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激戦の最中、ゴブリンロードが放った無造作な一撃がアリアナの顔面を捉えた。

衝撃で仮面が弾け飛び、甲高い音を立てて転がる。


「……っ!?」


咄嗟に両手で顔を覆おうとしたが、遅かった。

傍らにいた大男の冒険者が、剥き出しになったアリアナの顔面をまじまじと見つめていた。


アリアナが絶望に身をすくませ、死を待つような沈黙が流れる。

だが、男の口から漏れたのは悲鳴ではなく、豪快な笑い声だった。


「ガハハ! なんだお嬢ちゃん、鼻がなかったのか! 驚かせやがって!」


男は丸太のような腕を伸ばし、彼女の細い肩を力任せに叩いた。


「冒険者にとっちゃ、顔の傷なんざ勲章じゃねえか。死線を潜り抜けた本物の戦士の証だ。胸を張れ!」

それは、同じ地獄を這いずる戦友としての、最大級の賛辞だったのだろう。


だが、その言葉はアリアナの心に、拭い去ることのできない違和感を抱かせた。


(……勲章? これが?)


確かに男性にとっては、欠損は強さの象徴であり、誇るべき勲章なのかもしれない。

けれど、アリアナにとってこの穴は、誰かに愛されるべき女性としての自分を、根こそぎ奪い去った呪いでしかないのだ。


「……そうね。ありがとう」


アリアナは落ちた仮面を拾い上げると、何一つ感情の宿らない声で答え、再びその顔を封じた。



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