Episode7 違和感と日常の交錯
智也「それじゃあ、俺はオフィスにまた帰る。まだ仕事がある」
正「わかった。気を付けて」
正が智也をお見送りしているときには、すでに大助は料理を口にしていた。
大助「うめー!!!」
翔太郎「この魚、本当に美味しい」
大助と翔太郎はガツガツと料理を平らげていく。
桜咲「うん、すっごく美味しい!」
美奈「……チキンも美味しいね」
清はまだ食べ始めていない。それを見ていた河人は清の方へやってくる。
河人「どうした?お腹が空いていないのか?」
清「い、いえ。そういうわけじゃないんですけど……」
河人「気に病んでいたら食べないのもありだぞ」
清「いや、それでもなくて……」
河人の視線が清から正の方へ向けられる。
河人「正、また何か変な調味料を入れたな?」
正「ええ?僕はそんなの入れてないんだけど」
河人はため息をつく。
河人「スープがあるから、まずはそれから食べた方が良い。胃が冷えているから食欲がなくなることもある」
清「ありがとうございます……」
さすがに魚なのに肉の味がするかもしれないとは言えない……。
河人はキッチンに戻り、慣れた手つきで皿洗いをし始める。
清はスープを飲む。
清「うん、美味しいポタージュスープだ」
清も少しずつ正と河人がつくった料理を食べ始めた。
◇◇◇
大助「もう、お腹いっぱいだ~」
翔太郎「ごちそうさまでした」
桜咲「おいしかったね!」
美奈「うん。おいしい。全部おいしい」
清「……」
清はまた考え込んでいた。窓を見ると夕日の光がこちらに差し込んでくる。
体感時間はおそらく現在の時刻は3時のはず……。
しかし、時計を見ると時刻は午後6時を指し示している。
清「あの……」
河人「?」
清「……」
河人「……?」
河人は不思議そうな顔をするが、同時に河人は何かを言いたい様子をしている。
清「……魚が肉の味になることは、ありますか?」
河人「ほほう……。興味深いな」
も、もしかしたらわかってもらえるかも……!
河人「肉のような味……。肉以外の食材が肉のような味になることはないが、面白い。どこで食べたんだ?」
清「宇宙飛行船で食べました!」
河人「なるほど、それなら料理人が怪奇的ともいえる技術で、料理をつくっているんだろう。すごいな……」
「……」
清は仮面を被った。落ち込むのをやめて、苦し紛れに笑った。
翔太郎「河人さんと正さんは料理人なんですか?」
永夜「そうさ、しかも凄腕の料理人だぜ」
河人「……俺の話を奪わないでくれ」
永夜は「ごめん!」と手を合わせて謝っているが、とてもそんな態度ではないことは彼らもわかっていた。
河人「そうだ。あと、食べ終わった皿をすべてシンクの方にもってきてくれ。」
美奈「了解」
清たちはシンクの方にすべての皿を持ってきた。
すると、凛が「こっちへ来てくれ」と手招きをしている。
凛「今から君たちの住む部屋へ案内する。ちなみに先に言っておくが男部屋と女部屋でわかれている」
凛は2階へ案内する。
凛「ここが男部屋だ」
凛「個室ではないが、広さは確保されている」
凛「先の方へ行くと、女部屋だ」
凛「では、私は河人の皿洗いを手伝いにしに行く。君たちはゆっくりするといい」
凛は足早で去っていった。
大助「じゃあ、入るか!」
大助「しつれいしまーす!」
扉を開けると、机に向かって必死に何かを書いている少年を見つけた。
大助はそっと扉を閉めた。
翔太郎「どうした?入らないのか?」
大助「いや、中に人がいたんだけど……」
翔太郎「そりゃ、誰かがいてもおかしくないけどさ……。いいから入れよ」
コンコン
今度は部屋の内側からノック音が聞こえた。
???「誰かいる?」
大助はまた扉を開けた。
そこには、清たちと同じ年齢と思われる少年が立っていた。
???「入っていいよ」
大助「失礼しまーす」
翔太郎「お邪魔します」
清「…お邪魔します」
???「よろしく。僕の名前は山本海斗。みどりやへようこそ。君たちのことは智也さんから聞いているよ」
大助「俺の名前は佐中大助!よろしく!」
翔太郎「僕は川口翔太郎。よろしく」
清「……柳田清。よろしく」
大助「さっきは何をしていたんだ?」
海斗「メモをとっていたんだ」
翔太郎「どういうメモ?」
海斗「今後の練習に備えてのメモだよ」
部屋から入って、まず見えたのは木製のテーブルと2つの椅子。左右には2段ベッドが2つ。ほぼ寝るだけの部屋だ。
海斗「一応、斗木矢さんが急遽部屋の片付けと準備をしてくれたから、ここにいて大丈夫だよ。ちゃんと掃除してもらったから」
清「……斗木矢さん?」
海斗「ここの住人の1人で、練習に付き合ってくれる先生みたいな人だよ」
大助「え?ここに部活みたいなものがあるのか?」
海斗「部活はないよ」
翔太郎「じゃあ、練習って?」
海斗「ヒーローになるための練習だよ」
清たちは目を丸くした。
大助「え!?ヒーローになるのか?」
海斗「そうだね」
翔太郎「すごいな……」
海斗「いや、そこまで大した実力はないよ……」
コンコン
海斗「はーい」
正「そろそろ、風呂に入る時間だよ!」
海斗「了解」
部屋越しから正の声が聞こえてきた。
あの違和感、なんで起きたんだろう……。
本当に俺たちは今からここに住むことになるかもしれない。逃げ出したとしても、実家がラーメン屋に変わっている……。つまり、行く当てがなくなっている……。
今日はとても疲れた……。風呂に入って寝るか……。
清は思考しながら、翔太郎の後をただ着いて行くことしかできなかった。




