Episode5 新たな日常が始まる
智也と手をつなぎ、ワープした後、清たちの住む家に帰ろうとしていた。
ただ、この世界に対する違和感はまだ清の頭の中で残っていた。
清「ここらへんに実家があるはずです」
住宅街の街路を六人は固まって歩いていく。
清「……あれ……?」
桜咲「どうしたの?」
清「……俺の家……」
清「ラーメン屋になってる!?」
清の実家であろう場所がラーメン屋『力一杯、ラーメン屋』になっている。
「いらっしゃいませ~」
清は外でビラ配りをしている少女を見つけた。
桜咲「あれ?麗花じゃん!」
麗花「やっほー!桜咲ちゃん!」
(清 ……??)
麗花「今バイトしているんだけど、よかったら店長の賄い食べてく?2杯分余っているらしくてさ」
大助「麗花、俺も食べていいか?」
麗花「もちろん!」
桜咲「うちも食べる!」
桜咲と大助はラーメン屋ののれんをくぐっていった。
智也「ここはラーメン屋だったんだな。新しくできた店みたいだ」
(清:ここはラーメン屋じゃなくて、俺の実家のはず……。)
清たちは外で待っていた。すると、誰かが近くに寄ってきた。
「あれ、翔太郎くんじゃない!?」
翔太郎「房江ばあちゃんじゃないですか」
房江「こんにちは、房江です。ちょうどよかった。翔太郎くんにこれをあげようと思って」
翔太郎「野菜がいっぱい!ありがとうございます」
房江「これらは商品にならないものなの。いっぱい食べてね」
翔太郎「ありがとうございます!」
智也と清は会釈する。房江は、杖をつきながらその場をあとにした。
智也「さっきの人、矢口さんだろ?」
翔太郎「そうです。矢口の八百屋の店長です」
(清:え?なんで智也さんが知っているんだ?)
(清:俺初めて会ったんだけど……)
20分後
大助「めっちゃ美味かった!また食べたいな」
桜咲「ありがとうございました~」
賄いを食べ終えて、大助と桜咲は清たちと合流する。
そして、店長らしき人物がお見送りをしてくれた。
美奈「……さあ、シェアハウスへごー」
(清:……は?)
翔太郎「楽しみだな」
清「……おいおい、ちょっと待ってくれよ!」
清「みんな、実家に帰るんじゃないのかよ!目を覚ませよ!」
清はそう喝破した。しかし。
大助「何言っているんだよ、今からシェアハウスへ行くんじゃないのか?」
清「……は?」
翔太郎「『は?』じゃねえよ。もともとその予定だったんじゃないか」
清は、ラーメン屋の前で立ち尽くす。清の表情は生気が抜けた表情になっている。
桜咲「ほら!置いていかれるよ!」
清は涙ぐみながら、ラーメン屋を去った。
(清:いつもの四人が変になってしまった……。俺が……俺が……間違ってるのか?)
住宅街を10分ほど歩くと、他の住宅とは違ってひときわ大きな建物が見えた。
智也「ここが俺の住むシェアハウスだ」
大助「でけー!」
翔太郎「4LDKよりも大きいな」
清以外の四人はシェアハウスの玄関を開けて、中へ入っていった。
清はシェアハウスの前で呆然と立ち尽くす。
智也「どうした?」
清「いや、なんでもないです」
(清:屋根の形が妙におかしい……。それに、なぜか雰囲気が不気味だ)
清は恐る恐る玄関を開けた。よくある日本の住宅の玄関がそこにはあった。
(清:まだ安心できない……)
清は廊下を通って、リビングに通ずるドアを開けた。
「ようこそ!シェアハウスみどりやへ!」
他サイトで連載していた「Observers第一部」を本サイトに著者自らが転載しています。無断転載ではありませんので、ご容赦ください。




