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犯罪者クラス~目には目を、歯には歯を、犯罪者には犯罪者を~  作者: 86


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Episode-5 問題児

 五十嵐先生が「10分後から授業始まるから準備しておけ」とだけ言い残して教室を去っていった。


 その様子を見届けてからさっきの説明中でも1番騒いでいた赤髪の男が立ち上がる。


 端末で調べたところ、名前は荒川猛流(あらかわたける)。強盗殺人を6回も犯してる激ヤバな奴だ。


「キヒヒ、このクラスはクズばかりとも思っていたけどよ、中々に可愛い子もいるじゃねえか」


 そう言って荒川が目を向けるのは自分の隣の席の女子生徒。


 確かにその女子生徒の見た目はこの場所にそぐわないレベルで可愛かった。


 見た目はセミロングの茶髪に少し吊り上がった青い瞳、そして女らしく成長した身体、そこら辺の女優と言われても信じてしまう容姿である。


 俺が端末を開いて調べようと思った矢先に荒川が調べてくれたようで大声を出しながらペラペラと喋り始める。


「あーどれどれ、テメェの名前は胡桃沢千夏(くるみざわちなつ)?中学で3回もイジメやってんの?人は見た目によらねぇなぁ?」


 そうやって皆の前で暴露された胡桃沢は顔を伏せる事しかできない。


 どうせここには罪を犯した奴しかいないため気にする事もないと思うが本人的にはあまり知られたくない事なのだろう。


「べ、別にあんたに関係ないじゃん!」


 胡桃沢は勇気逞しく荒川に食ってかかろうとするがそれに対して逆に荒川は何故かブチギレて胡桃沢の目の前まで近寄る。


「なに口答えしてんだ?テメェ。テメェの中学じゃテメェが偉かったかもしれねぇけど、ここはテメェみたいな女が調子乗っていいとかじゃねえぞ」


 思いっきしガンを飛ばしながら顔を近づける荒川に胡桃沢は怯え切っている。


 確かに今まで普通の生活を送ってきた胡桃沢にとってここは居心地が悪いかもしれない。


 並の女子なら荒川に詰め寄られれば失禁してもおかしくないと思うが、そこは胡桃沢も犯罪者というだけあってまだ睨み返す力はあるようだ。


 その様子を見て男子は全く興味なさそうにしている人間と楽しみながら見守っている人間の2種類に分かれている。


 逆に女子は心配そうに見ているのがほとんどだ。だからと言って自分から助けに行こうとする奴はいないが。


「……けどよ、俺は強気な女は嫌いじゃねえ。気に入った。テメェ俺の女になれよ」


 唐突な俺の女になれ発言でこのクラスの女子のほとんどが荒川に向かって軽蔑の眼差しを向ける。


 しかし荒川はそれに気づいてないフリをしてまだ胡桃沢を口説き続けるようだ。


「どうだ?俺の女になればこのクラスでもそれなりの地位を確立できるぞ」


 余程自分の力に自信があるのだろう。


 確かに自分の地位を確立できるというのは元々いじめっ子気質の胡桃沢には魅力的かもしれない。これは胡桃沢も承諾するかもしれないと思ったが、俺の予想とは反対に胡桃沢は手を張り上げて荒川の頬をパチンッと叩いた。


「このアマ……ッ!」


 まぁこれには荒川も勿論ブチ切れて拳を張り上げる。


 生徒同士での暴力は許されているためこれを止めようと動く者は現れない。


 まぁそりゃそうだ。なんせおそらくこのクラスでも相当の武闘派である荒川を最初から敵に回したいヤツがいるはずないからな。


 俺ははぁとため息を吐いてから荒川との間合いを一瞬で詰めて荒川と胡桃沢の間に割って入る。


「その辺でやめとけ。荒川猛流」


「ッ!てめぇはッ!」


 俺の姿を認識してもまだ荒川は止まらず「チッ、面倒だけどテメェから先に片付けてやる!」と言いながら拳を振るってきたので俺はそれを片手で止める。


「まだやるつもりか?」


 俺が淡々に問うと、荒川はさらに拳を振るってきようとしたがそれを第三者の声が止める。


「もうそれ以上はやめといた方がいいんじゃない?君は大分喧嘩に自信あるのかもしれないけど、流石に彼

は相手が悪いと思うよ。なんせ端末見る限り相当の人数を殺している大量殺人鬼、このクラスの2人いるS級のうちの1人だからね」


 そう言葉を発するのは先ほどの先生の説明の時にも挙手をして発言していた出席番号2番と思われる金髪の優男だった。


 その言葉を聞いた荒川はチッと舌打ちだけして教室を出ていった。


 荒川の姿が見えなくなるとクラス内で落ち着きを取り戻す生徒の姿が多く見えた。


 どうやら傍観していた生徒たちも荒川の一挙手一投足に怯えていたようだ。


 俺は荒川がいなくなった事で自分の席に戻ろうとしたら、胡桃沢によって腕を掴まれた。


「……まだ何かあるのか?」


 そう聞くと胡桃沢はどこか恥ずかしそうに顔を赤面させながら言葉を発した。


「え、えっと……ありがと」


 そう言葉にする彼女の姿を見ながら俺はやっぱり彼女はこのクラスに似合わないな、と思った。


 彼女にも俺と同じく何か理由があって犯罪者になったのだろう。根は悪い人間には見えない。


 俺は「どういたしまして」とだけ言い残してから自分の席へ戻り端末で色々な生徒の情報を確認し始める作業へと移るのだった。

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