コウハイ②
前回の続きです。
「柚穂ちゃんにはあまり言いたくなかったけど、私、実は優斗と付き合っているの」
「え、嘘だ・・・」
私は柚穂ちゃんに優斗との関係を尋ねられたので、優斗と付き合っていることを打ち明けた。正直言うと、私が優斗と付き合っていることを柚穂ちゃんには言いたくなかった。半年前、5期生としてデビューして、私のことを『誰よりも尊敬している』と言ってくれた柚穂ちゃん。仕事を共にしていると次第に仲良くなっていった柚穂ちゃん。そして、今では私の可愛い後輩として君臨している柚穂ちゃん。
「おかしいですよ!アイドルって恋愛禁止でしょ!それに、真奈さんは私だけのものなのに・・・」
いつしか、柚穂ちゃんは泣き喚いていた。私は「ホントゴメンね・・・」としか言うことができなかった。そして、私は柚穂ちゃんに悪いことをしちゃったな・・・と思いながら部屋に戻り、寝ることになった。
◇ ◇ ◇
真奈さんと渡辺先輩が付き合っていることを知った私は、ショックのあまり泣き崩れた。そして結局、ほとんど眠ることができないまま翌朝を迎えた。
「おはよ、柚穂」
「あ、桃ちゃんおはよう!」
「ん?どうした柚穂、元気なさそうだけど?」
「ううん、何でもないよ!うん!」
行きの電車でぼーっとしていると、同じクラスの坂口桃ちゃんが声をかけて来た。桃ちゃんは子役からずっと芸能界で頑張っている現役女優。昔は結構有名だったけど、最近は仕事が減って困っているみたい。
「そういえば私、久しぶりにドラマに出ることになったんだけど・・・」
「え?よかったじゃん。撮影いつなの?」
「連休中。でも死体役なんだよなぁ・・・しかも冒頭ですぐ滅多刺しに遭って殺される役」
「大丈夫だよ桃ちゃん!私がちゃんと見るから」
「うん、ありがとう。さすが柚穂は私の親友だよ・・・」
桃ちゃんも元気なさそうだ。私なら殺される役でも喜んで出るんだけどなぁ・・・
そんなこんなで学校に着き、クラスメイトとも声を交わす。私が在籍する1年1組は芸能クラスであり、クラスメイト全員が何らかの芸能活動をしている。そのため、仕事で学校を休むクラスメイトが多く、この日も半分のクラスメイトが仕事のため欠席していた。この日もクラスメイトでなおかつ、私と同じ赤坂ガールズで活動する広岡玲ちゃんが朝から仕事が入って欠席だった。
◇ ◇ ◇
午前の授業が終わり、昼食を食べるため食堂に向かった。この日、真奈さんは仕事のため学校を欠席。渡辺先輩は1人ひっそりと食事を取っていた。そして私は桃ちゃんと渡辺先輩のすぐ近くの席で食事をすることにした。
「あの人が渡辺先輩?」
「うん。どうもこの人、真奈さんと付き合っているみたいなの」
「え?柚穂、知らないの?渡辺先輩と真奈さんって、御船一のベストカップルだよ」
「あー、なんか色々噂してたような・・・って言うか、ここって女子校だよね!?何で男子が平然とうちにいるの?」
「そう言えば何でだろ?私も知らないなぁ・・・」
「確かに見かけはかっこいいけど、不思議だよね・・・」
私たち2人と渡辺先輩はほぼ同じタイミングで食事を終えた。すると桃ちゃんが、
「せっかくだし、先輩に真奈さんと付き合っているのか聞いちゃいなよ」
って言って来た。私は「そんな度胸ないよ・・・」と言ったが、桃ちゃんから、「今しか聞く機会ないかもしれないよ?」と言われたので、私は、
「そうだね・・・今から渡辺先輩のところに行ってくる」
と言い、渡辺先輩のところに向かったのであった。
◇ ◇ ◇
「3年1組の渡辺優斗さんですよね?」
俺は昼食を食べ終えるとすぐ、ある女の子から声をかけられた。背は結構高く、160cm後半はあるだろう。髪は腰のあたりまであって、かなり大人びている。
「1年1組の中尾柚穂です。相川真奈さんのことはご存知ですよね?」
その女の子はこう言って来た。1年かよ。つーか、君は真奈の何なんだよ・・・
「そうだけど、君は真奈の何なの?」
「私、赤坂ガールズのメンバーなんですけど、真奈さんは素晴らしい先輩です。美人で人望もあって、私が赤坂ガールズに入りたいと思うきっかけとなった存在なのです」
「え?そうなの?」
「はい。ところで、先輩は真奈さんとお付き合いしているんですよね?」
柚穂ちゃんは俺に真奈と付き合っているのかを尋ねてきた。
「・・・ああ。付き合っているよ。嘘はつかない。証拠も出す」
俺はスマホを取り出し、俺が真奈と付き合っている証拠を見せた。
「やっぱりそうだったんですか・・・だったら至急、真奈さんと別れてください。真奈さんは私だけのものなんですから」
「何で俺が真奈と別れなきゃいけねーんだよ。それに真奈は私だけのものって・・・」
「第一、真奈さんはアイドルなんですよ!アイドルは恋愛禁止なのは先輩もご存知でしょう!それに、女の子が女の子を好きになって何が悪いんですか・・・」
うわ、ヤバい奴が来やがった。そして・・・
「もう昼休みも終わりですし、今日はこれでいいです。でも私は真奈さんのことを諦めていませんから」
と柚穂ちゃんは俺にこう言い、俺の元から去っていったのであった。
優斗に恋のライバル現る?




