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Episode4 捜索開始

智也「コードネーム『狂乱者』。これより、救出作戦に入ります。応答せよ」


室長「こちらコードネーム『室長』。侵入場所では位置情報システムの範囲外の影響でマップには表示されません。準備と警戒を怠らぬよう、対象者の救出が目的です。伝達事項は以上です。通信を切ります。」


智也は先ほどの場所から、30キロメートル離れた山の中に作られていた、洞窟の中を一人で慎重に歩く。洞窟の中は人が三人分入るほどの大きさだ。


(智也:何も気配がない。だが、嫌な予感がする)


一人で何の武器もなしに、洞窟を歩いていると誰かの泣き声が聞こえてくる。


小刻みに歩いていくと、5人がそこに立っていた。


智也「俺は、葉月智也だ。お前たちを助けに来た。怪我はないか?」


清たちは静かに頷く。


智也「今から、この洞窟を出る。慎重についてきてくれ」


???「待て」


???「ここから動くな」


出口には、戦闘員と思われる人たちが智也に銃器を突きつけている。智也の後ろに隠れている清たちの背後にも戦闘員が武器を構えている。


???「今すぐ相羽慶次の居場所を言え。さもないとお前たちの命はなくなる」


智也「チーム・オットーだな?」


チーム・オットーの構成員「いかにも」


智也「チーム・オットーか」


智也は薄暗い中で奇妙な笑みを浮かべる。


智也「さっき、俺が戦ったのは?」


チーム・オットーの構成員「あの腰抜けどもか。チーム・ディエーチだ」


チーム・オットーの構成員「お前が喋る回数は限られている。あと1回だけだ」


沈黙が続く。時が止まったようだ。


智也「ぶち抜くのみ」


その刹那、とてつもない激しい音が聞こえた。気づいた時には、清たちは地上からおよそ高度20メートルの場所を、浮遊していた。


清「な、何が起きたんだ!?」


翔太郎「わ、わからない!でも、俺たち浮遊してる!」


大助が目を凝らすと、智也が何かを言っている様子だ。



大助「そ、そのまま……降りてきて……。…え?」


清「はあ!?俺らが降りてくることができるなんて、ありえない」


すると、身体が重力の影響で下に落ちていく。


智也は大きなブランケットを取り出す。落ちたら死ぬはずが、ブランケットが落下の衝撃を吸収した。


清「すごい、全然痛くない!」


桜咲「よかった…!死ぬかと思ったよ……!」


美奈「心臓がすごく、動いていた……。」


翔太郎「どうなってるんだ、このブランケット……。」


大助「まさに急死に一生を得た、だな」


智也は、彼らに駆け寄る。


智也「怪我はないか?」


彼らは首を横に振る。


智也「ここから動けそうか?」


彼らは、首を縦に振る。


清「チーム・オットーを倒したんですか……?」


智也「倒してはいない。空気圧で何メートルか吹っ飛ばした。危機は去った」


 智也「俺の仲間たちと、他の修学旅行生が君たちの帰りを待っているはずだ。今からそこに帰る」


智也「手を繋いでほしい」


彼らは智也と手を繋いだ。


智也「ワープ、開始」


◇◇◇


智也「……!?」


智也は目的地にワープした。ワープした場所は彼らが先ほどいた宇宙船の発着場だ。智也は肝心の隊員たちと修学旅行生たち全員が見当たらないことに気づく。 


清「ここ、どこ?」


智也「ここで彼らが帰りを待ってるはずだ」


翔太郎「別の場所にいるかも?」


智也「……もう一度手を繋いでくれ」


智也は見当のつく場所にワープした。ワープ先は智也の勤務するオフィス内だ。


???「お帰りなさい。無事救出したようですね」


智也たちはとあるオフィスのロビーにワープした。清たちはキョロキョロ辺りを見渡す。


智也「ああ、室長。ただいま。ここに大勢の修学旅行生たちが来てないか?あと、隊員たちはどこへ行ったんだ?」


室長「え?」


智也「『え?』じゃないよ。むしろこっちが聞きたいんだ」


室長「隊員たちなんていませんよ。もともとあなたがワンマンで動いていたじゃないですか」


室長「そもそも、大勢の修学旅行生はここに来ることなんてめったにないですし、智也さんの言う修学旅行生たちはいませんよ?」


智也「違う。その前に世界の真理の探究者と名乗る集団が修学旅行生たちを恐怖に陥れ、隊員たちが彼らを避難させたじゃないか」


智也「隊員の名前はハギモトと、ツカハラ、カセ、ハシカワだ。データベースに残ってるはず」


智也「データベース。隊員のハギモトジロウ、ツカハラコウメイ、カセスズミ、ハシカワカオリについて教えてくれ」


データベース「そのような名前の隊員は存在しません。類似検索をしますか?」


智也はデータベースの電源を切った。


室長「それよりも、彼らを元の家へ帰した方が良いかもしれません。いなくなった隊員たちと修学旅行生たちにについては私がなんとかします」 


智也「ありがとう。君たち、荷物は持っているか?」


清「そういえば、どこにあるのかわからなくて……」


室長はその場を去っていこうとすると、誰かに呼び止められた。室長は何かを持ちながら、こちらに方向転換して清たちの方へ近づいていく。


室長「これがあなたたちの荷物ですか?」


清「……俺たちの荷物だ!ありがとうございます」


室長「荷物の中身が紛失した形跡は見当たらないようです。安心ですね」


翔太郎たちは、胸を撫で下ろす。しかし、清だけ何か考え込んでいる顔をする。


智也「よし、荷物も返却したし、帰るか。地図を僕に共有してくれ」


翔太郎は智也に地図アプリを見せた。


智也「ここか。ここなら、ワープできる」


智也「手をつないでくれ」


あと一人だけ、手をつないでいない。


桜咲「清!もたもたしないでよ。早く帰ろう!」


清「あ、ごめん。考え事をしていて……」


清の顔から、何かの不気味さが拭いきれなかった。

他サイトで連載していた「Observers第一部」を本サイトに著者自らが転載しています。無断転載ではありませんので、ご容赦ください。

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