「泥棒猫」「雌豚」「あばずれ」
今回は真奈視点。昼ドラ並みのドロドロ展開です。
「やった!渡辺くん、優勝したよ!今でも好きです!大好きです!愛してます!まだ諦めていません!」
体育祭の借り物競走で優勝した遥は優勝の瞬間、優斗にこう全力で叫んでいた。私もこの言葉を聞いたが、流石に動揺は隠せなかった。「優斗を取られるんじゃないか」という不安が頭をよぎる。私と遥は双子のようにそっくりだ。身長は遥が、胸のサイズは私の方が上だが、髪の色も髪の長さも顔のパーツもほとんど私と変わらない。だからこそ余計に、「優斗を遥に取られるかもしれない」という不安がよぎってくるのだ。
夕方、体育祭が終わると、教室で打ち上げが行われた。久美子先生と佳奈先生も同席。私たち生徒はジュースとお菓子でわいわい盛り上がり、久美子先生もテンションを高くしながら、「みんなよく頑張ったね〜」との挨拶。そして久美子先生は優斗に声をかける。
久美子先生と優斗の話が終わると、私は「優斗、私が頑張っている姿、ちゃんと見てくれた?」と優斗に言った。優斗は「ああ、でもお前ずっと応援ばっかしてたじゃん」と笑いながら返した。それに対し私は、「えへへ」と笑いながら返す。そして、
「優斗、私が誰よりも優斗のことが大好きなんだから、誰にも負けないよ。だから、優斗も私のことをずーっと好きでいてくれるよね」
と言った。そして優斗は、
「うん、俺も真奈のことが大好きだ。誰よりも愛している。だからこれからも、ずっと一緒にいよう」
と言ってくれた。私は笑顔で「うん。だから私、優斗のことだーい好き♡」と言葉を返した。そして優斗と互いに顔を合わせ、唇と唇が触れ合う。その感触は、すごく柔らかい感触。一言で言えば、脳が溶けるような感じ。
そして、打ち上げが終わった私たちは寮に戻った。夕食を終えると、私は遥に呼び出された。風呂まで少し時間はある。私は「遥、何の用?」と言い、遥の部屋に入る。そして、その瞬間・・・
一発のビンタが私の頬を直撃した。私は「遥、何すんの!」とつい声を出した。そして遥は・・・
「あなたにはわからないでしょうね!好きな人を取られた気持ちなんて!」
と私に声を荒らげながら叫んでいた。そして遥は小言ながら、立て続けに「泥棒猫」「雌豚」「あばずれ」という言葉を私に向かって飛ばしていた。実際それを言われるのは私ではなく遥の方だと思う。しかし、私はショックのあまり言葉が出ない。遥とは学校でも仕事でも、仲良くしていたから、お互いいい友達だと思っていたのに・・・そして、
「ごめんね・・・遥がそんな風に思ってたなんて知らなかった・・・」
遥にこう言った私はいつしか体育座りになり、泣き崩れていた。そして、「ちょっと、何事なの?」と久美子先生が駆けつけるようにやってきた。久美子先生は、「真奈ちゃん、泣いてるじゃない!」と遥に言う。そして優斗も部屋に駆けつけ、「さっきすごい音したけど、お前、真奈に何したんだ!」と声を荒らげながら言っていた。遥は2人に事情を説明し、久美子先生と優斗にそれぞれ注意される。そして、
「私ね、優斗のことが大好きなの!絶対に諦めない。略奪愛でもやっちゃうんだから!」
遥は部屋を後にする優斗に全力で叫んだ。私も悠人の後を追うように部屋を後にするが、流石に動揺は隠せない。「遥に優斗を取られるんじゃないか」という不安がまたしても頭をよぎってきた。
私はそのまま風呂に入った。しばらくすると遥もやって来た。こうして見ると遥は本当に私にそっくりだ。私は裕奈といつものように会話を交わす一方、遥は亜香里と何かを話しているようだった。裕奈は「さっき大きい音がしたけど、遥ちゃんと何かあったの?」と私に声をかける。そして私は「ううん、何でもないよ!」と急ぎ口で言った。
風呂から上がり、脱衣場に戻ると隣に遥がいた。遥は私に気づいたのか、私の顔を見る。すると、
「真奈ちゃん、さっきはごめん!あなたのこと全然考えてなかった!」
と私に向かって言ってきた。私は、
「いいよ、私は大丈夫」
と遥に話す。そして、
「でも、優斗は絶対私のものだから。私が絶対振り向かせてみせる」
と遥は言い、私も
「うん。でも、優斗は絶対私のもの。それだけは譲れない。だって恋人同士なんだから。結ばれた仲なんだから」
と遥に向かってこう宣言した。
真奈と遥は本当は仲良いんです。本当はね。




