第十話 へぇ。人は完全なる善とか完全なる悪とか存在しないんだ。
前回の振り返り。
「人間観察が趣味で…いや。きもくてすみません。」
「ぷっ…そしたら、私もキモくなるやん。」
え?自分は思考が止まった。
ーこの女まさか。自分は自分で自覚するほどキモい質問をした。
「あの。すみません。間違えでなければいいんですが、人間観察がお趣味でしょうか?」
「えぇ。そうよ。人間観察が趣味なの。集団はどうして意味あろうがなかろうが上下関係を作ることに興味を持っていましてね。動物園感覚で楽しんでいるんです。」
マジか…人間観察が趣味なんだ。へぇ。話が合いそうなので、とりあえず話を続けた。
「ならば、それを知っているのになせ動物園の中の一つの動物として生きてるんですか?自分なら到底動物園の中の猿として生きるのは難しいです。私馬鹿なので猿を理解できないんです。」
「それは、猿の群れの一番上に立つと猿の愚かさがわかるからよ。猿の群れの一番上というのは猿の長とかではなく猿を飼育する飼育員みたいなものだよ。ほら、飼育員も猿を可愛がっている理論と同じよ。」
「絶対に違う…」
「でも、共感はするだろ?」
「します…」
悲しく言った。なんだよこいつ。井伊奴だからいい奴なんて…スゲ。井伊奴は会話を楽しんでいるように少し頬が緩んだ。
「あとあなた、自分を下げて何が楽しいの?傲慢すぎるわ。正直、あなたの方が周りの猿よりは上だよ。まぁ、私には及ばないですがね。」
「褒めているように見て罵倒しているじゃないか!」
「一応褒めているつもりよ。」
「あぁ。そうですか…。」
しかし。井伊奴がそこまで井伊奴だとは思わなかった。同時に世間一般から見たら悪役だ。しかし自分も悪役なので気にしない。気にしない。
まぁでも…井伊奴は友達にはできないな…。
続く




