていた。ヒロインが正しく見えるための、ただの踏み台として。


考えれば考えるほど、腹が立った。


だがそれをもっと深く考える前に、俺の人生の方が先に終わった。


あの隠しエンディングを見つけた直後、死は突然やってきた。何の前触れもなく。何のドラマもなく。一秒前まで画面を見つめていたのに、次の瞬間にはすべてが暗転した。


そして再び目を開けたとき、俺を迎えたのはもう自分の部屋ではなかった。


『Magic and Love』の世界だった。


俺はただの平民として転生した。


名前はレイモンド。


地図にもほとんど載っていないような小さな村で生まれた。貴族の血はない。遺産もない。両親はただの平民で、日々の労働で暮らしを立てていた。


最初は少し期待した。もしかしたら凄まじい魔法の才能を持って目覚めるかもしれない。無限の魔力、あるいは他の異世界モノにあるようなチート能力があるかもしれない、と。


だが現実は、俺はただの一般人だった。特別なスキルなし。隠された力もなし。


その現実を受け入れるまでに何年もかかった。だが同時に、大事なことにも気づいた。


確かにチート能力は持っていない。だがこの世界の誰も持っていないものを、俺は持っている。


知識だ。


前世の知識。この世界にまだ存在しない概念、道具、技術についての知識。そして最も重要なのは、ゲーム『Magic and Love』のストーリーについての知識だ。


何が起こるか知っている。誰が何をするか知っている。そしていつすべてが崩壊するかも知っている。


だからその時から、俺は準備を始めた。魔法ではなく。力でもなく。


頭を使って。


そこから、この世界での俺の道が本当に始まった。

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