第九話 井伊奴はけしていい奴100%というわけではない。
「「あ・い・う・え・お・あ・お。」」
放課後、放送部で発声練習していた。
そう。自分は実は放送部に入っています。
放送部ということは、つまり僕陰キャ!
……。
それはさてきおきここの放送部に気になる女がいた。別に恋愛的に気になったというわけではない。人間観察として面白いんだ。学力高い生徒会書記で友達が多い
「井伊奴杉太」ちゃんである。
杉太なのに女の子ということに衝撃は受けないでください。小野妹子みたいなもんです。
まぁ、それは置いとこう。具体的に気になる部分は
「陰キャの名前を全員覚えている。」
「中1なのに、どこか大人びている。」
「学力は高いのになぜか無理して付き合う友達が多い。話を合わせる仕草が多い。」
という点である。一見優等生のように見えるがこれが怪しい。ソースは自分。
小学3年生の頃だった。自分はその時
「世界は必ず平和になる。」みたいな理想を持つほどまだ他者からの悪を感じたことがなかった。
自分は小3で初めて友達ができた。
その友達は周りからの評判も高く、優等生だった。
最初の頃は楽しく帰っていたが、
どんどんそれはいじめに変化していき最終的に
その子はいじめっ子(元友達)となった。
一緒に帰っていた為、「僕が一方的に殴られるために帰る」みたいな行動に走った。俺、ドMかな…
だから、こういう優等生に対しては怪しむようになった。優等生の裏側を考えると自分がおぞましくなってくる。
と、考えている内に発生練習が終わった。
「じゃあ、今日は朝の放送練習をしてもらいます。30分後に読み合いをします。では、練習してください。」
お。今日は朝の放送練習か。あれ、読み応えがあるんだよな。短い割に情報量が多いのがいいんだよな。
と、朝の放送練習をしていると
いつも仲間達と練習している井伊奴が一人でポツンといた。多分仲間は今日休みなんだろう。
しかし、一人で練習しているところだけで絵になるな…凄いなと感心していると井伊奴が睨みつけてきた。
「あれ?なんか用でしょうか?」
まるで、警戒するように睨みついてくる。ほら、少しづつ足引いているやん。俺、野生動物なの?
「いや、用というわけではないが。なんかあんたらといつもいる仲間がいなくてさ心配になった。いや勝手にそのことを知っていてすまん。人間観察という趣味をもっているせいで分かるんですよ…きもくてすみません。」
と、必死に謝る。そう。今、わざと自分で自分を下げた。なぜかって?自分で下げれば誰からも下げれないんだよ。プライドを守れてよかった。流石自分。すごい。と自己満に陥っていたら
井伊奴がすこし「ぷっ…」のように笑った。
「…いや確かにキモい。あんたはキモイだが、」
あれ?なんか、急に罵倒してきたぞこの女。いいヤツだと思っていたのに。しゃーないか。と少しがっかりしていたが思いもしない発言をしてきた。
「その理論でいけば私もキモいとなるよ。」
「いや別にあんた…え?」
思考が止まった。
続く




